安全データシート

りん酸トリフェニル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: りん酸トリフェニル
  • CB番号: CB9233809
  • CAS: 115-86-6
  • EINECS番号: 204-112-2
  • 同義語: リン酸トリフェニル,トリフェニルホスフェート

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 可塑剤,難燃剤 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
-
分類実施日(環境有害性)
ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性
水生環境有害性 短期(急性)   区分1
水生環境有害性 長期(慢性)   区分2

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS06GHS08
注意喚起語
警告
危険有害性情報
H410 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性。
注意書き
安全対策
P273 環境への放出を避けること。
応急措置
P391 漏出物を回収すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C18H15O4P
  • 分子量: 326.29 g/mol
  • CAS番号: 115-86-6
  • EC番号: 204-112-2
  • 化審法官報公示番号: 3-2522; 3-3363
  • 安衛法官報公示番号: 4-(9)-168

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後は水を飲ませる(多くても2杯)。気分が悪い場合は医師の診察を受ける。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
リンの酸化物
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

火災時には、自給式呼吸器を着用する。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 乾燥剤で処置すること。正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。ほこりを生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 11: 可燃性固体
保管条件
密閉のこと。 乾燥。保管安定性推奨された保管温度15 - 25 °Cアルゴン下で貯蔵する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 3 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類は替えること。本物質を扱った後は手を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭い
特徴的な臭気(ICSC2000)、無臭(Lewis2001)、フェノールのような臭い(HSDB2022)

融点/凝固点

49.39 ℃(CRC(2018)) 49~50 ℃(Howard(1997)) 50~52 ℃(Lange(2017))

沸点、初留点及び沸騰範囲

245 ℃(Howard(1997)) 370 ℃(ICSC(2000)) 244 ℃(10㎜)(Lange(2017))

可燃性

可燃性あり(ICSC(2021))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

220 ℃(Closed cup)(ICSC(2000)) 223 ℃(Lange(2017)) 428 / 220 °F / ℃(Closed cup)(HSDB(2022))

自然発火点

データなし

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水: 1.9 mg/L(25℃)(Howard(1997)) 水: 0.001 g/100mL(20℃)(ICSC(2000)) 水: 0.001 g/100mL(20℃)(HSDB(2022))

n-オクタノール/水分配係数

log P: 4.59 20℃(Howard(1997)) log Pow: 4.59(ICSC(2000)) log Kow: 4.59(HSDB(2022))

蒸気圧

0.00000628 mmHg(25℃)(Howard(1997)) 1 Pa(20℃)(ICSC(2000)) 2.00X10-6 mmHg(25℃)(HSDB(2022))

密度及び/又は相対密度

1.2055 g/cm³(CRC(2018)) 1.268 60℃(Lewis(2001)) 1.2055 g/cm³(50℃)(HSDB(2022))

相対ガス密度

1.19 (空気=1)(HSDB(2022))

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
引火点より下のおよそ15ケルビンからの範囲は危険とみなされている。
可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が
通常想定される。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

次と激しく反応
強酸化剤

10.4 避けるべき条件

強力な熱

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分に該当しない。ガイダンスに基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:3,500 mg/kg(MOE 初期評価 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 111 (1991)) (2)ラットのLD50:10,800 mg/kg(AICIS IMAP (2018)、SIAR (2002)、UK EA (2009)、DFG MAK (1991)、EHC 111 (1991)) (3)ラットのLD50:> 3,000 mg/kg(SIAR (2002)) (4)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(AICIS IMAP (2018)、SIAR (2002)、EHC 111 (1991)) (5)ラットのLD50:> 20,000 mg/kg(AICIS IMAP (2018)、SIAR (2002)、UK EA (2009)、DFG MAK (1991))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:> 7,900 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、UK EA (2009)、DFG MAK (1991)、MOE 初期評価 (2005))、EHC 111 (1991)) (2) ウサギのLD50:> 10,000 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、UK EA (2009)、DFG MAK (1991))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、閉塞、4時間適用、14日観察)において、皮膚刺激性はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報(Accessed July 2022))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、7日観察)において、みられた刺激性影響は48時間以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0.3/0/0、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。 (2)ウサギ(n=9)を用いた眼刺激性試験(7日観察)において、非洗眼群6例については24時間後に軽度の刺激性影響がみられたが、72時間以内に回復した。洗眼群3例については刺激性影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。 (3)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(GLP、6日観察)において、全例で24時間後に軽度の結膜発赤がみられたが、5例は72時間以内に、残りの1例も6日以内に回復した。また、1例で24時間後に軽微な角膜混濁がみられたが、48時間以内に消失したとの報告がある(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)プラスチック製品や接着剤の成分に対する感作性の疑いのある患者43人にパッチテストした結果、本物質に反応した症例はみられなかった(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018))。 (2)モルモット(n=10)を用いたMaxisation試験(OECD TG406、GLP、皮内投与:5%溶液)において、50%溶液惹起群及び75%溶液惹起群のいずれも惹起終了24、48時間後の陽性率は0%(0/10例)であったとの報告がある(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 In vivo試験での陰性の報告はないが、(2)~(4)より、異なる3つの指標のin vitro試験がすべて陰性であることから、区分に該当しないとした。なお、新たな情報源を利用し分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)In vivoの試験報告はない。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)では、代謝活性化の有無に関わらず陰性の報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、AICIS IMAP (2018))。この報告以外に3つのAmes試験で陰性の報告がある(SIAR (2002)、UK EA (2009))。 (3)In vitroでは、マウスリンパ腫L5178Y細胞を用いた遺伝子変異試験(OECD TG476相当)で、代謝活性化の有無に関わらず陰性の報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、AICIS IMAP (2018)、SIAR (2002)、UK EA (2009))。 (4)In vitroでは、チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞(V79)を用いた染色体異常試験(OECD TG473、GLP)で、代謝活性化の有無に関わらず陰性の報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、AICIS IMAP (2018))。

発がん性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)肺腫瘍の好発系統であるA/St系雄マウスに本物質の20 mg/kg(18回)、40 mg/kg(3回)、80 mg/kg(1回)の用量を3回/週で腹腔内投与後に18週間の観察期間をおき剖検した。各群の生存率は20、40及び80 mg/kgで各々18/20、3/20及び12/20例であった。肺腺腫は80 mg/kg群のみにみられたが、統計的に有意な発生頻度は認められなかった。このマウス肺腺腫試験での結果をもとに、発がん性の可能性は示されないと結論づけられた。(SIAR (2002)、ACGIH (7th、2001)、AICIS IMAP (2018)、UK EA (2009)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。 (2)ACGIHは(1)のデータのみを根拠に、本物質の発がん性をA4(Not Classifiable as a Human Carcinogen)に分類した(ACGIH (7th, 2001))。この他、国内外の評価機関による既存分類結果はない。

生殖毒性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による一世代生殖毒性試験(雄:交配前3ヵ月間、雌:交配3ヵ月前から妊娠20日まで)では、試験最高用量の1%(690 mg/kg/day)まで雌雄とも受胎能に有害影響はみられなかった。また雌ラットでは、試験最高用量の1%(690 mg/kg/day)まで妊娠、分娩、胎児への発生影響はみられなかった。(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、AICIS IMAP (Accessed July 2022)、SIAR (2002)、ACGIH (7th, 2001)、UK EA (2009))。 (2)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠6~28日)では、試験最高用量の200 mg/kg/dayまで、母動物毒性、母体及び胎児への発生影響ともに認められなかった。なお、用量設定のための予備試験において、雌動物に250 mg/kg/dayでは犠牲死1例を含め強い毒性が認められ、本試験の最高用量は200 mg/kg/dayに設定された(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)、(2)より、経口及び経皮経路では区分に該当しないと考えられるが、吸入経路での毒性情報がなくデータ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)4件のラットを用いた単回経口投与試験において、区分2の範囲を超える用量で死亡例も毒性影響みられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、EU RAR (2009))。 (2)ウサギを用いた単回経皮投与試験において、10,000 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)で死亡例も毒性影響みられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、EU RAR (2009))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)~(4)より、動物試験において、経口及び経皮経路では、区分2までの用量範囲で特定標的臓器毒性は生じないと考えられる。また、(5)、(6)より、ヒトが吸入経路において本物質による深刻な健康影響を生じる可能性は低いと考えられる。本物質はコリンエステラーゼ阻害作用を有するが、経口、経皮及び吸入経路において特定標的臓器毒性は生じないと考え、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、1,500 ppm以上(105 mg/kg/day(雄)、117 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で雄に肝細胞肥大、甲状腺ろ胞細胞肥大、7,500 ppm(583 mg/kg/day(雄)、632 mg/kg/day(雌))で肝臓重量増加、雌に肝細胞肥大がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022)、AICIS IMAP (2018))。 (2)ラット(雄)を用いた混餌投与による4ヵ月間反復経口投与試験において、0.5%以上(345 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で極めて軽度の体重増加抑制がみられ、神経毒性は最高用量の1%(711 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)までみられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、UK EA (2009)、AICIS IMAP (2018))。 (3)ラット(雄)を用いた混餌投与による4ヵ月間免疫毒性試験において、1%(711 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で軽度の体重増加抑制がみられ、免疫系への影響は最高用量の1%(711 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)までみられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、UK EA (2009)、AICIS IMAP (2018))。 (4)ウサギを用いた3週間反復経皮投与試験(5日/週)において、血漿・赤血球・脳のアセチルコリンエステラーゼ活性抑制がみられたが、症状発現とも組織変化とも関連性はなく、毒性影響としての妥当性はないと考えられたとの報告がある(SIAR (2002)、UK EA (2009)、AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed July 2022))。 (5)本物質の蒸気、ミストないしダストに8~10年曝露された14人の雇用者では赤血球コリンエステラーゼ活性に軽度であるが統計的に有意な低下を生じたが、疾病の徴候(皮膚・眼・気道刺激性、原因不明の疾患、神経病)はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2018)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB in PubChem (Accessed July 2022))。 (6)吸入経路による動物試験報告はないが、(5)の職業ばく露の所見から本物質の反復吸入ばく露によってヒトの健康に深刻な傷害が生じることはないと報告している(AICIS IMAP (2018))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Oncorhynchus mykiss (ニジマス) - 0.4 mg/l - 96 h
(US-EPA)
ミジンコ等の水生無脊
EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 1 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
備考: (ECOTOX データベース)
藻類に対する毒性
成長抑制 LOEC - Desmodesmus subspicatus (緑藻) - 1 mg/l - 72 h
備考: (ECOTOX データベース)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 83 - 94 % - 易分解性。
(OECD テスト ガイドライン 301C)

12.3 生体蓄積性

生体蓄積性 Oryzias latipes - 18 d
で 25 °C - 0.01 mg/l(りん酸トリフェニル)
生物濃縮因子(BCF): 144

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

データなし

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 3077    IMDG (海上規制): 3077    IATA-DGR (航空規制): 3077

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S. (りん酸
トリフェニル)
IMDG (海上規制): ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S.
(triphenyl phosphate)
IATA-DGR (航空規制): Environmentally hazardous substance, solid, n.o.s. (triphenyl
phosphate)

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 9    IMDG (海上規制): 9    IATA-DGR (航空規制): 9

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 該当
該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3) 作業場内表示義務(法第101条の4)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(令和5年度以降の対象)

毒物及び劇物取締法

該当しない

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4)

船舶安全法

有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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