安全データシート

2-(メトキシカルボニルアミノ)-1H-ベンゾイミダゾール

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 2-(メトキシカルボニルアミノ)-1H-ベンゾイミダゾール
  • CB番号: CB5416930
  • CAS: 10605-21-7
  • EINECS番号: 234-232-0
  • 同義語: カルベンダジム,メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバマート

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 殺菌剤(失効農薬),ポリウレタンシーラント・紙・塗料・木材などの防カビ剤 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
皮膚感作性   区分1B
生殖細胞変異原性   区分1B
生殖毒性   区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分2(生殖器(男性))
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分2(肝臓、腎臓、生殖器(男性)、血液系)
分類実施日(環境有害性)
ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性
水生環境有害性 短期(急性)   区分1
水生環境有害性 長期(慢性)   区分1

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS08GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H340 遺伝性疾患のおそれ。
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
H410 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性。
注意書き
安全対策
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P273 環境への放出を避けること。
応急措置
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P391 漏出物を回収すること。
保管
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C9H9N3O2
  • 分子量: 191.19 g/mol
  • CAS番号: 10605-21-7
  • EC番号: 234-232-0
  • 化審法官報公示番号: 5-465
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
窒素酸化物(NOx)
可燃性。
粉じん爆発のおそれ。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 慎重に行うこと。適切に廃棄すること。関連エリアを清掃のこと。 ほこりが生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管条件
密閉のこと。 乾燥。 換気のよい場所で保管する。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
灰色~白色
臭い
無臭

融点/凝固点

300 ℃(分解温度)(Howard(1997)) 302~307 ℃(分解温度)(SAX(2000)) 302~307 ℃(分解温度)(Merck(2013))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

可燃性

データなし

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

データなし

自然発火点

データなし

分解温度

302~307 ℃(GESTIS(2022))

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水: 5.8 mg/L(20℃)(Howard(1997)) 水: mg/L(24 ℃: 29 (pH 4)、8 (pH 7)、1.49 (pH 8))(HSDB(2022)) mg/L(20℃: 0.5 (ヘキサン)、36 (ベンゼン)、68 (ジクロロメタン)、300 (エタノール)、5000 (ジクロロホルムアミド)、100 (クロロホルム)、300 (アセトン))(Merck(2013))

n-オクタノール/水分配係数

log P: 1.52 20℃(Howard(1997)) log Pow: 1.49(ICSC(1998)) log Kow: 1.52(HSDB(2022))

蒸気圧

0.000000000488 mmHg(Howard(1997)) 20℃(ほとんどない)(ICSC(1998)) 7.5X10-10 mmHg(20℃)(HSDB(2022))

密度及び/又は相対密度

0.27 g/cm³(ICSC(1998))

相対ガス密度

データなし

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が
通常想定される。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

情報なし

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)~(7)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 10,000 mg/kg(EFSA (2010)、JMPR (2005)、DFG MAK (2014)) (2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(AICIS IMAP (2020)) (3)ラットのLD50:> 15,000 mg/kg(EHC 149 (1993)、HSDB in PubChem (Accessed July 2022)) (4)ラットのLD50:6,400 mg/kg(HSDB in PubChem (Accessed July. 2022)) (5)ラットのLD50:> 6,400 mg/kg(OECD TG 401)(REACH登録情報 (Accessed July 2022)) (6)ラットのLD50:> 10,000 mg/kg(OECD TG 401)(REACH登録情報 (Accessed July 2022)) (7)ラットのLD50:> 15,000 mg/kg(OECD TG 401)(REACH登録情報 (Accessed July 2022))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(雄)のLD50:> 10,000 mg/kg(EHC 149 (1993)、DFG MAK (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2022)) (2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(EFSA (2010)、DFG MAK (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):> 5.8 mg/L(EFSA (2010)) (2)ラットのLC50(4時間):> 5 mg/L(AICIS IMAP (2020))

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は0であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。 (2)本物質は皮膚刺激性物質ではない(EFSA (2010))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=4)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、適用24/48/72時間後の平均スコアは角膜混濁:0、虹彩炎:0、結膜発赤:0.33、結膜浮腫:0であり、結膜影響は2日以内に回復したとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。 (2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、72時間観察)において、1例で72時間後まで結膜発赤(スコア1)がみられた以外に、角膜、虹彩、結膜への刺激性影響はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。 (3)本物質は眼刺激性物質ではない(EFSA (2010))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)より、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:5%溶液)において、62.5%溶液惹起群における惹起終了24、48、72時間後の陽性率は10%(1/10例)、40%(4/10例)、30%(3/10例)であり、31.25%溶液惹起群における惹起終了24、48、72時間後の陽性率は0%(0/10例)、30%(3/10例)、30%(3/10例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2019)、EU CLP CLH (2019))。
【参考データ等】 (2)りんごの仕分け作業に従事し皮膚炎を生じた果物農場の作業者47人に対して本物質の5%溶液でパッチテストを実施した結果、1人で陽性反応がみられた。また、果物を収穫中にばく露した可能性のある同一地域の作業者30人と皮膚科クリニックの患者60人の2群においても各1人で陽性反応がみられたとの報告がある(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。 (3)モルモット(n=20)を用いたBuehler試験(OECD TG 406相当、GLP、局所投与:50%ワセリン混合物)において、全例で惹起終了24、48時間後に陽性反応はみられなかったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2019)、AICIS IMAP (2020)、EU CLP CLH (2019))。 (4)本物質は皮膚感作性物質である(EFSA (2010))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)~(5)より、区分1Bとした。(1)の優性致死試験では陰性であるが、(2)の生殖細胞を用いた染色体異常試験、小核試験で陽性である。(3)~(5)のマウス、ラットの染色体異常試験、小核試験において、染色体数の異数性を誘発するとの報告があり、作用機序は本物質の微小管タンパク重合阻害によることが明らかにされている。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスを用いた優性致死試験(単回腹腔内投与)で陰性であった。(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。 (2)In vivoでは、ラット及びマウスを用いた染色体異常試験(単回腹腔内投与)、小核試験(単回腹腔内投与)で陽性であった(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。 (3)In vivoのマウスの卵母細胞を用いた染色体異常試験(単回経口投与)では、構造異常はみられなかったが、数的異常(異数性)の頻度増加が認められた。また、投与後に未処置雄と交配させた結果、着床前胚の発生阻害が示唆された(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。 (4)In vivoのラットの未成熟精子(第1期)を用いた小核試験(単回経口投与)では、中用量(100 mg/kg)で小核形成精子の割合の増加がみられた。高用量群と低用量群の発生頻度は同程度で用量相関はなかったが、高用量群では精巣傷害が小核形成精子の割合の低下に寄与した可能性が考えられた。免疫組織化学的検査により中用量群では動原体を含む小核の割合(68%)が対照群の割合(30%)に比べ2倍以上増加していることから、ラット精子における小核誘発は本物質の異数性によると報告された(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。 (5)本物質は in vitro及びin vivoで染色体数の変化(異数性)を生じる。(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。
【参考データ等】 (6)EUではMuta. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed July 2022))。

発がん性

【分類根拠】 (1)~(5)より、区分に該当しない。ラットでは発がん性の証拠はなく、(3)で一部の系統のマウスの肝臓に腫瘍の発生増加が認められたが、(5)の評価のように高感受性系統のマウスにおいて自然発生的に肝臓腫瘍の発生が増強されたものであり、マウスに対する直接的な発がん物質ではないと示唆されている。
【根拠データ】 (1)ラット(SD、Wistarの2系統)を用いた2件の2年間混餌投与による発がん性試験では、1つは300 mg/kg/day、他は500 mg/kg/dayまでの用量で、発がん性は認められなかった(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。 (2)マウス(CD-1)を用いた2年間混餌投与による発がん性試験では、60 mg/kg/day以上の雌及び180 mg/kg/dayの雄で肝臓腫瘍の増加が認められた。なお、雄の最高用量(400 mg/kg/day)群は途中でほぼ全例死亡したため、病理組織検査が実施されなかった(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。 (3)別系統のマウス(Swiss)を用いた80週間混餌投与試験では、37 mg/kg/day)以上で肝臓腫瘍(肝細胞腺腫と肝細胞がんの合計)発生頻度の増加がみられた(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。 (4)自然発生腫瘍が低頻度であることが知られている系統(NMRK-f)のマウスを用いた22ヵ月間(96週間)混餌投与試験では、肝臓腫瘍の発生増加は認められなかった(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。本試験では卵巣に顆粒細胞腫瘍と黄体腫の発生増加が300 ppm(41.9 mg/kg/day)以上でみられると報告されたが、統計的に有意な増加ではなかった(AICIS IMAP (2020))。 (5)(2)~(4)より、高感受性系統(Swiss、CD-1)のマウスでは自然発生的な肝臓腫瘍の発生を増強するが、本物質はマウスに対し直接的な発がん物質ではないことが示唆された(AICIS IMAP (2020)、DFG MAK (2014))。

生殖毒性

【分類根拠】 (1)~(5)より、区分1Bとした。(1)~(4)より妊娠動物に経口投与した発生毒性試験において、動物種2種で催奇形性がみられ、ラットの試験では母動物毒性がない用量から、胎児毒性に加えて奇形が部分的にみられる。また、(3)、(4)より、雌の生殖・性機能への有害影響が示唆され、(5)より、雄の精巣毒性による受胎能への有害影響が示された。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(FDAガイドライン、妊娠6~15日、10~3,000 mg/kg/day)では、母動物毒性(死亡(60及び3,000 mg/kg/day群で各1例及び3例)、体重増加抑制又は体重減少、全身症状(触刺激後の振戦・喘ぎ呼吸、下痢等))がみられた60 mg/kg/day以上で着床後胚損失率の著減、300 mg/kg/day以上では全胚吸収がみられた。胎児には母動物毒性がみられない10 mg/kg/dayから低体重、生存胎児数減少、30 mg/kg/day以上で奇形胎児数及び奇形発生率の用量依存的な増加がみられ、100 mg/kg/dayで全生存胎児に奇形がみられた。奇形は主に脊髄、肋骨及び頭部(水頭症)の形態異常で、100 mg/kg/day群では四肢、心臓、肺に奇形もみられた(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。 (2)(1)の追試験として、ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(FDAガイドライン、妊娠6~15日、10~30 mg/kg/day)では、30 mg/kg/dayまで母動物毒性はみられなかったが、30 mg/kg/day群の胎児には低体重とともに奇形胎児の数及び発生率に著しい増加がみられた。同群では奇形胎児を有する妊娠雌数の増加(22/30例(73%))、生存胎児358匹中81匹(23%)に奇形(水頭症、胸椎裂・腰椎裂など)がみられた(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠7~16日、5~90 mg/kg/day)では、母動物毒性(体重増加抑制、肝臓重量増加)のみられる高用量で、母体に生殖影響(妊娠率低下、胚/胎児吸収の増加、一腹当たりの生存胎児数減少)、生存胎児に低体重とともに外表奇形(頭部(水頭症、ドーム状頭など)、眼(無眼/小眼症)、四肢(こぶ状肢))、骨格奇形(脊椎・肋骨・胸骨分節の癒合、二分脊椎、肩甲骨奇形など)がみられた。母動物毒性のない中用量(20 mg/kg/day)では軽微な発生影響(低体重、骨格変異(胸椎分節配列不整、過剰肋骨)の増加)に加え、上記の奇形の一部が3匹に認められ、中用量が奇形発生に対する閾値と判断された(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠7~19日、10~125 mg/kg/day)では、母動物毒性(流産(2/18例)、体重増加抑制、摂餌量減少)がみられた高用量群で、母体に生殖影響(着床数減少、吸収数・吸収率増加、全胚吸収の妊娠腹数(7/9例)の増加)及び黄体数減少、胎児に体重の低値傾向と奇形発生率の増加がみられた。奇形は主に骨格奇形(頸椎、肋骨および胸椎の奇形)であった。母動物毒性のない中用量(20 mg/kg/day)では、着床数の減少と吸収数・吸収率増加(非有意)、全胚吸収の妊娠雌1/16例(対照群と低用量群は0)がみられ、投与の影響と判断された(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。 (5)ラットを用いた強制経口投与による一世代生殖毒性試験(50~400mg/kg/day)では、親動物に一般毒性影響は最高用量の400 mg/kg/dayまでみられなかったが、交配の結果200 mg/kg/day以上で雄親動物の半数が雄性不妊と判断され、精子数及び精子運動能、精巣及び精巣上体重量の減少がみられた。同群の胎児には死亡率増加がみられた(DFG MAK (2014))。
【参考データ等】 (6)EUではRepr. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Jun 2022))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)より、区分2(生殖器(男性))とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験において、1,000 mg/kg(区分2の範囲)で精巣の小型化、変色及び精細管の変性、精巣上体の精子数の減少がみられたとの報告がある(JMPR (2005)、AICIS IMAP (2020))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)~(3)より、区分2の範囲で腎臓への影響が、(2)~(4)より、区分2の範囲で血液系への影響が、(2)~(6)で区分2の範囲で肝臓への影響が、(2)~(4)、(6)で雄性生殖器への影響がみられた。以上のことから、区分2(肝臓、腎臓、生殖器(男性)、血液系)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与試験において、16 mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に尿細管の拡張・水腫変性が、32 mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に腎臓の線維化・うっ血、血中尿素レベルの低下、血清ビリルビンの増加がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2020)、Government of Canada (2011))。 (2)イヌを用いた強制経口投与による90日間経口投与試験において、20 mg/kg/day(区分2の範囲)で肝臓及び腎臓の変性、肝臓の炎症性変化、ヘモグロビン・総白血球数減少、ALT・AST・尿素・ビリルビン増加、肝臓重量増加、副腎重量減少、脾臓重量増加・精巣重量減少(雄)、脾臓重量・卵巣重量減少(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011))。 (3)イヌを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与試験において、80 mg/kg/day(区分2の範囲)で赤血球数減少、胃粘膜のびらん、肝臓(巣状変性、類洞拡張、うっ血)、脾臓の斑状うっ血、腎臓(糸球体及び尿細管の変性)、精巣と卵巣における線維化を伴う変性がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011))。 (4)イヌを用いた混餌投与による2年間反復経口投与試験において、80.8 mg/kg/day(区分2の範囲)で体重増加抑制、血液凝固時間延長、ALP増加、肝臓相対重量増加、下垂体・甲状腺重量増加、精巣精細管萎縮(雄)、間質の多核炎症性細胞浸潤(雄)、摂餌量減少(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011))。 (5)マウスを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、81 mg/kg/day(区分2の範囲)で小葉中心性肝細胞肥大(雄)、胸腺及び腎臓絶対重量増加(雄)、体重軽度低下(雄)、胆管増生(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011)、DFG MAK (2014)、JMPR(2005))。 (6)ラットを用いた28日間反復経皮投与試験(6時間/日、5日/週)において、120 mg/kg/day(90日換算:26.7 mg/kg/day、区分2の範囲)で精細管の変性(雄)、精巣上体管腔内精子減少(雄)、肝臓重量増加(雌)が、480 mg/kg/day(90日換算:107 mg/kg/day、区分2の範囲)で精子肉芽腫(雄)、精巣上体精子濃度減少(雄)、異常精子比率の増加(雄)、運動性精子比率の減少(雄)、漸進的運動性精子比率の減少(雄)、赤血球数・Hb・Htの軽度減少(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011)、AICIS IMAP (2020))。

誤えん有害性*

データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

データなし
魚毒性
LC50 - Oncorhynchus mykiss (ニジマス) - 0.024 mg/l - 96.0 h
備考: (ECOTOX データベース)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 0.15 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
最大無影響濃度 - Pseudokirchneriella subcapitata - 0.5 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 3077    IMDG (海上規制): 3077    IATA-DGR (航空規制): 3077

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S. (ベンゾ
イミダゾール-2-イルカルバミン酸メチル)
IMDG (海上規制): ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S. (2-
(Methoxycarboxamido)benzimidazole)
IATA-DGR (航空規制): Environmentally hazardous substance, solid, n.o.s. (2-
(Methoxycarboxamido)benzimidazole)

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 9    IMDG (海上規制): 9    IATA-DGR (航空規制): 9

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 該当
該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸化剤

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)(令和6年4月1日施行) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)(令和6年4月1日施行)、リスクアセスメント対象物(法第57の3)(令和6年4月1日施行) 作業場内表示義務(法第101条の4)

化審法

優先評価化学物質(法第2条第5項)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(令和5年度以降の対象) 第二種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2)(令和4年度までの対象)

毒物及び劇物取締法

該当しない

船舶安全法

有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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