アントシアン 化学特性,用途語,生産方法
性質
色素の本体であるアントシアニジンは、ペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジンの3種の基本形に大別される。これに結合する糖にはグルコース、ガラクトース、キシロース、ラムノースなどがあり、種類も数もさまざまである。シダ植物には3-デオキシアントシアニジンが分布しているのが特徴である。
アントシアンはきわめて不安定な物質で、押し花や切り花にすると容易に退色してしまうので、気密にしたり光を遮るなどして保存する。アントシアンは生体内ではフェニルアラニンと酢酸から合成されるが、最終段階の反応は液胞膜で行われると考えられている。アントシアンの生成にはいろいろの要因が関係していて、温度、光、窒素やリン酸の欠乏などの外部条件によって左右される。アントシアンの生理的役割についてはまだ明らかでないが、春先の若葉に一時的にアントシアンが生成するのは、アントシアンが紫外線を吸収して、その害から植物を保護するためであるといわれる。また秋の紅葉は老化の一つの側面と考えられる。[吉田精一・南川隆雄]
構造
アントシアン, 植物色素の一群で、赤、青、暗紫色などを呈する花や葉、果実などの色素のこと。ギリシア語のanthos(花)+cyanos(青い)の意味から命名され、花青素(かせいそ)ともよばれた。基本構造として2個のベンゼン環が3個の炭素で結ばれた炭素骨格をもち、フラボノイド色素群に含まれる。色素の本体(アグリコン)であるアントシアニジンと、これに糖が結合した色素配糖体であるアントシアニンの両方をあわせてアントシアンとよんでいる。植物細胞の液胞内に配糖体の形で溶けた状態で存在するが、多量に含まれると結晶、あるいは塊となって析出することもある。水に溶けて、酸性で赤色となり、中和すると紫色に、微アルカリ性で青色に変わる。これをまた酸性にすると赤色に戻るなど指示薬的な性質をもっているので、他の同じような色を呈するカロチノイド色素やベタレイン色素と容易に区別することができる。
解説
花や果実の色,紅葉した葉の色などの原因となる色素の総称.語源的には,花の青色色素(anthos花+cyanos青)を意味し,古くは花青葉と和訳されていた.ヤグルマギクの青色色素を最初に手がけたL. Marguart(1935年)の造語である.後年,R. Willstatter(ウィルシュテッター)一門の研究により,配糖体とアグリコンの区別を明らかにすることが必要になったので,アントシアンを総称名とし,アントシアニンを配糖体,アントシアニジンをアグリコンとすることがほぼ定着している.この色素は酸性では紅色,アルカリ性では青色を呈する。不安定であるので,実際にはいろいろの金属イオンと錯化合物をつくって存在し,花の赤,青,紫などの色の原因となっている。アントシアンはアントシアニジンおよびその配糖体アントシアニンを含めた呼び名である。アントシアニジンは2-フェニルベンゾピリリウムを基本骨格とし,数個のフェノール性水酸基をもっている。植物中では,これらの水酸基のいくつかがグルコース,ガラクトース,ラムノースなどと結合し,配糖体のアントシアニンとして存在する。森北出版「化学辞典(第2版)
定義
ChEBI: An anthocyanidin cation that is flavylium substituted at positions 3, 3', 4', 5 and 7 by hydroxy groups.
アントシアン 上流と下流の製品情報
原材料
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