急性毒性
経口
ラットのLD50値として、1,500 mg/kg [OECD TG 401、GLP準拠] (SIDS (2004))、> 2,500 mg/kg (SIDS (2004)) があるが、GLP準拠データに基づき、区分4とした。
経皮
ラットのLD50値として> 500 mg/kg (SIDS (2004))、> 2,000 mg/kg [OECD TG 402、GLP準拠] (SIDS (2004))、ウサギのLD50値> 2,000 mg/kg [OECD TG 402、GLP準拠] (SIDS (2004))の報告がある。GLP準拠データに基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果で「刺激性なし」とある (SIDS (2004)) ことから、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験をはじめとする2件の試験結果で「刺激性なし」である (SIDS (2004)) ことから、区分外とした。
呼吸器感作性
呼吸器感作性:データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
皮膚感作性:モルモットを用いたビューラー法で陰性との報告があるが、使用動物数がガイドラインより少ない (SIDS (2004)) 。その他の情報が得られなかったため、データ不足のため分類できないとした。
生殖細胞変異原性
分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、2件のマウス骨髄細胞の小核試験で総合的に陰性 (陰性及びあいまいな結果)、ラット肝細胞の不定期DNA合成試験で陰性である (SIDS (2004))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (SIDS (2004))。
発がん性
国際機関における本物質の発がん分類はない。SIDS (2004) に1967年に実施された雌雄マウスの18ヶ月発がん性試験が2例記載されている。 すなわち、雌雄の (C57BL/6 X C3H/Anf) F1マウス及び (C57BL/6 X AKR) F1マウスを用い、100 mg/kg bw/day (260 ppm) 1用量のみを最初の3週間は強制経口投与、その後は混餌投与した試験であるが、現行のガイドラインに準拠した試験でなく、被験物質の純度や試験方法が不十分、さらに報告内容も限られているため、SIDS (2004) は信頼性に足るデータではないとしている。したがって、データ不足のため「分類できない」とした。
生殖毒性
データ不足のため分類できない。なお、ラットを用いた1世代試験で生殖毒性はみられていない。ラットを用いた発生毒性試験では、母動物の死亡 (5/26例)、振戦、立毛、体重減少を含む重篤な毒性がみられる用量 (750 mg/kg bw/day) で胎児の体重減少、非特異的な骨格奇形 (主に前肢骨の形成異常) の増加がみられ、母動物に一過性の摂餌量減少、体重増加抑制を示す軽度の毒性がみられる用量 (200 mg/kg bw/day) では胎児の骨化遅延 (主に指骨、頚椎体) の増加がみられた (SIDS (2004))。この発生毒性でみられた影響は、母動物毒性と関連した二次的な影響と考えられるが完全には影響を否定できないことから分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
マウスの経口投与においてガイダンスの区分2の範囲内 (1,500 mg/kg) で間代性痙攣が認められたため (SIDS (2004)) 区分2 (神経系) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ラットの経口投与で区分2のガイダンス値を上回る用量 (200-219 mg/kg/day) で、副腎、卵巣、肝臓に影響が見られた (SIDS (2004))。したがって、経口経路では区分外相当であるが、他の経路による反復ばく露の情報がなく、データ不足のため分類できない。
吸引性呼吸器有害性
データ不足のため分類できない。