急性毒性
経口
【分類根拠】 (1) より、区分4とした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50 : 1,320 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on May 2019))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50 : > 3,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on July 2019))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。なお、新たなデータが得られたことにより区分を変更した。
【根拠データ】 (1) OECD TG 404準拠のウサギ皮膚刺激性試験の平均スコアが、紅斑:0.56、浮腫:0であり、皮膚一次刺激指数 (PII) が0.5であったと報告されている (REACH登録情報 (Access on June 2019))。
【参考データ等】 (2) 本物質は眼、皮膚、気道を刺激する可能性がある (PATTY (6th, 2012))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分2Bとした。
【根拠データ】 (1) OECD TG 405準拠の眼刺激性試験において結膜の軽度の刺激を示したが、7日後、全て消失した。24、48、72時間後の角膜混濁、虹彩、結膜の平均スコアはそれぞれ0、0、2.5であったが、結膜の反応は24時間で回復と報告されている (REACH登録情報 (Access on June 2019))。
【参考データ等】 (2) 本物質は皮膚、眼、気道を刺激する可能性がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on May 2019))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。なお、新しい情報が得られたことから区分を変更した。
【根拠データ】 (1) OECD TG 406 (モルモットマキシマイゼーション試験) に準拠したモルモット皮膚感作性試験で皮膚反応は認められず、感作性陰性と判定された (REACH登録情報 (Access on June 2019))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2) よりin vivo、in vitroを含む標準的組合せ試験でいずれも陰性であったことから、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。新たなデータが得られたため、旧分類から分類結果が変更となった。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス小核試験で陰性の結果であった (REACH登録情報 (Access on July 2019))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及び哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性の結果であった (PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on May 2019))。
発がん性
【分類根拠】 分類に利用可能なデータはなく、国際機関による既存分類もないため、分類できないとした。
【参考データ等】 (1) 本物質を2年間筋肉注射 (総投与量: 5,175 mg/kg) した試験 (動物種不明) で、注射部位に腫瘍が認められた (PATTY (6th, 2012))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1) より 区分2とした。なお、新たな情報を追加したことから旧分類から分類結果が変更となった。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた強制経口投与での反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において親動物毒性 (体重増加抑制、赤血球数減少、ヘモジデリン沈着等) がみられる用量で明らかな生殖影響 (受精率の低下、着床前及び着床後胚損失) がみられている (REACH登録情報 (Access on June 2019))。
【参考データ等】 (2) イヌを用いた強制経口投与 (カプセル投与) での6ヵ月間反復投与毒性試験において、100及び300 mg/kg/dayで精巣の低形成がみられている (ACGIH (7th, 2001) 、PATTY (6th, 2012))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。(1) の記載があるが、出典の情報がなく、詳細が確認できない。旧分類はPATTY (5th, 2001) の同様の記載に基づいて区分3 (気道刺激性) としていたが、分類根拠としては不十分と判断した。他に気道刺激性を支持する情報がないため、分類結果を変更した。
【参考データ等】 (1) 本物質は皮膚、眼、気道を刺激する可能性がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on May 2019))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2) より、実験動物への吸入ばく露により区分1の範囲で鼻腔に病変がみられていることから、区分1 (呼吸器) とした。なお、旧分類での用量換算及び標的臓器を見直し、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラット、マウスに蒸気3~30 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.002~0.02 mg/L、区分1の範囲) を13週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した結果、鼻、喉頭、気管、肺、肝臓への鉄沈着、用量依存的な鼻腔の病変 (壊死、炎症、化生、再生) がみられ、10 mg/m3以上で肝臓重量増加等がみられた (PATTY (6th, 2012))。 (2) ラット、マウスに蒸気2.5~40 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.0004~0.006 mg/L、区分1の範囲) を2週間吸入ばく露 (6時間/日) した結果、鼻甲介の炎症、体重増加抑制がみられた (PATTY (6th, 2012))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。