急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。なお、(2) は非GLP試験であるが、溶媒の違いによる物質の吸収性に起因してLD50値が低くなったと考えられる。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50 (1%Tween 80) : 雄: 1,698 mg/kg、雌: 1,396 mg/kg (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017)、農薬抄録 (2016))
(2) ラットのLD50 (コーン油) : 雄: 282 mg/kg、雌: 261 mg/kg (EPA Pesticide (2005)、食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017)、農薬抄録 (2016))
経皮
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (EPA Pesticide (2005))
(2) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017)、農薬抄録 (2016))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (ミスト、4時間): 雄: 約465 mg/m3 (0.465 mg/L)、雌: 439 mg/m3 (0.439 mg/L) (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017)、農薬抄録 (2016))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) EPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で一次刺激性インデックス(PII) は0.8であった (EPA Pesticide (2005))。
(2) 本物質 (0.5 mL) をウサギに4時間半閉塞適用した皮膚刺激性試験で、24/48/72hの紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ、0.44及び0.11であった (農薬抄録 (2016))。
(3) ウサギを用いた皮膚刺激性試験では、刺激性は認められなかった (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
【参考データ等】
(4) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on August 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1) のデータはあるが、詳細が確認できず分類できないとした。
【参考データ等】
(1) EPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で分泌物が適用1時間後まで、結膜の発赤と浮腫が適用3日後まで認められた (EPA Pesticide (2005))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1) 、(2) より、区分1Bとした。新しいデータが得られたことから区分を変更した。
【根拠データ】
(1) 農水省ガイドラインに準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、GLP準拠、皮内感作:5%、貼付感作:50%、惹起:15%) において陽性率39%と判定された (農薬抄録 (2016))。
(2) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において、中等度の皮膚感作性が認められた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
【参考データ等】
(3) EPA OPPTS 870.2600に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性を示さなかった (EPA Pesticide (2005))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、in vivo、in vitro試験のいずれも陰性であったことから、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットを用いる染色体異常試験で陰性の報告がある (農薬抄録 (2016)、食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験、不定期DNA合成試験、遺伝子突然変異試験で陰性の報告がある (農薬抄録 (2016)、食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
発がん性
【分類根拠】
(1) の既存分類結果から、ガイダンスの区分外に相当し、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Pesticide (2005)) に分類されている。
【参考データ等】
(2) ラットに本物質を2年間強制経口投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、雌で乳腺の線維腺腫の発生頻度の有意な増加が認められたが、背景データの範囲内であった (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
(3) マウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、腫瘍の発生頻度の増加は認められなかった (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) より、F1及びF2児動物で一過性の振戦がみられ、F1児動物では哺育期に認められたことから、授乳を介する影響も否定できないが明確な証拠がない。(2)、(3) より母動物毒性がみられる用量において明確な発生影響がみられていない。従って区分に該当しないとした。なお、新たな情報源を用いたことから分類結果が変更となった。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、親動物毒性として皮膚潰瘍、体重増加抑制等がみられる用量でF1及びF2児動物に低体重、一過性の振戦 (F1児動物では哺育期) がみられたが生殖影響はみられていない (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (流涎) がみられる用量で胎児に骨格変異がみられた (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。
(3) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重減少等) がみられる用量で胎児に異常はみられていない。なお、骨格異常及び内臓異常が報告されているが対照群と発生率に差が無いことから影響を否定されている (食品安全委員会 農薬・動物用医薬品評価書 (2017))。