急性毒性
経口
【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
経皮
【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: ガス
【分類根拠】 (1) より、区分3とした。
【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (1時間): 雄: 2,541 ppm (4時間換算値:1270.5 ppm)、雌: 21.1 g/m3 (4,403.3 ppm) (4時間換算値: 2,201.7 ppm) (HSDB (Access on July 2019))
吸入: 蒸気
【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。
【根拠データ】 (1) 本物質は水との反応により塩酸を生じるため、粘膜や皮膚との接触により強い刺激性を示す (ACGIH (7th, 2016))。 (2) 本物質は皮膚及び眼に対して非常に強い刺激性或いは腐食性を有し、飛沫により火傷を引き起こす可能性がある (HSDB (Access on July 2019))。
【参考データ等】 (3) EU-CLP分類でSkin Corr. 1B (H314) に分類されている (EU CLP分類(Access on July 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1とした。
【根拠データ】 (1) 本物質は水との反応により塩酸を生じるため、粘膜や皮膚との接触により強い刺激性を示す (ACGIH (7th, 2016))。 (2) 本物質は皮膚及び眼に対して非常に強い刺激性或いは腐食性を有し、飛沫により火傷を引き起こす可能性がある (HSDB (Access on July 2019))。 (3) 本物質は皮膚腐食性物質 (区分1) に区分されている。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 本物質自体の生殖毒性に関する情報はないが、ホウ素化合物としてホウ酸 (CAS番号 10043-35-3) 及びホウ砂 (Na2B4O7・10H2O、CAS番号 1303-96-4) の情報が利用可能と考えられる。(1)~(3) より、区分1Bとした。
【根拠データ】 (1) マウスにホウ酸を、ラットにホウ酸又はホウ砂を混餌投与した生殖毒性試験で、親動物に一般毒性影響がみられない用量で受精能の低下による不妊が認められた。交差交配試験の結果、マウスでは雄の受精能低下が不妊の原因であったが、ラットでは投与群の雌を対照群の雄と交配させた場合にも完全不妊がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2010))。 (2) 妊娠ラット又は妊娠マウスの器官形成期にホウ酸を混餌投与した複数の発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少など) 発現量で胎児に奇形発生 (第13肋骨の欠損・短縮、側脳室の拡張など) の増加、胎児死亡率、新生児死亡率の増加がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2010))。 (3) 妊娠ウサギの器官形成期にホウ酸を強制経口投与した試験でも母動物に体重の低下がみられる用量で心血管系奇形の増加及び胎児死亡率の増加が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 ヒト及び実験動物での本物質の単回ばく露に関する報告はないが、(1)、(2) より区分1 (呼吸器) とした。
【根拠データ】 (1) 本物質は生体内で水分との接触により急速に加水分解されて塩酸 (CAS番号 7647-01-0) を生じることにより、皮膚と粘膜及び気道に強い刺激性を示す (ACGIH (7th, 2016))。 (2) 本物質の急性吸入ばく露による呼吸器への影響として化学性肺炎、肺水腫を生じる可能性があるとの記載がある (HSDB (Access on July 2019))。
【参考データ等】 (3) 1950年代に実施されたラット、マウス及びモルモットに本物質20、50、100 ppmを7時間/日、2日間吸入ばく露した試験で、ケージを2時間ごとに交換又は洗浄した場合に、100 ppmでラットは全例生存したが、モルモットの全例とマウスの93% (匹数の記載なし) が死亡し、死亡動物では肺の広範な炎症と間質性肺炎が認められた。しかしながら、ケージの洗浄・交換を行なわなかった場合には、全ての動物種が全ての濃度で高い死亡率を示した。原因としては、動物が被毛や四肢に付着した物質をなめたことによる可能性があるとされている。また、動物の足と口には著しい腫れがみられたと記載されている (ACGIH (7th, 2016))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) 本物質は急速に加水分解され塩酸を生じ、気道、皮膚、眼の火傷を生じる (ACGIH (7th, 2016))。 (2) 気道刺激、肺炎を根拠にTLV-C (Ceiling) のみが設定されている (ACGIH (7th, 2016))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 GHSの定義におけるガスである。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。