安全データシート

1,3,5‐トリクロロベンゼン

改訂日:2024-01-29版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 1,3,5‐トリクロロベンゼン
  • CB番号: CB8852759
  • CAS: 108-70-3
  • 同義語: 1,3,5‐トリクロロベンゼン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 染料・顔料中間体
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
H21.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)を使用
物理化学的危険性
金属腐食性物質   分類できない
有機過酸化物   分類対象外
酸化性固体   分類対象外
酸化性液体   分類対象外
水反応可燃性化学品   分類対象外
自己発熱性化学品   分類できない
自然発火性固体   区分外
自然発火性液体   分類対象外
自己反応性化学品   分類対象外
可燃性固体   区分外
引火性液体   分類対象外
高圧ガス   分類対象外
支燃性・酸化性ガス類   分類対象外
可燃性・引火性エアゾール   分類対象外
可燃性・引火性ガス   分類対象外
火薬類   分類対象外
健康に対する有害性
吸引性呼吸器有害性   分類できない
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)   区分2(肝臓、腎臓、甲状腺、鼻腔)
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)   区分3(気道刺激性)
生殖毒性   分類できない
発がん性   分類できない
生殖細胞変異原性   分類できない
皮膚感作性   分類できない
呼吸器感作性   分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性   区分2B
皮膚腐食性・刺激性   区分外
急性毒性(吸入:ミスト)   分類対象外
急性毒性(吸入:粉じん)   分類できない
急性毒性(吸入:蒸気)   分類できない
急性毒性(吸入:ガス)   分類対象外
急性毒性(経皮)   分類できない
急性毒性(経口)   区分4
環境に対する有害性
水生環境慢性有害性   区分1
水生環境急性有害性   区分1
ラベル要素
絵表示又はシンボル
GHS07
注意喚起語
警告
危険有害性情報
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
水生生物に非常に強い毒性
長期にわたる、または、反復ばく露により肝臓、腎臓、甲状腺、鼻腔の障害のおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
眼刺激
飲み込むと有害
注意書き
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
【廃棄】
施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
【保管】
漏出物を回収すること。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
吸入した場合、気分が悪い時は医師に連絡すること。
吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合、眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
【応急措置】
環境への放出を避けること。
粉じん、ヒューム、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
【安全対策】

3. 組成及び成分情報

  • 化学名又は一般名: 1,3,5‐トリクロロベンゼン
  • 分子式 (分子量): C6H3Cl3(181.5)
  • CAS番号: 108-70-3
  • 官報公示整理番号(化審法・安衛法): (3)-74
  • 分類に寄与する不純物及び安定化添加物: データなし
  • 濃度又は濃度範囲: 100%

4. 応急措置

吸入した場合

気分が悪い時は、医師に連絡すること。
空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。

皮膚に付着した場合

気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。

目に入った場合

眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。

飲み込んだ場合

気分が悪い時は、医師に連絡すること。
口をすすぐこと。

予想される急性症状及び遅発性症状

眼 : 発赤、痛み
吸入 : 咳、咽頭痛

最も重要な兆候及び症状

眼、気道を刺激する。

応急措置をする者の保護

データなし

医師に対する特別注意事項

データなし

5. 火災時の措置

消火剤

水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類

使ってはならない消火剤

棒状放水

特有の危険有害性

火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
激しく加熱すると燃焼する。
熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。

特有の消火方法

安全に対処できるならば着火源を除去すること。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。

消火を行う者の保護

適切な空気呼吸器、防護服(耐熱性)を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具および緊急措置

密閉された場所に立入る前に換気する。
関係者以外の立入りを禁止する。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
全ての着火源を取り除く。

環境に対する注意事項

環境中に放出してはならない。

回収・中和

漏洩物を掃き集めて空容器に回収し、後で廃棄処理する。

封じ込め及び浄化方法・機材

水で湿らせ、空気中のダストを減らし分散を防ぐ。

二次災害の防止策

プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。
すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策
『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気
『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項
眼に入れないこと。
飲み込まないこと。
粉じん、ヒューム、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避
『10.安定性及び反応性』を参照。

保管

技術的対策
特別に技術的対策は必要としない。
混触危険物質
『10.安定性及び反応性』を参照。
保管条件
施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
容器を密閉して冷乾所にて保存すること。
容器包装材料
データなし

8. ばく露防止及び保護措置

管理濃度

未設定

許容濃度 (ばく露限界値、生物学的ばく露指標)

日本産衛学会
未設定(2008年度版)
ACGIH
未設定(2008年度版)

設備対策

作業場には全体換気装置、局所排気装置を設置すること。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。

保護具

呼吸器の保護具
適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具
適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具
適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具
適切な保護衣を着用すること。

衛生対策

取扱い後はよく手を洗うこと。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体
白~黄色
臭い
特徴臭
pH
データなし

融点・凝固点

63℃ : ICSC (J) (2003)

沸点、初留点及び沸騰範囲

208℃ : ICSC (J) (2003)

引火点

107℃ : ICSC (J) (2003)

自然発火温度

データなし

燃焼性(固体、ガス)

データなし

爆発範囲

データなし

蒸気圧

24Pa (25℃) : ICSC (J) (2003)

蒸気密度

1.0 (空気=1) : ICSC (J) (2003)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

比重(密度)

データなし

溶解度

水 : 0.0006g/100ml (25℃) : ICSC (J) (2003)

オクタノール・水分配係数

log P = 4.15 : ICSC (J) (2003)

分解温度

データなし

粘度

データなし

粉じん爆発下限濃度

データなし

最小発火エネルギー

データなし

体積抵抗率(導電率)

データなし

10. 安定性及び反応性

安定性

法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる

危険有害反応可能性

燃焼すると分解して、有毒で腐食性のヒュームを生じる。酸化剤と反応する。

避けるべき条件

燃焼

混触危険物質

酸化剤

危険有害な分解生成物

有毒で腐食性のヒューム

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値として、DFGOT vol.3 (1992)に1,800 mg/kg、2,100 mg/kg、2,490 mg/kg、2,800 mg/kgとの記述が、環境省リスク評価第4巻(2005)に800 mg/kgとの記述がある。区分4、区分外に該当するデータが各々、複数存在するため、危険性が高い区分を採用し、区分4とした。
経皮
データがないので分類できない。
吸入
吸入(粉じん):   ラットを用いた吸入ばく露試験(1時間)の致死濃度は>9,300 mg/m3(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述がある。25℃における飽和蒸気圧濃度は2.3 mg/Lより粉じん基準を適用すると、4時間換算LC50値は>2.3 mg/Lと推測されるが、区分を特定できないため、分類できない。
吸入(蒸気):   ラットを飽和蒸気に1時間吸入ばく露させた試験で「死亡は見られなかった」(DFGOT vol.3 (1992))旨の記述がある。飽和蒸気圧濃度(25℃)2.3 mg/Lから蒸気基準を適用し、4時間換算LC50値は>1.15 mg/Lと推測されるが、区分を特定できないため、分類できない。
吸入(ガス):   GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。

皮膚腐食性・刺激性

DFGOT vol.3 (1992)に、ウサギを用いた24時間パッチテストで「紅斑と浮腫が6/6匹に見られ、72時間後には紅斑が3/6匹に見られた。本物質はmild irritantである」旨の記述、ウサギを用いた同様のパッチテストで「刺激の徴候、顕著な皮膚変化がみられた。mildな刺激」との記述がある。以上より、国連GHS皮膚刺激性区分3に相当すると思われるが、国内では不採用区分につき、区分外とした。

眼に対する重篤な損傷・刺激性

DFGOT vol.3(1992)に、ウサギの眼に本物質100 mgをinstillationした試験において「概してmildかつ一時的な発赤、結膜浮腫、眼脂が生じ、リンスしなかったウサギでは回復に7日を要した」旨の記述、また、ウサギの眼に投与した試験において「粘膜への刺激作用はmildからmoderateであった」旨の記述がある。以上より、区分2Bとした。

呼吸器感作性又は皮膚感作性

皮膚感作性:モルモットを用いた試験で「感作性は観察されなかった」(DFGOT vol.3 (1992))旨の記述があるが、他にデータがないため、分類できない。
呼吸器感作性:データがないので分類できない。

生殖細胞変異原性

体細胞in vivo変異原性試験(マウス赤血球を用いた小核試験)で「弱陽性」(DFGOT vol.3 (1992))との記述があるが、この試験については、異性体1・2・4-トリクロロベンゼンに関するEU-RAR (2003)に、「試験プロトコールがあまり適切でないので、陽性結果の妥当性には疑問が残る」旨、記述されている。一方、in vitro変異原性試験(チャイニーズハムスター細胞を用いた染色体異常試験、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いたAmes試験)は「陰性」(CaPSAR (1993)、NTP DB(Access on December 2008)、DFGOT vol.3 (1992))との記述がある。以上より、分類するための十分なデータがないので、分類できない。

発がん性

主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。

生殖毒性

妊娠6-15日のラットに強制経口投与した試験で「母動物に肝臓重量の有意な増加と肝臓組織の変化、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値の減少が見られた。胎児に眼の水晶体の障害がみられたが、胎児数、胎児の体重、骨格及び内臓の奇形はみられなかった」(環境省リスク評価第4巻(2005)、HSDB (2004))旨、記述されている。しかしこの試験については、EU-RAR(2003)で、「眼に対する影響は用量依存的ではなかったこと等から、本物質のばく露と関連があるようにはみえない」旨、記述されている。また、ラットに妊娠6-15日の間、強制経口投与した試験で「母動物に肝臓、甲状腺の病変、ヘマトクリット値及びヘモグロビン濃度の減少が見られた。胎児に軽度な骨形成の変化(osteogenic changes)が見られたが、重大な奇形は見られなかった」(Patty (5th, 2001)、DFGOT vol.3(1992))との記述がある。他にデータはなく、生殖機能への影響などが不明なため、分類できない。

12. 環境影響情報

水生環境急性有害性

甲殻類(ニセネコゼミジンコ)の48時間EC50/LC50=0.308 mg/L(CICADs 60, 2004)から区分1とした。(群:トリクロロベンゼンとしての評価)

水生環境慢性有害性

①急速分解性が無く(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.10 mg/L(環境庁生態影響試験, 1997)から、区分1とした。 ②急速分解性が無く(BIOWIN)、急性毒性区分1であることから、区分1とした。 ともに区分1であるため、、区分1とした。 (群:トリクロロベンゼンとしての評価)

13. 廃棄上の注意

残余廃棄物

廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。

汚染容器及び包装

空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。

14. 輸送上の注意

国際規制

海上規制情報
IMOの規制に従う。
航空規制情報
ICAO・IATAの規制に従う。
UN No.
3077
Proper Shipping Name.
Environmentally hazardrous substance, solid, N.O.S.
Class
9

国内規制

陸上規制情報
該当しない
海上規制情報
船舶安全法の規制に従う。
航空規制情報
航空法の規制に従う。

特別安全対策

重量物を上積みしない。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

緊急時応急措置指針番号

153

15. 適用法令

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

新規指定化学物質(第1種)(平成20年11月21日公布、平成21年10月1日施行、PRTR:平成22年4月1日把握開始、平成23年4月1日届出開始)トリクロロベンゼン(政令番号:1-290)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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