急性毒性
経口
ラットにおけるLD50値 7000 mg/kg (JECFA No.906, access on 11. 2008) に基づき、区分外とした。
経皮
ウサギにおけるLD50値 >5000 mg/kg (HSDB, 2008) に基づき、区分外とした。
吸入
吸入(ガス): GHSの定義による液体である。
吸入(蒸気): データなし
吸入(ミスト): ラットにおけるLC50値>4.6mg/L/4h (HSDB (2008))は、飽和蒸気圧濃度(0.07-0.035mg/L)以上で「ミスト」である。得られた情報は1試験のみで、区分4または区分外で特定ができず分類できないとした。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギに、4時間ばく露した結果、全個体において皮膚一次刺激指数5.6/8を示し、「腐食性」を示した(Patty 5th, 2001)ことから区分1とした。EU分類においてR34 (区分1Bまたは1C相当) である(EU-AnnexⅠ, access on 11. 2008) 。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
皮膚腐食性物質(ウサギの皮膚刺激性試験に基づく(Patty 5th, 2001)であることから、区分1とした。眼刺激性試験のデータなし
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:データなし
生殖細胞変異原性
in vivoのデータがなく、in vitro変異原性試験(エームス試験) の陰性結果(NTP Database, access on 11. 2008)のみで分類できないとした。
発がん性
マウスを用いた18-20ヶ月間経皮試験において、皮膚がんはみられていない(Patty (5th, 2001))。また、マウスを用いた経皮生涯試験 および80週間経皮試験においても、発がん性は認められていない(HSDB, 2008)。以上、得られたデータは1つの種および経皮投与試験のみであることから、分類できないとした。
生殖毒性
ラットを用いた催奇形性試験において、発生毒性に影響はみられていない(Patty 5th, 2001), (HSDB (2008))。また、ラットの雌を用いた生殖・発生毒性試験でも影響はみられていない(HSDB, 2008)が、雄の生殖能力への影響が不明であるため、分類できないとした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットを用いた経口投与試験(1350-15380mg/kg 体重)において、不活発、流涎、呼吸困難、筋肉の衰弱および平伏などの症状が用量依存性を示したが、発生濃度は特定できなかった(HSDB, 2008)。以上の結果から区分3(麻酔作用)とした。なお、ウサギを用いた皮下投与試験(0.5ml投与、比重換算値460mg/kg)では、腹部の変色、肺、肝臓、脾臓および副腎に色素変化、右腎臓および胃内壁に濃紅色の病巣、腸に血管新生がみられたが、単一用量の試験であるため分類根拠に採用しなかった。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットによる混餌試験(4週間、3400mg/kg: 90日補正1058mg/kg)で認められた症状は体重減少のみである(Patty (5th, 2001))。ラットによる強制経口試験(27日間、0, 875, 1750, 3500mg/kg)において、875および1750mg/kg(90日補正262.5, 525mg/kg)に本物質に起因する顕著な毒性症状は認められないと記述がある(HSDB(2008))。以上の結果から、区分外(経口)に相当するが、他経路でのデータが不十分であることから分類できないとした。なお、ウサギによる経皮投与試験(2週間、500mg/kg: 25%溶液)においては、組織病理学的検査での結果は不明瞭(unrevealing)と記載されている(Patty (5th, 2001))ことから分類根拠に採用しなかった。
吸引性呼吸器有害性
データなし