急性毒性
経口
ラットLD50=825~1470mg/kg(IUCLID (2000))、800mg/kg(IUCLID (2000))、344mg/kg (HSDB (2008))はいずれも区分4に該当する。 なお(+)体のみが除草剤としての生理活性を有していることから、ラセミ体(+/-)のデータは乏しい。従って、ラセミ体のデータがない場合は、(+)体のデータで評価した。
経皮
ラットLD50 >4000mg/kgは区分外に該当する。
吸入
吸入(ガス): GHS定義における固体である。
吸入(蒸気): データなし
吸入(粉じん): ラットLC50値 >0.65mg/L/4h(HSDB (2008))のデータがあるが、このデータのみでは分類できない。なお、飽和蒸気濃度は0.2 mg/Lであることから粉じんで試験されたと考えられる。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いたドレイズ試験で刺激性(IUCLID(2000))、ラセミ体のウサギを用いたドレイズ試験においてMild~Moderate(HSDB (2008))の結果と併せ、EU分類がR38としていることから区分2とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いたドレイズ試験で刺激性(IUCLID(2000))、ラセミ体を用いたウサギの試験においてsevere~corrosive(HSDB (2008))の結果と、EU分類がR41であることから区分1とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いたmaximization testにおいて感作性なし(IUCLID(2000))、ラセミ体を用いた感作性試験において感作性なしのデータ(HSDB (2008))から区分外に相当するがリスト2のデータであることから分類できないとした。
生殖細胞変異原性
チャイニーズハムスターを用いたラセミ体の経口投与によるSCE試験(in vivo遺伝毒性試験)で陽性であったが、毒性用量でのみ陽性であるので判断できないとしている(HSDB(2008))。また、in vitro変異原性試験:エームス試験、CHL細胞を用いる染色体異常試験、V79細胞を用いる突然変異試験の結果は陰性(HSDB(2008))である。ラセミ体のin vivoデータはないが、チャイニーズハムスターを用いた(+)体の経口投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)の結果が陰性(HSDB(2008))であるから区分外とした。
発がん性
IARC((IARC(1987))でグループ2Bに分類していることより区分2とした。なお、ラットを用いた2年間の混餌試験、マウスを用いた18ヶ月の混餌試験において腫瘍の発生の増加は認められていない(IUCLID (2000))。
生殖毒性
ラットの2世代繁殖試験(OECD TG 416)で親の性機能および生殖能、仔の異常は見られていない(IUCLID (2000))。また、ラットおよびウサギの器官形成期に経口投与した試験において、親の動物に毒性を示さない用量で、仔の臓器および骨格異常が認められている(IUCLID (2000))。また、マウスの発生毒性試験において口蓋裂を発生する(Birth Defects (3 rd, 2000) )。ラセミ体としてのデータはないが、(+)体のデータに基づき区分1Bとした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラセミ体での評価であるという確認が得られないが、ラットの経口投与において250 mg/kg bw 以上で神経作用(低体温、立ち上がり回数の減少、四脚の開き、立ち直り反応、握りの減少等)が見られるとの記載(HSDB (2008))より区分1相当であるがリスト2からのデータであることから区分2(神経系)とした。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラセミ体でのデータではないが、ラットの90日間の経口投与試験(投与量:雄 7.2、36.7、193mg/kg、雌 8.3、41.4、208mg/kg)においてガイダンスの区分2を超える193、208mg/kgの用量で肝重量の変化、生化学、血液学的パラメータの変化、ガイダンスの区分2に該当する36.7、41.7mg/kgの用量で腎臓の重量変化以外に影響は認められていない(HSDB ( 2008))。ラットの13週間の経口投与試験(投与量:雄 20、224、683mg/kg、雌 33、380、1043mg/kg)におけるガイダンスの区分2を超える683mg/kg、1043mg/kgの用量で尿細管における好酸性の変化、肝重量の変化、生化学、血液学的パラメータの変化以外に影響は認められていない(HSDB ( 2008))。また、ラットを用いた13週間試験においても肝臓と腎臓に同様の変化が認められているだけであるが、いずれもガイダンスの範囲内での毒性発現の有無が明確でないことら分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
データなし