安全データシート

タングステン酸ナトリウム

改訂日:2024-01-29版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: タングステン酸ナトリウム
  • CB番号: CB1188314
  • CAS: 13472-45-2
  • 同義語: タングステン酸ナトリウム

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 塩基性染料媒染剤、金属表面処理剤、窯業用副原料、触媒 (化学工業日報社)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H27.07.01、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用
GHS改訂4版を使用
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2B
分類実施日
(環境有害性)
H28.03.18、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (長期間)   分類実施中
水生環境有害性 (急性)   分類実施中

注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。

GHSラベル要素

絵表示
GHS07
注意喚起語
警告
危険有害性情報
飲み込むと有害 眼刺激
注意書き
安全対策
取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
応急措置
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 口をすすぐこと。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
保管
データなし
廃棄
内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性
データなし

3. 組成及び成分情報

  • 単一製品・混合物の区別: 単一製品
  • 化学名又は一般名: タングステン酸ナトリウム
  • 別名: タングステン酸二ナトリウム
  • 濃度又は濃度範囲: 1
  • 分子式 (分子量): Na2O4W (293.826)
  • CAS番号: 13472-45-2
  • 官報公示整理番号
    (化審法)
    : 1-794
  • 官報公示整理番号
    (安衛法)
    : データなし
  • 分類に寄与する不純物及び安定化添加物: データなし

4. 応急措置

吸入した場合

空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。

皮膚に付着した場合

大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。

眼に入った場合

水で15~20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。

飲み込んだ場合

水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。

急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

データなし

応急措置をする者の保護

救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。

医師に対する特別な注意事項

データなし

5. 火災時の措置

消火剤

周辺火災に応じて水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。

使ってはならない消火剤

火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。

特有の危険有害性

火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

特有の消火方法

消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。

消火を行う者の保護

消火作業の際は、適切な保護具や耐火服を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置

関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8. ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。

環境に対する注意事項

周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。

封じ込め及び浄化の方法及び機材

飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策
「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避
データなし
衛生対策
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。

保管

安全な保管条件
保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。直射日光を避け、冷暗所に保管する。
安全な容器包装材料
破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。

8. ばく露防止及び保護措置

管理濃度

未設定

許容濃度

日本産衛学会
(2015年度版)
未設定

許容濃度

ACGIH(2015年版)
TLV-TWA: 1 mg/m3 TLV-STEL: 3 mg/m3 (金属及び溶解性化合物) (タングステン及びその化合物、タングステンとして)

設備対策

粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。

保護具

呼吸用保護具
粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具
手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具
眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具
必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色 (HSDB (2015))
臭い
データなし
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
9~11.5 (20℃、濃度: 100 g/L) (GESTIS (2015))

融点・凝固点

698℃ (HSDB (2015))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

引火点

不燃性 (GESTIS (2015))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

データなし

燃焼又は爆発範囲

データなし

蒸気圧

データなし

蒸気密度

データなし

比重(相対密度)

データなし

溶解度

水:57.5 g/100 mL (0℃) ; 73.2 g (21℃); 96.9 g (100℃) (HSDB(2015))

n-オクタノール/水分配係数

データなし

自然発火温度

不燃性 (GESTIS (2015))

分解温度

データなし

粘度(粘性率)

データなし

10. 安定性及び反応性

反応性

水溶液はアルカリと反応する。

化学的安定性

データなし

危険有害反応可能性

データなし

避けるべき条件

データなし

混触危険物質

データなし

危険有害な分解生成物

データなし

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分4
ラットのLD50値として、1,190 mg/kg との報告 (DFGOT vol.23 (2007)、ATSDR (2005)) に基づき、区分4とした。
経皮
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 分類できない。
データ不足のため分類できない。なお、労働者853人に対するパッチテストにおいて、本物質 (5~20%) を適用した結果、2%の被験者に膿疱性の刺激反応がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 23 (2007))

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分2B
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質100 mgを適用した結果、軽度の結膜刺激がみられたとの報告がある (ATSDR (2005)、PATTY (6th, 2012))。以上から、区分2Bとした。

呼吸器感作性

GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、労働者853人に対するパッチテストにおいて、本物質 (5~20%) を適用した結果、感作性は認められなかったとの報告 (DFG vol. 23 (2007)) や、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において20匹中3匹に感作性が認められたとの報告がある (DFGOT vol. 23 (2007))。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない
本物質ではなく本物質のニ水和物のデータであるが、in vivoでは、ラット、マウスの赤血球を用いた小核試験でいずれも陰性 (ATSDR Addendum (2015))、マウスの骨髄細胞を用いたコメットアッセイでは陽性である (ATSDR Addendum (2015))。In vitroでは、本物質のニ水和物で細菌の復帰突然変異試験で陰性、本物質のヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陽性、陰性のデータ、姉妹染色分体交換試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験では陰性である (ATSDR (2005)、ATSDR Addendum (2015))。以上より、ガイダンスに従い、分類できないとした。

発がん性

GHS分類: 分類できない
ヒトの発がん性に関する情報はない。実験動物では本物質をラット、又はマウスにタングステンとして5 ppmの濃度の飲水を540日間投与した試験で、腫瘍発生率の増加はみられなかった (DFGOT vol. 23 (2007)) との記述がある一方で、タングステン150 ppmを含むタングステン化合物 (非特定) を雌ラットに14日間投与後、N-メチルニトロソウレア (NMU) 50 mgを静脈内注射した試験では、タングステン投与群でNMU注射125日後に乳がん発生率の増加、及び乳がん発生時期の短縮が認められた (DFGOT vol. 23 (2007)、ATSDR (2005)) との記述がある。以上の試験結果からは本物質の発がん性に関して結論は導けず、また国際機関による分類結果もない。したがって、本項はデ-タ不足のため分類できないとした。

生殖毒性

GHS分類: 分類できない
ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では雄ラットに本物質を50 mg/kg/dayで55日間強制経口投与後に無処置雌ラットと交配させた試験では、生殖能、性ホルモン、生殖器重量への影響はみられなかった (ATSDR Addendum (2015))。しかし、雄ラットに本物質を275 mg/kg/day相当量で3ヶ月間混餌投与後に無処置雌ラットと交配させた試験では、精巣ライデッヒ細胞の密度及び機能の増加、血清テストステロン、LH及びFSHレベルの増加がみられた (ATSDR Addendum (2015)) との記述がある。一方、雌ラットに本物質を275 mg/kg/day相当量で3ヶ月間混餌投与後に無処置雄ラットと交配させた試験でも、血清FSHレベルの増加、及び同プロジェステロンレベルの減少がみられた (ATSDR Addendum (2015)) との記述がある。また、雌雄ラットに本物質を交配前70日間、及び交配、妊娠を経て、哺育20日まで強制経口投与した結果、高用量の125 mg/kg/dayでは妊娠期間の延長がみられたのに対し、マウスを用いた同様の試験では、生殖能及び性機能への影響はみられていない (ATSDR Addendum (2015))。この他、雌ラットにタングステン化合物 (非特定) を妊娠前及び妊娠期間を含め、最長8ヶ月間混餌投与し、妊娠20日に帝王切開して胎児を観察した試験で、胎児毒性、及び骨化遅延がみられたとの報告があるが、記述が不十分で詳細不明であるとされている (ATSDR (2005)、DFGOT vol. 23 (2007))。
以上、ラットに本物質を経口経路で投与した生殖影響評価試験において、雌雄とも性ホルモンレベルに変動を生じたものの、性機能に特段の変化はみられず、生殖能への有害影響も示されていない。しかしながら、妊娠動物を用いた発生影響について、評価に十分な試験成績がない。よって、本項はデータ不足のため分類できないとした。

12. 環境影響情報

生態毒性

水生環境有害性(急性)
分類実施中
水生環境有害性(長期間)
分類実施中

オゾン層への有害性

当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13. 廃棄上の注意

残余廃棄物

廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。

汚染容器及び包装

容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14. 輸送上の注意

国際規制

国連番号
-
国連品名
-
国連危険有害性クラス
-
副次危険
-
容器等級
-
海洋汚染物質
該当しない
MARPOL73/78附属書Ⅱ及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質
該当しない

国内規制

海上規制情報
船舶安全法に従う。
航空規制情報
航空法に従う。
陸上規制情報
消防法、道路法に従う。

特別安全対策

移送時にイエローカードの保持が必要。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。

緊急時応急措置指針番号

-

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を通知すべき危険物及び有害物

水道法

有害物質

外国為替及び外国貿易管理法

輸出貿易管理令別表第1の16の項

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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