安全データシート

イソシアヌル酸トリグリシジル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: イソシアヌル酸トリグリシジル
  • CB番号: CB8322836
  • CAS: 2451-62-9
  • EINECS番号: 219-514-3
  • 同義語: 1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌラート

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 粉体塗料(ポリエステル系の硬化剤)、ソルダー(はんだ)レジストインク、光半導体封止樹脂、電気部品成形材料・強化プラスチック・接着用・耐熱レジストインキ・エポキシ樹脂改質材(耐熱性、剛性、硬度、反応性向上)・難燃プラスチックの安定剤、粉体塗料・エポキシ樹脂改質剤・難燃プラスチック安定剤・光半導体封止樹脂原料
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
GHS改訂4版を使用
H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (造血系) 区分2 (全身毒性)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (造血系、呼吸器)
生殖毒性   区分2
生殖細胞変異原性   区分1B
皮膚感作性   区分1
呼吸器感作性   区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2A
皮膚腐食性/刺激性   区分2
急性毒性 (吸入:粉塵、ミスト)   区分3
急性毒性(経口)   区分3
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用
環境に対する有害性
-

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS05GHS06GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H412 長期継続的影響によって水生生物に有害。
H373 長期にわたる、又は反復ばく露により臓器 (全身毒性) の障害のおそれ。
H340 遺伝性疾患のおそれ。
H318 重篤な眼の損傷。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
H301 + H331 飲み込んだ場合や吸入した場合は有毒。
注意書き
安全対策
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P272 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P260 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P333 + P313 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 + P310 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。
P304 + P340 + P311 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。
P302 + P352 皮膚に付着した場合:多量の水で洗うこと。
P301 + P310 + P330 飲み込んだ場合:直ちに医師 に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
専門的な使用者に限定。
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Triglycidyl isocyanurate
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C12H15N3O6
  • 分子量: 297.26 g/mol
  • CAS番号: 2451-62-9
  • EC番号: 219-514-3
  • 化審法官報公示番号: 5-1052
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 直ちに被災者を病院に連れて行く。 医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

窒素酸化物(NOx)
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

データなし

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

呼吸保護(服)を着用。 粉じんの発生を避ける。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 安全な場所に避難する。 粉じんを吸い込まないよう留意。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環境への放出は必ず避けなければならない。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

粉じんを発生させないように留意して回収し、廃棄する。 掃いてシャベルですくいとる。 廃棄に備え適切な容器に入れて蓋をしておく。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
皮膚や眼への接触を避けること。 粉じんやエアゾルを発生させない。安全取扱注意事項曝露を避けるー使用前に特別指示を受ける。
火災及び爆発の予防
粉じんが発生する場所では、換気を適切に行う。
衛生対策
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管条件
冷所に保管。容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 0.05 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
顔面シールドおよび保護メガネ NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規
格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Dermatril® (KCL 740 / Aldrich Z677272, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
化学防護服, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、保護装置のタイプを選
択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、N100型(US)またはP3型(EN 143)呼吸用保護具カートリッジ
付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、全面形送気
マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、
認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。 環
境への放出は必ず避けなければならない。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色粉末又は顆粒 (HSDB (2017))
臭い
情報なし
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
情報なし

融点・凝固点

95℃ (HSDB (2017))

沸点、初留点及び沸騰範囲

210℃ (Merck (15th, 2013))

引火点

200℃ (化学商品 (2016))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

可燃性 (ICSC (1997) (J))

燃焼又は爆発範囲

情報なし

蒸気圧

9.63×10-11 mmHg (25℃) [換算値 1.3×10-8 Pa](SRC PhysProp (2017))

蒸気密度

10.25 (空気= 1、計算値) (NITE初期リスク評価書 (2008))

比重(相対密度)

情報なし

溶解度

水:9 g/L (25℃) (GESTIS (2017))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 1.21(est) (HSDB (2017))

自然発火温度

200℃(ICSC (J) (1997))

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

1 Pa・s以下 (化学商品 (2016))

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

データなし

10.5 混触危険物質

強酸化剤

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、188~715 mg/kg (CICAD 8 (1998)) 及び255~950 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との報告があり、いずれも区分3~4に該当する。有害性の高い区分を採用して、区分3とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (CICAD 8 (1998)) 及び> 3,100 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHS定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHS定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分3 ラットの4時間吸入試験 (粉じん) のLC50値として、0.65 mg/L (CICAD 8 (1998)) との報告に基づき、区分3とした。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 区分2 オーストラリアの粉末塗料製造工場で本物質を取扱う労働者28人中8人に皮膚の発疹などの刺激性がみられたとの記述 (NICNAS (1994)) や、ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質は軽度の紅斑と浮腫を伴う刺激性を示したとの報告 (CICAD 8 (1998), ACGIH (7th, 2001), NITE初期リスク評価書 (2008)) から、区分2とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分2A オーストラリアの粉末塗料製造工場で本物質を取扱う労働者28人中8人に眼の刺激性がみられたとの記述 (NICNAS (1994)) や、ウサギを用いた眼刺激性試験において中等度から強度の角膜混濁、発赤、結膜浮腫、眼脂を生じたが適用7日後までに回復したとの報告 (NICNAS(1994)) から、区分2Aとした。 なお、EU CLP分類において本物質はEye Dam. 1 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。

呼吸器感作性

GHS分類: 区分1 本物質を含む粉末塗料又は色素粉末を取扱った塗装作業者の2件の事例において、本物質のばく露前にはアトピー性の基礎疾患はなかったが、塗装作業によるばく露後に咳、喘鳴、呼吸困難などを発症し、本物質の誘発試験による強制呼気量の低下から本物質による職業性喘息と結論されたとの報告 (NICNAS (2001)) から、区分1とした。

皮膚感作性

GHS分類: 区分1 職業ばく露により接触性皮膚炎を発症した患者が、本物質に対するパッチテストで陽性を示したとの報告 (ACGIH (7th, 2001)、NICNAS (1994)) から、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。また、モルモットによる皮膚感作性試験においては、本物質が皮膚感作性が陽性の報告 (CICAD 8 (1998), NICNAS (2001)) と陰性の報告 (NICNAS (2001)) がある。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 区分1B In vivoでは、マウスを用いた優性致死試験で陰性、マウススポットテストで陰性、マウスの精原細胞を用いた染色体異常試験で陽性、陰性の結果、マウスの精母細胞を用いた染色体異常試験で陰性、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果である (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 8 (1998)、ACGIH (7th, 2001))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 8 (1998)、ACGIH (7th, 2001))。以上より、マウスの精原細胞を用いた染色体異常試験での陽性結果に再現性が確認されているため、ガイダンスに従い区分1Bとした。

発がん性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、雄ラットに本物質を最長99週間、混餌投与 (10~100 ppm: 高用量の300 ppmでは死亡例発現のため63週間で試験終了) した試験では、投与に関連した腫瘍の増加はみられなかったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、NICNAS (2001))。

生殖毒性

GHS分類: 区分2 雄ラットに本物質を9週間混餌 (10~100 ppm) 投与後に通常飼料を給餌した雌と交配・分娩させた試験では、雄の授精能、胎児及び出生児の発達には影響はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2008)、NICNAS (2001)、CICAD 8 (1998))。一方、雄マウスに本物質の粉じんを5日間吸入ばく露後に非ばく露雌と8週間交配させた試験では、10 mg/m3で第3週に、50 mg/m3では第3週及び6週に授精能の低下が認められた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001))。 以上、雄の授精能を調べた2つの試験のうち、経口経路では無影響であったが、吸入経路では授精能低下が確認された。よって、雄性生殖能への影響を否定できず、本項は区分2とした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分1 (造血系、呼吸器) 本物質にはα型とβ型があり、ヒトについてはα型であるα-トリグリシジルイソシアヌレートは1980年代初期に抗腫瘍効果が期待されていた時期があり、がん患者への静脈内注射での報告があるが、注射部位に血栓性静脈炎を引き起こすために開発は中止された。α-トリグリシジルイソシアヌレートの静脈内注射では投与回数等の正確な投与形態は不明であるが、種々の投与形態で900 mg/kg まで投与されており、その毒性症状として骨髄抑制、吐き気、嘔吐があり、まれに脱毛と白血球減少が600 mg/kg 以上の高用量の場合にみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。 実験動物では、本物質粉じんの4時間単回吸入ばく露試験で、ラットでは鼻粘膜の軽度の炎症と、死亡個体で肺の出血が認められたとの報告 (CICAD 8 (1998))、マウスでは自発運動低下、眼と呼吸器の刺激、鼻、眼、口周辺の痂皮形成、肺の変色が認められたとの報告 (CICAD 8 (1998)) がある。影響がみられた用量の詳細な記載はないが、これらの試験のLC50値はラットでは区分1範囲の0.65 mg/L 、マウスでは区分2範囲の2.0 mg/Lと報告されているため、気道の刺激と呼吸器への影響はLC50値付近でみられたと考えられる。 以上より本物質はヒトの情報から造血系、実験動物の情報から呼吸器を標的臓器とすると考えられる。したがって区分1 (造血系、呼吸器) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分1 (造血系)、区分2 (全身毒性) 本物質にはα型とβ型があり、ヒトについてはα型であるα-トリグリシジルイソシアヌレートは1980年代初期に抗腫瘍効果が期待されていた時期があり、がん患者への静脈内注射での報告があるが、注射部位に血栓性静脈炎を引き起こすために開発は中止された。α-トリグリシジルイソシアヌレートの静脈内注射では種々の投与形態で900 mg/kg まで投与されているが、その毒性症状として骨髄抑制、吐き気、嘔吐があり、まれに脱毛と白血球減少が600 mg/kg 以上の高用量の場合にみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。 実験動物については、雄ラットを用いた混餌による99週間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である300 ppm (13.6 mg/kg/day) で摂餌量の有意な減少、体重増加量の著しい減少 (-68%)、一般状態の悪化、生存率低下 (56%、他群は90-96%)、腸間膜リンパ節内に肥満細胞増多 (44/49 匹) ・ヘモジデリン沈着 (22/49匹) ・類洞出血 (24/49 匹)、脾臓リンパ球様細胞の枯渇、腸管の拡張 (十二指腸32/44、空腸30/45、回腸13/36) の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。 以上、ヒトの結果から区分1 (造血系) とし、実験動物の結果から区分2 (全身毒性) とした。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Danio rerio (ゼブラフィッシュ) - > 77 mg/l - 96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
ミジンコ等の水生無脊
固定化 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - > 100 mg/l - 24 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
成長抑制 EC50 - Desmodesmus subspicatus(セネデスムス・サブスピカトゥ
ス) - 29 - 30 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
微生物毒性
呼吸抑制 IC50 - スラッジ処理 - > 100 mg/l - 3 h
(OECD 試験ガイドライン 209)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 44 d
結果: 0.5 - 1 % - 分解性なし
(OECD テスト ガイドライン 301B)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。 可燃性溶剤に溶解または混合し、アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却する。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2811    IMDG (海上規制): 2811    IATA-DGR (航空規制): 2811

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Toxic solid, organic, n.o.s. (TGIC)
IMDG (海上規制): TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. (TGIC)
ADR/RID (陸上規制): TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. (1,3,5-トリスグリシジル-イソシアヌル酸)

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1    IATA-DGR (航空規制): 6.1

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強酸化剤

15. 適用法令

化審法

旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)

労働安全衛生法

変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達) 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)

航空法

毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)

船舶安全法

毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)

大気汚染防止法

有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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