急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分4とした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 雄: 791 mg/kg (NTP TR359 (1989)、HSDB (Access on May 2020)) (2) ラットのLD50: 雌: 930 mg/kg、雄: 1,170 mg/kg (IF (オクソラレン錠 10 mg) (2019年4月 (改訂第13版)))
経皮
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) の記載はあるが、区分に十分なデータはなくデータ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) 本物質を含有する製品において適用後、過度の紫外線照射による発赤、水疱、腫脹、痂皮等の皮膚障害が報告されている (IF (オクソラレン錠 10 mg) (2019年4月 (改訂第13版)))。 (2) ラットを用いた実験で光毒性を示すことが報告されている (HSDB (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) OECD TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) においてSI値は3を上回らず、陰性と判定された (Maeda Y et al., J Applied Toxicol 38:1316–1322 (2018))
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2とした。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス腹腔内投与による染色体異常試験で陽性、小核試験で曖昧な結果の報告がある (CEBS (Access on May 2020))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性の報告がある (NTP TR359 (1989)、CEBS (Access on May 2020))。
発がん性
【分類根拠】 (1) の既存分類結果に基づき区分1Aとした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでMethoxsalen (本物質) plus UVA radiationとしてグループ1 (IARC 100A (2012))、NTPでMethoxsalen (本物質) with Ultraviolet A TherapyとしてK (NTP RoC (14th, 2016)) に分類されている。 (2) ヒトにおいて本物質とUVAの併用投与による発がん性に関する十分な証拠がある。本物質とUVA照射との併用は皮膚がん (扁平上皮がん) を生じる (IARC 100A (2012))。 (3) マウスに本物質を経口又は経皮適用し、同時にUVA照射した多くの発がん性試験で皮膚がんの発生増加が認められている。本物質とUVA照射との併用は実験動物で十分な発がん性の証拠がある (IARC 100A (2012))。 (4) 本物質単独でもラットの混餌投与で発がん性を示したとの報告もある。本物質単独では、実験動物で発がん性の限られた証拠がある (IARC 100A (2012))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1) より、母動物毒性がみられるものの胎児毒性の重篤度を考量して区分1Bとした。なお、新たな情報が得られたため旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓相対重量増加) がみられる用量で、胎児に胚吸収率増加、生存胎児数減少、胎児体重の低値、骨格変異及び奇形 (主に側脳室の拡大) の頻度増加がみられた (NTP Abstract for TER91017 (Access on July 2020))。
【参考データ等】 (2) 雌ウサギの妊娠6~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (一過性の体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量においても、胎児に影響はみられていない (NTP Abstract for TER91016 (Access on July 2020))。 (3) 妊娠ラット及び妊娠マウスの妊娠7日目から13日目まで、本物質を反復投与したところ、いずれの動物種においても催奇形作用を認めなかった (IF (オクソラレン錠 10 mg) (2019年4月 (改訂第13版)))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 本物質単独でのヒトでの単回ばく露に関する有害性の報告はない。(2) より中枢抑制作用が疑われるが、用量が不明であるため、(1)、(2) より区分3 (麻酔作用) とした。新たな情報の採用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) マウスの一般薬理試験では、経口投与により、100 mg/kg (区分1の範囲) 以上で自発運動量の抑制、400 mg/kg (区分2の範囲) で最大電撃痙攣の抑制がみられたとの報告がある (IF (オクソラレン錠 10 mg) (2019年4月 (改訂第13版)))。 (2) 用量は不明だが、マウスやラットを用いた単回投与毒性試験では、経口投与や皮下投与による中毒症状として、自発運動の抑制、呼吸数減少、呼吸のひっ迫、唾液分泌、間代性痙攣、振戦、嗜眠、催涙がみられたとの報告がある (IF (オクソラレン錠 10 mg) (2019年4月 (改訂第13版)))。
【参考データ等】 (3) 本物質はUVA照射と組み合わせて皮膚疾患の治療に用いられ、ヒトでは本物質とUVAの併用治療による免疫系の障害が報告されているが、本物質単独での副作用は報告されていない (NTP TR359 (1989))。 (4) 尋常性白斑患者を対象とした本物質の副作用情報として、錠剤では紅潮、腹痛、吐き気、めまい、不眠、顔面浮腫、胸内苦悶、抑うつ、頭痛、肝機能障害が報告されている (JAPIC医療用医薬品集2017 (2016))。 (5) 本物質の経口投与による最も一般的な副作用は吐き気であり、約10%の患者に発生する。本物質を使用したUVA照射療法でも胃腸への影響が起こる可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 本物質単独のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物では、(1)~(3) より区分1以上の用量で甲状腺、腎臓への影響がみられていることから、区分1 (甲状腺、腎臓) とした。新たな情報の追加により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットの3ヵ月間経口投与試験では、25 mg/kg (区分2の範囲) 以上で肝細胞腫大・肥大、腎皮質尿細管上皮細胞肥大、下垂体腺細胞肥大、甲状腺の小胞小型化・上皮細胞腫大、副腎の束状体細胞腫大、脾臓のリンパろ胞腫大が認められたとの報告がある (IF (オクソラレン錠 10 mg) (2019年4月 (改訂第13版)))。 (2) ラットの103週間経口投与試験では、雄で37.5 mg/kg (区分2の範囲) 以上で腎尿細管上皮の局所的過形成、慢性腎症 (尿細管の拡張と萎縮を伴う尿細管上皮の変性及び再生、硝子様円柱、顆粒状円柱、基底膜の肥厚、間質性線維症、糸球体硬化症)、甲状腺のびまん性肥大、75 mg/kg (区分2の範囲) で腎臓の髄質及び腎乳頭の鉱質沈着がみられたとの報告がある (NTP TR359 (1989))。 (3) ラットの3ヵ月間経皮ばく露試験では、5 mg/kg (区分1の範囲) 以上で肝細胞腫大・肥大、腎皮質尿細管上皮細胞肥大、下垂体の前葉充血・腺細胞肥大、甲状腺の 小胞小型化・上皮細胞腫大・コロイド減少、副腎の束状体細胞腫大、塗布局所皮膚の棘細胞・基底細胞の腫大、所属腋下リンパ節のろ胞腫大・ 洞カタル・神経細胞腫大等が認められたとの報告がある (IF (オクソラレン錠 10 mg) (2019年4月 (改訂第13版)))。
【参考データ等】 (4) 本物質はUVA照射と組み合わせて皮膚疾患の治療に用いられ、ヒトでは本物質単独での副作用は報告されていない (NTP TR359 (1989))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害クラスの内容に変更はない。