急性毒性
経口
ラットLD50: 5230 mg/kg、5180 mg/kg、5400 mg/kg (SIDS (2001))。(GHS分類:区分外)
経皮
ウサギLD50: 13000-14000 mg/kg、>19000 mg/kg、9500 mg/kg (SIDS (2001))。(GHS分類:区分外)
吸入
吸入(ミスト): データなし。(GHS分類:分類できない)
吸入(蒸気): ラットに500 ppm (3.1 mg/L)を7時間ばく露により死亡なしとの結果(SIDS (2001))から、4時間ばく露に換算したLC50値は661 ppm (4.1 mg/L)以上となる。なお、試験物質について評価書(SIDS (2001))に"saturated vapour (fog) atmosphere"と記載されているので、ミストが混在している蒸気とみなし、蒸気の基準値(mg/L)を適用した。(GHS分類:分類できない)
吸入(ガス): GHSの定義における液体である。(GHS分類:分類対象外)
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた複数の試験で刺激なし(not irritating)(SIDS (2001))。ヒトでは皮膚に無希釈の試験物質を5日間適用しても刺激性なし(not irritating)の結果により、皮膚刺激物ではないとの結論付けられている(SIDS (2001))。(GHS分類:区分外)
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギに試験物質原液を0.1 mL適用後に角膜と眼瞼に刺激症状がみられたが7日目までに回復、そのほかに角膜上皮に軽微な影響が認められた(SIDS (2001))。なお、ウサギに試験物質500 mgを適用した別の試験では刺激性なしとの結果(SIDS (2001))があり、ヒトで10人の男性ボランティアの眼に20%溶液を適用した試験で、軽微な刺痛感、流涙、軽度な結膜の充血がみられた(ECETOC TR95 (2005))。(GHS分類:区分2B)
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:200人の被験者の背部皮膚に適用した皮膚感作性試験において、皮膚感作性の証拠は認められず、当該物質は皮膚感作性物質ではないと結論付けられている(SIDS (2001))。(GHS分類:区分外)
呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖細胞変異原性
エームス試験およびCHL細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陰性(SIDS (2001))。(GHS分類:in vivo の試験データがなく分類できない。)
発がん性
データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖毒性
妊娠ラットおよびウサギの器官形成期に吸入ばく露した試験において、常温常圧下で実現可能な最高濃度300 ppmで両動物種とも胚・胎児毒性または催奇形性を示さず、仔の発生に悪影響は認められなかった(SIDS (2001))。(GHS分類:分類できない)
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットに経口投与した試験では中枢神経系の抑制、7時間の吸入ばく露では軽度の麻酔が認められている(SIDS (2001))。ウサギに経皮投与した試験で一過性の麻酔作用が報告されている(SIDS (2001))。ヒトで鼻に僅かな刺激があり、咽喉や気道に刺激を起こす最小濃度について言及されている(SIDS (2001))。また、100 ppm以上で中枢神経障害の徴候が現れる前に、鼻、咽喉、気道の刺激が苦痛を与えると記述(ACGIH (2001))がある。(GHS分類:区分3(麻酔作用、気道刺激性))
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットの4週間経口投与試験において、高用量群の1000 mg/kg/day(90日換算:308 mg/kg/day)で一時的な流涎、肝臓の有意な重量増加と小葉中心性肝細胞肥大が認められているが、その他には試験物質投与の影響は報告されていない(SIDS (2001))。この肝臓の所見については適応性の変化と結論付けられている(SIDS (2001))。ラットの4週間経皮投与試験のNOELは1000 mg/kg/day(90日換算:308 mg/kg/day)、また、ウサギの90日間経皮投与試験のNOELは2850 mg/kg/day(SIDS (2001))である。ラットまたはウサギの13週間吸入ばく露試験(蒸気: 6 hours/day; 5 days/week)のNOELは200 ppm(1.212 mg/L)以上(SIDS (2001))である。 (GHS分類:区分外)
吸引性呼吸器有害性
データなし。(GHS分類:分類できない)