安全データシート

ジアセチル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ジアセチル
  • CB番号: CB3853625
  • CAS: 431-03-8
  • EINECS番号: 207-069-8
  • 同義語: ジアセチル,2,3-ブタンジオン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 有機合成中間体、香料 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分2
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (呼吸器)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (呼吸器)
発がん性   区分2
皮膚感作性   区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分1
皮膚腐食性/刺激性   区分2
急性毒性 (吸入: 蒸気)   区分3
分類実施日(環境有害性)
H27年度、政府向けGHS分類ガイダンス (平成25年度改訂版(Ver.1.1)) (R1年度、分類実施中)
環境に対する有害性
-   分類できない

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS05GHS06GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H318 重篤な眼の損傷。
H315 皮膚刺激。
H302 飲み込むと有害。
H225 引火性の高い液体及び蒸気。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H331 吸入すると有毒。
注意書き
安全対策
P280 保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P243 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P240 容器を接地すること/アースをとること。
P233 容器を密閉しておくこと。
P210 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
応急措置
P370 + P378 火災の場合:消火するために乾燥砂、粉末消火剤 (ドライケミカル) 又は耐アルコール性フォームを使用すること。
P362 + P364 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P332 + P313 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 + P310 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。
P304 + P340 + P311 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Biacetyl
    Diacetyl
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C4H6O2
  • 分子量: 86.09 g/mol
  • CAS番号: 431-03-8
  • EC番号: 207-069-8
  • 化審法官報公示番号: 2-563
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
医師に相談する。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸い込んだ場合、新鮮な空気の場所に移す。 呼吸していない場合には、人工呼吸を施す。 医師に相談する。
皮膚に付着した場合
石けんと多量の水で洗い流す。 直ちに被災者を病院に連れて行く。 医師に相談する。
眼に入った場合
多量の水で15分以上よく洗浄し、医師の診察を受けること。
飲み込んだ場合
無理に吐かせないこと。 意識がない場合、口から絶対に何も与えないこと。 口を水ですすぐ。 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
ウォータージェットは使用しない。
適切な消火剤
粉末 乾燥砂

5.2 特有の危険有害性

可燃性。
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

消火活動時には必要に応じて 自給式呼吸装置を装着する。

5.4 詳細情報

未開封の容器を冷却するために水を噴霧する。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

呼吸保護(服)を着用。 蒸気、ミスト、またはガスの呼吸を避ける。 十分な換気を確保する。 付近の発火源となるものを取り除く。 安全な場所に避難する。 蒸気がたまると爆発性濃縮物が生成されるので要注意。蒸気は低いところにたまる可能性あり。個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

漏出物を閉じ込め、不可燃性の吸収剤 (砂、土、珪藻土、バーミキュライト等) を使用して集め、地域/国の規則に従い廃棄するために容器に入れる (項目 13 を参照)。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
局所換気を行い使用する。安全取扱注意事項皮膚や眼への接触を避けること。 蒸気やミストの吸い込みを避けること。安全取扱注意事項皮膚や眼への接触を避けること。 蒸気やミストの吸い込みを避けること。
火災及び爆発の予防
発火源から離しておいてください-禁煙。静電気の蓄積を防止する手段を講じる。
衛生対策
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 3: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 一度開けた容器は注意深く再度密封し、漏れを避けるためまっすぐ立てておく。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 0.01 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
当化合物は閉鎖系内で取り扱うこと。作業は全て密閉型のグローブバッグ内で行い、不慮の接触事故
を防止する。
皮膚、眼、そして衣服との接触を避ける。 休憩前や製品取扱い直後には手を洗う。
保護具
眼/顔面の保護
密着性の高い安全ゴーグル 防災面を着用する(8インチ/20.3cm以上)。 NIOSH(US)また
はEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の保護具を使用する。
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.3 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 897 / Aldrich Z677647, Size M)
飛沫への接触
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.3 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 897 / Aldrich Z677647, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
長袖の衣服, 皮膚の予防処置
化学防護服, 難燃静電気保護服。, 特定の作業場に存在する危険物質の濃度および量に応じて、
保護装置のタイプを選択しなければならない。
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、多目的直結式(US)またはABEK型(EN14387)呼吸用保護具カ
ートリッジ付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、
全面形送気マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格
で試験され、認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
安全を確認してから、もれやこぼれを止める。 物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
黄色
臭い
不快なバター臭

融点/凝固点

-2.4℃ (ICSC (2009))

沸点、初留点及び沸騰範囲

88℃ (ICSC (2009))

可燃性

引火性液体 (HSDB (Access on November 2019))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

2.4~13 vol% (ICSC (2009))

引火点

6℃ (c.c.) (ICSC (2014))

自然発火点

365℃ (ICSC (2009))

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水: 20 g/100 mL (25℃) (ICSC (2009)) 主要な有機溶媒に易溶 (HSDB (Access on November 2019))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = -1.34 (ICSC (2009))

蒸気圧

56.8 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2019))

密度及び/又は相対密度

1.1 (ICSC (2009))

相対ガス密度

3 (空気 = 1) (ICSC (2009))

粒子特性

該当しない

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

データなし

10.2 化学的安定性

推奨保管条件下では安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

熱、炎、火花。

10.5 混触危険物質

酸化剤, 強塩基類, 還元剤, 金属

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1) がガイダンスの区分4、(2)、(3) が区分外 (国連分類基準の区分5) に相当することから、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 1,580 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、JECFA FAS42 (1999)) (2) ラット(雄) のLD50: 3,400 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、JECFA FAS42 (1999)、NTP TR593 (2018)) (3) ラット(雌) のLD50: 3,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、JECFA FAS42 (1999)、NTP TR593 (2018))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: > 5,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 (1) ではLC50値が2,250 ppmと5,200 ppmの間と推定されていることと、(2)では本物質に吸入ばく露した作業者に気道への損傷がみられたことから、区分3とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (74,742.7 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。情報の更新により、区分を変更した。
【根拠データ】 (1) 2,250、5,200、23,900 ppmの本物質の蒸気を4時間吸入ばく露した試験で、5,200 ppm以上の群で全ての動物が死亡しており、LC50値は2,250 ppmと5,200 ppmの間にあると推定されている (EU SCOEL SUM 149 (2014))。 (2) 本物質に吸入ばく露した作業者が気道を損傷することが判明したため、本物質は無視できない毒性の可能性がある有害物質として登録された (GESTIS (Access on May 2019))。
【参考データ等】 (3) ラットに99.3 ppmを6時間ばく露 (4時間換算値: 122 ppm) した結果、無影響であった (PATTY (6th, 2012))。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1) のヒトでの症例から区分2とした。
【根拠データ】 (1) ポップコーン工場で本物質を主成分とするバター風味香料の蒸気にばく露された労働者が眼、皮膚、鼻に刺激を示したとの記載がある (EU SCOEL SUM 149 (2014))。
【参考データ等】 (2) 本物質をウサギの皮膚に適⽤した試験で、中等度~強度の刺激性を示すとの記載がある (PATTY (6th, 2012))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。
【根拠データ】 (1) 本物質をウサギの眼に適用した試験で、刺激性を示し、21日以内に回復しなかったとの記載がある (PATTY (6th, 2012))。 (2) 本物質の原液0.1 mLをウサギの眼に適用した試験で、粘膜及び角膜に強度の刺激を示し、腐食性物質と判断された (GESTIS (Access on May 2019))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1) に細区分に使用されるEC3の値が報告されているが、前者はOECD TG 429の使用推奨系統のマウスが使用されておらず、後者はOECD TG 429承認以前の報告のため、細区分は行わず、区分1とした。
【根拠データ】 (1) マウス局所リンパ節試験 (LLNA) で陽性を示し、EC3値が1.9% (Anderson et al., Toxicol. Sci., 97, 355, 2007)、又は11.3% (Roberts et al., Contact Dermat., 41, 14, 1999) と報告されている (PATTY (6th, 2012)) 。
【参考データ等】 (2) ワセリン中に本物質を2%含有する軟膏を使用して、各回2日間×5回適用し10~14日後に同じ軟膏で誘発したヒトマキシマイゼーション試験で全て陰性であった。 また、本物質にばく露されていない被験者に対するパッチテストで接触性皮膚炎患者102人中2人は陽性反応を示した (GESTIS (Access on May 2019))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)、(2) より、in vivoのラットを用いた不定期DNA合成試験の陽性結果は腺胃粘膜炎症が生じた用量での知見であり、明確に陽性と判断できないため、分類できないとした。
【根拠データ】 (1) In vivoでは、ラットの胃における不定期DNA合成試験で陽性の報告が1件あった (PATTY (6th, 2012)) が、EU SCOEL SUM 149 (2014) によると、これは腺胃粘膜炎症が生じた用量での知見である。また、腹腔内投与によるマウス骨髄小核試験や吸入ばく露によるマウス、ラットの末梢血小核試験を含め、小核試験陰性の報告が4件あった (NTP TR593 (2018)、PATTY (6th, 2012))。 (2) In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、マウスリンフォーマ試験及び哺乳動物細胞の姉妹染色分体交換試験で陽性の結果であった (NTP TR593 (2018)、ACGIH (7th, 2012)、JECFA FAS42 (1999)、PATTY (6th, 2012))。

発がん性

【分類根拠】 (1)、(2) より、実験動物2種で、低頻度ではあるが標的臓器の鼻腔に腫瘍発生がみられたことから、区分2とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (12.5、25、50 ppm) において、50 ppmの雄で鼻腔の扁平上皮がん (3/50) 及び扁平上皮乳頭腫 (1/50)、雌で鼻腔の扁平上皮がん (3/50) がみられた。これより、雌雄ラットともに本物質の発がん性に関してある程度の証拠 (some evidence) があると結論した (NTP TR593 (2018))。 (2) マウスを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (12.5、25、50 ppm) において、雄では腫瘍の発生は認められず、雌の50 ppmで鼻腔腺がん (2/50) が認められた。これより、雄マウスには発がん性の証拠なし、雌マウスには発がん性の曖昧な証拠 (equivocal evidence) があると結論された (NTP TR593 (2018))。
【参考データ等】 (3) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHがA4と分類している (ACGIH (7th, 2012))。

生殖毒性

【分類根拠】 (1) より催奇形性は認められていないが、性機能、生殖能に関する情報がなく、データ不足のため分類できないとした。
【根拠データ】 (1) 雌ラットの妊娠6~15日、雌マウスの妊娠6~15日、雌ハムスターの妊娠6~10日に本物質の90%溶液を強制経口投与した催奇形性試験において、いずれの種でも母動物毒性は認められず、胎児の奇形もみられなかった (PATTY (6th, 2012)、JECFA FAS42 (1999)、HSDB (Access on May 2019)) 。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1) より、区分1 (呼吸器) とした。(2) のヒトのばく露例で呼吸器への影響を示す報告があるが、症例1例のみで、本物質の含量が不明な混合物へのばく露であるため、分類根拠としなかった。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた6時間単回吸入ばく露試験において、99 ppm (0.35 mg/L、4時間換算値: 0.43 mg/L) でわずかな壊死性化膿性鼻炎、198 ppm (0.70 mg/L、4時間換算値: 0.86 mg/L) で、鼻腔の好中球性炎症を伴う中程度の壊死性化膿性鼻炎、295 ppm (1.04 mg/L、4時間換算値:1.27 mg/L) で、鼻腔上皮細胞及び気管支上皮細胞の好中球性炎症を伴う壊死 (壊死性化膿性気管支炎及び鼻炎を含む) との報告がある (PATTY (6th, 2012)、EU SCOEL SUM 149 (2014))。これらの影響がみられた濃度は区分1に相当する。
【参考データ等】 (2) 香料生産のために、本物質を含む高温の混合物を数時間取り扱った36才男性が、眼の痛みと発赤、結膜分泌物を生じ、9ヵ月後にも気道疾病を示唆する努力呼気流量の低下を示した (EU SCOEL SUM 149 (2014))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

(4) マウスに25~100 ppmを12週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した結果、25 ppm以上 (ガイダンス値換算: 0.06 mg/L、区分1の範囲) で気管支周囲のリンパ球性炎症、鼻及び嗅上皮の萎縮・化生が、50 ppm (ガイダンス値換算: 0.12 mg/L、区分1の範囲) 以上でLDH活性増加が、100 ppm (ガイダンス値換算: 0.23 mg/L、区分2の範囲) で体重減少、呼吸数減少及び分時呼吸量の減少、中等度の化膿性鼻炎、鼻及び嗅上皮の慢性活動性炎症、上皮の潰瘍、壊死、萎縮、化生、小気道及び細気管支に及ぶ気管支の萎縮、剥離、変性、気管支周囲のリンパ球性炎症がみられた (ACGIH (7th, 2012)、PATTY (6th, 2012))。
【分類根拠】 (1) より、ヒトで呼吸器に対する影響がみられ、(2)~(4) より、実験動物において区分1の範囲で呼吸器への影響がみられていることから、区分1 (呼吸器) とした。
【根拠データ】 (1) 本物質を香料として使用した電子レンジ用ポップコーンの調理作業者で細気管支閉塞症に似た症例が報告され、ポップコーン製造工場で混合作業を行う作業者でも同様の症例が報告されている。また、ポップコーン製造に使用されるバター香料にばく露された食品製造作業者で喘息がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2012)、PATTY (6th, 2012))。 (2) ラットに6.25~100 ppmを14週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した試験において、25 ppm (ガイダンス値換算: 0.07 mg/L、区分1の範囲) 以上で鼻における呼吸上皮の扁平上皮化生、嗅上皮の変性、50 ppm (ガイダンス値換算: 0.14 mg/L、区分1の範囲) で鼻における化膿性炎症、呼吸上皮の過形成、嗅上皮の呼吸上皮化生、リンパ組織の過形成等、喉頭における呼吸上皮の扁平上皮化生、100 ppm (ガイダンス値換算: 0.27 mg/L、区分2の範囲) で好中球数増加、鼻における呼吸上皮壊死、嗅上皮壊死等、喉頭における扁平上皮過形成等、気管における上皮壊死等、肺における気管支上皮過形成等がみられた (NTP TR593 (2018))。 (3) マウスに6.25~100 ppmを14週間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した試験において、25 ppm (ガイダンス値換算: 0.07 mg/L、区分1の範囲) 以上の各投与群で上記 (3) のラットの試験と同様に呼吸器の非腫瘍性病変がみられたほか、50 ppm (ガイダンス値換算: 0.14 mg/L、区分1の範囲) で好中球数増加がみられた (NTP TR593 (2018))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
LC50 - Leuciscus idus (コイの一種) - 46 - 100 mg/l - 96 h
備考: (外部MSDS)
微生物毒性
備考: (Hommel)
(ジアセチル)

12.2 残留性・分解性

生分解性
結果: - 易分解性。

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
免許を有する廃棄物処理業者に、余剰物で再使用不可の溶液として処理を依頼する。 アフターバーナーとスクラバーが備えられた化学焼却炉で焼却するが、この物質は引火性が高いので点火には特に注意をはらう。汚染容器及び包装製品入り容器と同様に処分する。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2346    IMDG (海上規制): 2346    IATA-DGR (航空規制): 2346

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Butanedione
IMDG (海上規制): BUTANEDIONE
ADR/RID (陸上規制): BUTANEDIONE

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 3    IMDG (海上規制): 3    IATA-DGR (航空規制): 3

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): II IMDG (海上規制): II IATA-DGR (航空規制): II

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

酸化剤, 強塩基類, 還元剤, 金属

15. 適用法令

労働安全衛生法

危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号)【4の3 その他の引火点0℃以上30℃未満のもの】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【482の2 2,3-ブタンジオン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【482の2 2,3-ブタンジオン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)

化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)

該当しない

毒物及び劇物取締法

該当しない

消防法

第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)【2 第一石油類非水溶性液体】

道路法

車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【5 第一石油類非水溶性液体】

航空法

引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2346 ブタジオン】

船舶安全法

引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2346 ブタンジオン】

港則法

その他の危険物・引火性液体類(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2ロ ブタンジオン】

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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