急性毒性
経口
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
【参考データ等】
(1)本物質の構造関連物質であるPhenol, dodecyl (CAS登録番号:27193-86-8)を被験物質とした、ラットのLD50:2,100 mg/kg(CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022)、SIDS (2006))
(2)本物質の構造関連物質であるイソドデシルフェノール(CAS登録番号:11067-80-4)を被験物質とした、ラットのLD50:2,200 mg/kg(CLH Report (2012))
(3)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenol (CAS登録番号:74499-35-7)を被験物質とした、ラット(雄)のLD50:500~5,000 mg/kgの間(CLH Report (2012))
(4)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenolを被験物質とした、ラットのLD50:<5,000 mg/kgの間(CLH Report (2012))
(5)EU CLHでは、(1)~(4)のデータを用いて分類を実施しているが、区分はつけられていない。
経皮
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
【参考データ等】
(1)本物質の構造関連物質であるPhenol, dodecyl (CAS登録番号:27193-86-8)を被験物質とした、ウサギのLD50:>2,000 mg/kg(CLH Report (2012))
(2)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenol (CAS登録番号:74499-35-7)を被験物質とした、ウサギ(雄)のLD50:15,000 mg/kg(CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))
(3)EU CLHでは、(1)~(4)のデータを用いて分類を実施しているが、区分はつけられていない。
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(3)より、構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)の知見に基づき、区分1とした。
【根拠データ】
(1)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4日適用、14日観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は6.2であり、14日後に痂皮、薄茶色の薄い壊死層、脱毛がみられたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、SIDS (2006)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
(2)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、4日適用、7日観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は6であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
(3)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、4日適用、6日観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は6であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、SIDS (2006)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)より、区分1とした。
【根拠データ】
(1)皮膚腐食性/刺激性で区分1である。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)、(2)より、構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)の知見に基づき、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、モルモット(n=20)を用いたBuehler試験(OECD TG 406、GLP)において、局所投与:1%溶液%溶液で適用24、48時間後の陽性率はともに5%(1/19例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
(2)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、モルモット(n=15)を用いたBuehler試験(OECD TG 406、GLP)において、局所投与:5%溶液%溶液で適用24、48時間後の陽性率は0%(0/15例)、20%(3/15例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)~(2)より、構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)の知見に基づき、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)In vivoでは、ドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ラットの赤血球を用いた小核試験(投与経路不明、単回ばく露)で、5,000 mg/kgまで陰性の報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。また、同様に本物質の構造関連物質であるフェノールのテトラプロペニル誘導体(TPP、CAS登録番号:74499-35-7)について、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(単回強制経口投与、最大5,000 mg/kg)では、陰性の報告がある(SIAR (2006))。
(2)In vitroでは、ドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)及びTPP (CAS登録番号:74499-35-7)について、細菌を用いた復帰突然変異試験並びにチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を用いた遺伝子変異試験で、代謝活性の有無に関わらず陰性の報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、SIAR (2006)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
発がん性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】
構造類似物質のデータ(1)~(3)より、本物質も生殖発生毒性物質と考えられ、(1)、(2)より母親動物に一般毒性影響がない、又は軽微な用量で、雌雄親動物への生殖影響と児動物への発生影響がみられたことから、区分1Bとした。
【根拠データ】
(1)Phenol (tetrapropenyl) derivatives (CAS 74499-35-7)について、ラットを用いた強制経口投与による一世代生殖毒性試験(OECD TG415、GLP)において、P母動物に一般毒性がみられない中用量(25 ppm:P雄には体重増加抑制と腎臓に組織変化)から雌雄生殖器への影響(精巣上体尾部・精嚢、卵巣の絶対/相対重量減少、前立腺・凝固腺の分泌減少)、F1児動物に低体重と包皮分離日齢の遅延がみられた。P雌に体重増加抑制がみられる高用量(125 ppm)では、親動物に生殖能への影響(交尾率及び受胎率の低下、着床部位数減少、同腹児数減少)、生殖器への影響(前立腺・精巣重量減少、精巣上体精子数減少、黄体減少・卵巣嚢胞・子宮内膜嚢胞の例数増加など)、F1児動物には生後0日での生存率低下がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019)、EU REACH SVHC (2021)、SIAR (2006))。
(2)Phenol (tetrapropenyl) derivatives (CAS 74499-35-7)について、ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、GLP)において、F1雄に腎臓石灰化以外にF0及びF1親動物に一般毒性がみられない中用量(15 ppm)で、F1雄親動物の性機能への影響(精巣g当たりの精子数の減少、1日精子産生量の低下、精巣上体重量減少)、F1児動物に低体重がみられた。F0、F1雌雄親動物に体重増加抑制がみられる高用量(75 ppm)では、生殖器・性機能への影響(F0、F1雄:精巣上体尾部・前立腺・精嚢・精巣重量減少、F0、F1雌:黄体数の減少、性周期の延長、F0雄:精巣上体 g当たりの精子数減少、F0雌:着床部位数の減少)、F1児動物に包皮分離の遅延及び膣開口の早期化、F2児動物に低体重がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019)、EU REACH SVHC (2021)、SIAR (2006))。
(3)Phenol (tetrapropenyl derivatives) (CAS番号 27193-86-8)又は4-dodecylphenol (異性体混合物) (CAS 27193-86-8)について、ラットのを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP)において、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少、軟便)がみられる用量(300 mg/kg/day)で、発生影響(着床前胚死亡の軽度増加、胎児吸収増加による同腹児数の減少と低体重)がみられた。一部の腹からの胎児に骨格奇形の頻度増加がみられると報告されたが、主な奇形とされた波状肋骨及び肩甲骨湾曲は骨格変異の範疇と考えられる(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019))。
【参考データ等】
(4)Tetrapropenylphenol (TPP)について、弱いエストロゲン作用と抗アンドロゲン作用を有することがin vitro及びin vivo実験で示されており、(1)、(2)でみられたラットの受胎能及び性機能への有害影響はTPPの内分泌かく乱作用を介した影響の可能性が指摘されている(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019))。
(5)EUでは、本物質及び構造類似物質のphenol (tetrapropenyl) derivatives、4-dodecylphenol (異性体混合物) がグループとして評価され、Repr. 1Bに分類されている(CLP分類(Accessed 2022))。