安全データシート

アクリル酸

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: アクリル酸
  • CB番号: CB7307797
  • CAS: 79-10-7
  • EINECS番号: 201-177-9
  • 同義語: アクリル酸,プロぺン酸

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: アクリル酸エステル、アクリロニトリル、ブタジエン、酢酸ビニルなどほかのモノマーと共重合させたものは、不織布バインダー、フロッキー加工用バインダー、繊維の改質剤などとして使用される。またポリアクリル酸塩類は高吸水性樹脂、増粘剤、凝集剤の用途がある
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分3
自己反応性化学品   タイプG
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
急性毒性 (経皮)   区分3
急性毒性 (吸入:蒸気)   区分3
急性毒性 (吸入:粉塵、ミスト)   区分4
皮膚腐食性及び刺激性   区分1A
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性   区分1
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分1 (呼吸器、腎臓)、 区分2 (肝臓)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)   区分1 (呼吸器)
分類実施日
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分1

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS05GHS07GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H226 引火性液体及び蒸気。
H302 + H312 + H332 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合や吸入した場合は有害。
H314 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H400 水生生物に非常に強い毒性。
H411 長期継続的影響によって水生生物に毒性。
注意書き
安全対策
P210 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
P233 容器を密閉しておくこと。
P240 容器を接地しアースをとること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P243 静電気放電に対する措置を講ずること。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
P301 + P330 + P331 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
P304 + P340 + P310 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P362 + P364 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P391 漏出物を回収すること。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C3H4O2
  • 分子量: 72.06 g/mol
  • CAS番号: 79-10-7
  • EC番号: 201-177-9
  • 化審法官報公示番号: 2-984
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 直ちに医師を呼ぶ。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 ただちに眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後は水を飲ませ(多くてもグラス2杯)、嘔吐を避ける(穿孔のリスクあり) 直ちに医師を呼ぶ。中和させようとしないこと。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
かなりの距離にわたり逆火が考えられる。
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
高温で空気と反応して爆発性混合物を生じる。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

容器を危険ゾーンから移動させて水で冷やすこと。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 熱や発火源から遠ざける。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
火災及び爆発の予防
炎、熱および発火源から遠ざける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 熱や発火源から遠ざける。吸湿性の.

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
TWA: 2 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 密着性の高い安全ゴーグル
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 898)
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.4 mm
破過時間: 120 min
試験物質:Camatril? (KCL 730 / Aldrich Z677442, Size M)
身体の保護
難燃静電気保護服。
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体: ICSC(1999)
無色: ICSC(1999)
臭い
特徴的な臭気
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
情報なし

融点・凝固点

14℃(融点):ICSC(2014) 12.5℃:HSDB(2014)

沸点、初留点及び沸騰範囲

141℃(沸点)

引火点

54℃(密閉式):ICSC(2014)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

該当しない

燃焼又は爆発範囲

下限 2.4vol% 上限 8vol%: NFPA(13th,2002)

蒸気圧

3.97mmHg(25℃) [換算値 529Pa(25℃)] :HSDB(2005)

蒸気密度

2.48(空気=1):計算値

比重(相対密度)

1.0511(20℃/4℃): HSDB(2005)

溶解度

水:混和する 1kg/L(25℃):HSDB(2005) 有機溶媒: アセトンに>10%溶解; ベンゼンに溶解; クロロホルムと混和:HSDB(2005)

n-オクタノール/水分配係数

logKow=0.35(測定値): SRC:KowWin(2005)

自然発火温度

360℃:ICSC(2014)、438℃:HSDB(2014)

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

1.25mPa・s(20℃)(粘性率): IUCLID(2000)

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

蒸気/空気混合物は、強く温めると爆発性となる。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

酸、アミン、乾燥剤、重合化促進剤および酸化しやすい材料と接触すると激しく反応する。
重合の起きる可能性がある。

10.4 避けるべき条件

加熱

10.5 混触危険物質

銅, ニッケル, 軟鋼, 亜鉛

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットの経口LD50値として、33.5-3,200 mg/kgの範囲で複数の報告 (環境省リスク評価第10巻 (2012)、PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2003)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 191 (1997)、IARC 19 (1979)、ECETOC JACC (1995)) がある。分類ガイダンスに基づき、最も多くのデータ (340 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、EHC 191 (1997)、ECETOC JACC (1995)、IARC 19 (1979))、1,250 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、ECETOC JACC (1995))、1,337 mg/kg (環境省リスク評価第10巻 (2012))、1,350 mg/kg (EHC 191 (1997)、EU-RAR (2003)、ECETOC JACC (1995))、1,500 mg/kg (ECETOC JACC (1995)) が該当する区分4とした。
経皮
ラットの経皮LD50値として、300-600 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))、ウサギの経皮LD50値として、280 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、294 mg/kg (環境省リスク評価第10巻 (2012))、295 mg/kg (IARC 19 (1979)、EHC 191 (1997)、ECETOC JACC (1995))、300 mg/kg (EU-RAR (2003))、640 mg/kg (EHC 191 (1997)、EU-RAR (2003)、ECETOC JACC (1995))、640 mg/kg (環境省リスク評価第10巻 (2012))、750 mg/kg (IARC 19 (1979)、EHC 191 (1997)、ECETOC JACC (1995))、950 mg/kg (IARC 19 (1979)、EHC 191 (1997))、295-950 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分3とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットの4時間吸入LC50値として、3.6 mg/L (1,221 ppm) (EHC 191 (1997)、NITE初期リスク評価書 (2008)、IARC 19 (1979)、EU-RAR (2003)、ECETOC JACC (1995)、PATTY (6th, 2012)、> 5.1 mg/L (> 1,740 ppm) (EHC 191 (1997)、NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2003)、ECETOC JACC (1995)、14.4 mg/L (4,522 ppm) (PATTY (6th, 2012)) の3件の報告がある。区分3と区分4とにそれぞれ1件づつ該当し、1件は区分を特定できないデータであるため、LC50値の最小値が該当する区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (5,222 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
エアロゾルを用いたラットのLC50値として、11,100 mg/m3 (1時間 (4時間換算値:2.75mg/L))、26,000 mg/m3 (0.5時間 (4時間換算値:3.25mg/L))、7,500 mg/m3 (2時間 (4時間換算値:3.75mg/L)) (EHC 191 (1997)、NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分4とした。なお、上述の1時間、0.5時間、2時間ばく露における各LC50値をエアロゾル (ミスト) として4時間換算値に換算すると、飽和蒸気圧濃度 (15.4 mg/L) より低くなり、蒸気相当となるが、エアロゾルでの試験との記載 (EHC 191 (1997)) に基づき、mg/L を単位とする粉じん及びミストの基準値を適用した。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ウサギに本物質の原液を3分間半閉塞適用した皮膚刺激性試験 (OECD TG準拠) において、表層壊死、軽度の浮腫及び変色が認められ、病理組織学的検査では適用部位で深部に至る限局性壊死、壊死部での表皮付属器消失、病巣周囲の中等度表皮過形成及びびまん性炎症反応が認められた (EU-RAR (2002)) との報告がある。また、ウサギに本物質の原液を1分間適用した結果、腐食反応を示した (EU-RAR (2002)、ECETOC JACC (1995)) との報告がある。さらに、ヒトにおいて1967-1992 年の間に2 人の作業員は皮膚の腐食のため入院が必要であった (EU-RAR (2002))。以上の結果から区分1Aとした。なお、本物質は、EU DSD分類において「C; R35」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1A H314」に分類されている。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギを用いた眼刺激性試験において、原液の適用により強い刺激性を示し、投与後20日後に眼瞼の瘢痕、角膜混濁が持続することが報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、EHC 191 (1997)、EU-RAR (2002))。また、ヒトに対しても、眼刺激性を示すとの記載がある (PATTY (6th, 2012))。以上の結果から区分1とした。

呼吸器感作性

データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

ヒトにおいて、1989年以来アクリル酸の工業製品を用いた450人以上の労働者に感作性症状が認められていないという報告 (EU-RAR (2002)) がある。また、実験動物では陽性と陰性両方の結果がある。モルモットを用いた修正スプリットアジュバント試験において、皮膚反応は0/10匹であり陰性を示した (NITE初期リスク評価書 (2008)、EHC 191 (1997)、EU-RAR (2002))。モルモットを用いた修正スプリットアジュバント試験では、精製したアクリル酸は陰性であったが、市販のアクリル酸では陽性を示した (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2002))。なお、EU-RAR (2002) やSIAP (2001) ではアクリル酸に含まれる不純物や重合阻害剤が皮膚感作性を示すが、精製されたアクリル酸では皮膚感作性を示さないとしている (EU-RAR (2002)、SIAP (2001))。以上の結果から、アクリル酸自体は皮膚感作性を持たないと判断し区分外とした。

生殖細胞変異原性

ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoではマウスの優性致死試験及びラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性結果が得られている (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、EU-RAR (2003))。In vitroでは細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験 (HGPRT遺伝子座) で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2003)) が、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験では陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2003))。また、仔ウシ胸腺DNAの付加体形成試験で陽性 (環境省リスク評価第10巻 (2012))、ラット肝臓初代培養細胞の不定期DNA合成試験、シリアンハムスター胚細胞 (SHE) の不定期DNA合成試験及び小核試験では陰性 (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、EU-RAR (2003)) である。

発がん性

IARCでグループ3 (IARC 71 (1999))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されていることから「分類できない」とした。なお、ラットの2年間 (104 週間) 吸入がん原性試験、マウスの2年間 (104 週間) 吸入がん原性試験 (いずれも、厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on May 2014)) でいずれもがん原性は認められていない。また、SIAP (2001)、EU-RAR (2003) で、「本物質はラットの経口投与及びマウスの経皮適用による発がん性の証拠はない。また、ヒトばく露と関連した発がん性データはない」と報告されている。ガイダンスの改訂により区分を修正した。

生殖毒性

ラットを用いた経口経路 (飲水) での2世代生殖毒試験において、生殖能に影響はみられていないが、親動物に一般毒性 (体重増加抑制、摂水量の低下、腺胃粘膜の軽度な浮腫を伴った前胃境界縁の軽度な角化亢進) がみられる用量で児動物の体重増加抑制、発育分化遅延 (耳管開通遅延、眼瞼開裂遅延) がみられた (EU-RAR (2002))。 催奇形性試験としては、ラットを用いた吸入経路の試験において、母動物毒性がみられる用量で胎児体重の低値がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008))。なお、同一文献を引用した環境省リスク評価第10巻 (2012) には、「吸収胚と死亡胎児の増加」の記載があったが、原著 (Saillenfait et al., 1999) には吸収胚と死亡胎児の増加には群間で差がみられないとして影響を否定していた。また、ウサギを用いた吸入経路の試験では、母動物毒性がみられる用量で児の発生に影響がみられなかった (EU-RAR (2002))。いずれにおいても、催奇形性はみられていない。 上記のとおり、母動物に影響がみられる用量で児に影響が認められたが、発育分化の遅延、胎児体重の低値は発生指標のわずかな変化に該当することから、分類できないとした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

ラットに、経口経路で肝細胞の変性及び壊死 (NITE初期リスク評価書 (2008)、EHC 191 (1997))、嗜眠 (EU-RAR (2002))、吸入経路で呼吸器への刺激による鼻周囲の湿潤、痂皮形成、腹式呼吸、呼吸困難、嗜眠、刺激への無反応、気管支粘膜の強い刺激性及び重度の炎症、気管支腔内への滲出物、肺胞腔内のマクロファージ、肺実質内での限局性炎症、肺出血、肺水腫、腎臓のうっ血、肝細胞及び腎尿細管の変性 (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2002)、EHC 191 (1997)、ECETOC JACC (1995)、ACGIH (7th, 2001))、ウサギに経皮経路で無気力、努力性呼吸、全身症状の低下、剖検結果で肺水腫 (EU-RAR (2002))、呼吸困難 (ECETOC JACC (1995)) がそれぞれ報告されている。 なお、呼吸器、腎臓に対する影響は区分1に、肝臓への影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、区分1 (呼吸器、腎臓)、区分2 (肝臓) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、EU-RAR (2002)、ACGIH (7th, 2001) にラットに90日間飲水投与した試験報告が3件あり、うち1報において区分2の上限の用量 (2,000 ppm: 100 mg/kg/day相当) で、雄にのみ体重増加抑制がみられたとの記述があるが、標的臓器は特定できない。他の2報告は区分2を超える用量で、腎臓、消化管、肝臓への影響がみられており、すなわち、経口経路では本物質は区分外相当である。 一方、吸入経路では、上記情報源に加えて、厚労省委託がん原性試験報告 (Access on June 2014) より、本物質蒸気をマウス及びラットに90日間又は2年間吸入ばく露した複数の試験において、区分1の濃度 (2-40 ppm: 0.0059-0.118 mg/L/6hr/day) から鼻腔の組織変化 (嗅上皮の変性、萎縮、呼吸上皮化生、呼吸上皮の扁平上皮化生、嗅神経線維束の萎縮、鼻咽頭のエオジン好性変化など) が認められたとの記述より、区分1 (呼吸器) に分類した。なお、マウスの90日間吸入ばく露試験では、区分1の濃度からヘモグロビン濃度の減少がみられ、血液系への影響が示唆されたものの、他のマウス及びラットの試験では一貫した全身性影響は認められておらず、本物質ばく露による有害性影響は鼻腔への局所影響に限定されると考えられた。

吸引性呼吸器有害性

データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
流水式試験 LC50 - Oncorhynchus mykiss (ニジマス) - 27 mg/l - 96 h
(US-EPA)
ミジンコ等の水生無脊
流水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 95 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(US-EPA)
藻類に対する毒性
最大無影響濃度 - Chlorella vulgaris (淡水藻) - 0.2 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)

12.2 残留性・分解性

生分解性
結果: 100 % - 水から容易に除去される
(OECD 試験ガイドライン 302B)
結果: 81 % - 易分解性。
(OECD 試験ガイドライン 301D)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2218    IMDG (海上規制): 2218    IATA-DGR (航空規制): 2218

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): ACRYLIC ACID, STABILIZED
IMDG (海上規制): ACRYLIC ACID, STABILIZED
IATA-DGR (航空規制): Acrylic acid, stabilized

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 8 (3)    IMDG (海上規制): 8 (3)    IATA-DGR (航空規制): 8 (3)

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): II IMDG (海上規制): II IATA-DGR (航空規制): II

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

銅, ニッケル, 軟鋼, 亜鉛

15. 適用法令

化審法

優先評価化学物質

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 危険物・引火性の物

化学物質排出把握管理促進法

第1種指定化学物質

毒物及び劇物取締法

劇物

消防法

第4類引火性液体、第二石油類水溶性液体

航空法

腐食性物質

船舶安全法

腐食性物質

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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