急性毒性
経口
ラットLD50値: 80, 90, 80 mg/kg (ATSDR (1996)), 293, 220 mg/kg (IARC 79 (2001)), 60, 120 mg/kg (EHC 45 (1984))。(GHS分類:区分3)
経皮
ラットLD50値: 雄1075mg/kg、雌780mg/kg (ATSDR (1996))。ウサギLD50値: 1025-1075 mg/kg(EHC 45 (1984))。(GHS分類:区分3)
吸入
吸入(粉じん): ラットLC50値(粉じん):3.4mg/L /1h = 0.85 mg/L/4h(ATSDR (1996))。なお、試験条件は出典中に粉じんと記載(ATSDR (1996))。(GHS分類:区分3)
吸入(蒸気): データなし。(GHS分類:分類できない)
吸入(ガス): GHSの定義における固体である。(GHS分類:分類対象外)
皮膚腐食性・刺激性
ウサギに500 mgを4時間適用した試験でごく軽微な刺激(only mildly irritated.)、また、ヒト皮膚の急性ばく露で刺激を生じなかった(ATSDR (1996))。なお、EU分類はXi; R37/38(EU-Annex 1(Access on May 2009))である。(GHS分類:JIS分類の区分外)
眼に対する重篤な損傷・刺激性
モルモットの眼に14回適用後、眼瞼における軽度の刺激のみで眼には影響がなかったとする報告(ATSDR (1996))があるが、未公表の要約データしかなくプロトコールおよびデータを含め試験の妥当性を評価できないと記述されている(ATSDR (1996))。(GHS分類:データ不足で分類できない。)
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖細胞変異原性
マウスに経口または腹腔内投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo 経世代変異原性試験)で陰性(DFGMAK-Doc. 19 (2003))。なお、本物質を航空散布した地域で作業していた8人の女性の末梢血リンパ球で、染色体異常の発生率が対照群の1.6%に対し13.1%であった(IARC 79 (2001))との報告があるが、本物質の直の結果(IARC 79 (2001))がある。(GHS分類:区分外)
発がん性
IARCによりグループ2B(IARC 79 (2001))、ACGIHによりA3(ACGIH (2001))、EUによりカテゴリー3(EU-Annex 1 (Access on May 2009))。なお、ラットおよびマウスに80週間混餌投与した試験において、ラットで甲状腺腫瘍の発生率の増加、マウスでは肝細胞癌の発生率の増加(NTP TR37 (1979))。(GHS分類:区分2)
生殖毒性
ラットを用い3世代(EHC 45 (1984))または2世代(DFGMAK-Doc. 19 (2003))にわたり経口投与した試験において、親動物の一般毒性が示された用量でも性機能、生殖能、受胎、授乳に影響はなく、また、マウスに5世代にわたり経口投与した試験(IARC 79 (2001))でも胎児毒性および催奇形性は見られなかった。さらに、ラットまたはマウスの器官形成期に経口投与により、ラットで過剰肋骨、マウスで脳ヘルニアの発生率の増加が報告されている(IARC 79 (2001))が、いずれも一部母動物の死亡をもたらした高用量群でのみ認められた所見である。これらの器官形成期投与試験では催奇形性を含むその他の影響に関しては記述されていない(IARC 79 (2001))。(GHS分類:区分外)