急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分4とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 673 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2007))
(2) ラットのLD50: 雌: 1,009 mg/kg、雄: 1,356 mg/kg (EPA Pesticides RED (2005)、HSDB (Access on June 2020))
(3) ラットのLD50: 雌: 1,010 mg/kg、雄: 1,360 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2007))
(4) ラットのLD50: 1,162 mg/kg (EPA Pesticides RED (2005))
(5) ラットのLD50: 雌: 1,420 mg/kg、雄: 1,810 mg/kg (農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993))
経皮
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 2,020 mg/kg (EPA Pesticides RED (2005)、食安委 農薬評価書 (2007)、HSDB (Access on June 2020))
(2) ウサギのLD50: 8,160 mg/kg (Patty (6th, 2012)、GESTIS (Access on June 2020)、HSDB (Access on June 2020))
(3) ラットのLD50: > 3,100 mg/kg (Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2020))
(4) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (3.4E-005 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): > 5.03 mg/L (EPA Pesticides RED (2005)、食安委 農薬評価書 (2007))
(2) ラットのLC50 (4時間): > 5.17 mg/L (農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993))
(3) ラットのLC50 (4時間): > 6.50 mg/L (Patty (6th, 2012))
(4) 本物質の蒸気圧: 2.74E-006 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 3.4E-005 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しない (国連分類基準の区分3相当) とした。
【根拠データ】
(1) EPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、非刺激物と判定されている (EPA Pesticides RED (2005))。
(2) 本物質はウサギを用いた眼及び皮膚刺激性試験において米国EPA では陰性と判断されたが豪州APVMA では軽度の刺激性ありと判断された (食安委 農薬評価書 (2007))。
(3) 本物質はウサギの皮膚に対して軽度の刺激性を示すと報告されている (Patty (6th, 2012))。
(4) 本物質のOECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で パッチ除去1時間後にごく軽度の紅斑がみられたが、24時間後には消失した (REACH登録情報 (Access on September 2020))。
【参考データ等】
(5) 本物質の製剤 (乳剤) のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、軽度の刺激性 が認められ、紅斑は14日後、浮腫は4日後までに消失した (農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993))。
(6) 本物質の製剤 (水和剤) のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性は認められなかった (農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分2とした。なお、細区分の明白な根拠が得られないことから、細区分は除外し、分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) EPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、角膜には傷害はみられず、軽度の結膜刺激性 (発赤、浮腫、分泌物) がみられたが、洗眼群では適用72時間後までに回復した (EPA Pesticides RED (2005))。
(2) 本物質はウサギを用いた眼及び皮膚刺激性試験において米国EPA では陰性と判断されたが豪州APVMA では軽度の刺激性ありと判断された (食安委 農薬評価書 (2007))。
(3) 本物質はウサギの眼に対して軽度の刺激性或いは非刺激性と報告されている (Patty (6th, 2012))。
(4) 眼に対して中等度の刺激性を示す (HSDB (Access on June 2020))。
【参考データ等】
(5) 本物質の製剤 (乳剤) のウサギを用いた眼刺激性試験で、軽度の刺激性 (角膜混濁、虹彩の充血、結膜の発赤ならびに腫脹) が認められたが、1/6例については角膜の混濁が軽減はしたが観察終了時でも消失しなかった (農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993))。
(6) 本物質の製剤 (水和剤) のウサギを用いた眼刺激性試験で、角膜及び結膜への刺激が認められ、多くは2日後には消失したが、1/6例については7日後まで持続した (農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993))。
(7) 本物質 (20 mg) のOECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、非刺激物と判定されている (REACH登録情報 (Access on September 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) EPA OPPTS 870.2600に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で陰性と報告されている (EPA Pesticides RED (2005))。
(2) 本物質はモルモットを用いた皮膚感作性試験で米国EPA では陰性と判断されたが、豪州APVMA では軽度の皮膚感作性と判断された (食安委 農薬評価書 (2007))。
(3) EU Method B.6 (Skin Sensitisation) に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で陰性と報告されている (REACH登録情報 (Access on September 2020))。
【参考データ等】
(4) 本物質はモルモットを用いた皮膚感作性試験で陰性と報告されているが、皮内投与 (閉塞、10回/日) による皮膚感作性試験で、貼付による惹起では感作性はみられなかったが、皮内投与による惹起では陽性反応がみられている (Patty (6th, 2012))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、 区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、優性致死試験において陰性の報告がある (Patty (6th, 2012))。マウスの骨髄細胞を用いる小核試験、ラットの肝臓を用いる不定期DNA合成試験及びコメットアッセイにおいて陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2007)、CEBS (Access on June 2020))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、マウスリンフォーマ試験において陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2007)、農薬工業会「日本農薬学会誌」第18巻第4号 (1993)、Patty (6th, 2012))。
発がん性
【分類根拠】
(1)~(3) より区分2とした。新たな情報源を用いて検討し分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでS (Suggestive Evidence of Carcinogenic Potential) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):2017年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験において、雄で精巣間細胞腫、精巣上体中皮腫及び甲状腺ろ胞細胞腫瘍、雌で肝細胞腺腫及び乳腺腺がんの増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2007))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、投与に関連した腫瘍性病変の増加はみられなかった (食安委 農薬評価書 (2007))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌による2世代繁殖試験において、親動物毒性 (低体重、体重増加抑制及び摂餌量減) がみられる用量で児動物に低体重及び体重増加抑制がみられたが、繁殖能への影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2007))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (活動性の低下、死亡率の上昇、低体重等) がみられる用量 においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2007))。
(3) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡、行動の変化、摂餌量及び体重減少、着床部位の出血性変性) がみられ、胎児では低体重及び骨化遅延がみられたが催奇形性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2007))。
(4) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重及び摂餌量の減少、肝の絶対及び比重量の増加) 用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2007))。