急性毒性
経口
ラットのLD50値は2381 mg/kg bw(USEPA/HPV (2010))。GHS分類:区分外(国連分類基準の区分5相当) 急性毒性(経口) 区分外
経皮
ラットのLD50値は >3520 mg/kg bw(USEPA/HPV (2010))であり、かつ死亡は認められなかったとの報告がある。GHS分類:区分外 急性毒性(経皮) 区分外
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。GHS分類:分類対象外 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
吸入:蒸気
ラットに1400、2700および4300 ppmを4時間ばく露後の死亡率はそれぞれ0/6、1/6および4/6(USEPA/HPV (2010))との報告がある。なお、試験濃度(1400~4300 ppm)が飽和蒸気圧濃度(8947 ppm)の90%より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気として気体の基準値を適用した。GHS分類:区分4 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4
吸入:粉じん及びミスト
データなし。GHS分類:分類できない 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
シクロオクタジエンは皮膚に対し、上皮の壊死、潰瘍および真皮の著しい炎症を伴い腐食性を示す(PATTY (5th, 2001))と記述されている。加えて、反復による適用ではあるが、ウサギに試験物質1 mLを1日6時間3日間にわたり適用した試験では極めて重度の刺激性を生じ、皮膚の病理組織学的検査により上皮の壊死、潰瘍、著しい真皮の炎症が見出されたとの報告(USEPA/HPV (2010))がある。GHS分類:区分1 皮膚腐食性/刺激性 区分1
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた試験で適用直後から刺激性を示したが、結膜炎のみで24時間以内に軽快した。主な影響は眼瞼にあり、赤く腫れ化膿性分泌物を排出したとの結果(USEPA/HPV (2010))がある。GHS分類:区分2B 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
皮膚感作性
本物質は皮膚感作性物質である(PATTY (5th, 2001))と記載され、モルモットを用いた皮膚感作性試験で、陽性率が惹起処置として局所適用により100% (10/10)、皮内注射により90% (9/10)と強力な感作性物質であった(USEPA/HPV (2010))。GHS分類:区分1 皮膚感作性 区分1
生殖細胞変異原性
ラットに吸入ばく露後の骨髄を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性(USEPA/HPV (2010))。なお、in vitro試験として、エームス試験およびヒトリンパ球を用いた染色体異常試験でいずれも陰性(USEPA/HPV (2010))。GHS分類:区分外 生殖細胞変異原性 区分外
発がん性
データなし。GHS分類:分類できない 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
生殖毒性
ラットに経口投与による反復投与毒性/生殖発生毒性併合スクリーニング試験(OECD TG 422:GLP)において、親動物に体重増加抑制などの一般毒性が高用量群で認められたが、交配、妊娠等の指標には対照群と差がなく、性機能および生殖能に対する悪影響は現れなかった(USEPA/HPV (2010))との報告がある。さらに、同腹仔数、生存率仔数にも影響が認められなかった(USEPA/HPV (2010))との報告があるが、催奇形性を含む仔の発生に及ぼす影響についてはデータ不十分である。GHS分類:分類できない 生殖毒性 分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ラットに1400~4300 ppm(蒸気)を4時間の吸入試験において、ばく露開始後3時間までに全例が外部音の刺激に無反応となり、その他に運動失調、嗜眠が観察され、2700 ppm以上では死亡例が発生した(USEPA/HPV (2010))。また、ラットに1500 ppm(蒸気)を吸入を1日6時間2日続けた試験では死亡はなく、1日目のばく露後に抑制、覚醒反応の欠如、協調不能が認められた(USEPA/HPV (2010))。GHS分類:区分3(麻酔作用) 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
雄ラットに2週間吸入(蒸気)ばく露により、500 ppm(2.21 mg/L)(90日換算値 0.34 mg/L)で病理組織学的影響が鼻腔と腎臓に見られ、嗅上皮の変性・壊死、腎臓の重量増加とヒアリン硝子滴の増加が観察された(USEPA/HPV (2010))。この腎臓の変化は雄ラットに特有の変化でヒトには当てはまらないとされるため分類の根拠としなかったが、鼻腔に対する影響は一般的にばく露期間または濃度が増加すると病変が肺に達するケースもあることから区分2(気道)とした。なお、ラットに経口投与による反復投与毒性/生殖発生毒性併合スクリーニング試験(OECD TG 422:GLP)では、NOAELは600 mg/kg/day(90日換算値:360 mg/kg/day)と報告され(USEPA/HPV (2010))ている。ガイダンス値範囲の上限(100 mg/kg/day)を超えているため、経口経路では区分外相当となる。GHS分類:区分2(気道) 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(気道)
吸引性呼吸器有害性
データなし。GHS分類:分類できない 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない