急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分4とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: 約300 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR (2010))
(2) ラットのLD50: 雌: 472 mg/kg、雄: 541 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2018)、農薬抄録 (2012))
(3) ラットのLD50: 雌: 492 mg/kg、雄: 528 mg/kg (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第9号 (1991))
(4) ラットのLD50: 638 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2018)、農薬抄録 (2012)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(5) ラットのLD50: 雌: 678 mg/kg、雄: 720 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2012))
(6) ラットのLD50: 702 mg/kg (JMPR (2010)、農薬抄録 (2012))
経皮
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2012)、GESTIS (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: > 3,200 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2018)、農薬抄録 (2012)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第9号 (1991))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分2とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (3.2E-010 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 雄: 0.280 mg/L、雌: 0.368 mg/L (食安委 農薬評価書 (2018))
(2) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): 雄: 0.31 mg/L、雌: 0.58 mg/L (食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2012))
(3) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): 0.33 mg/L (JMPR (2010))
(4) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): 雄: 1.8 mg/L、雌: 2.4 mg/L (JMPR (2010))
(5) ラットのLC50 (4時間): 雄: 1.82 mg/L、雌: 2.36 mg/L (食安委 農薬評価書 (2018))
(6) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): 2.1 mg/L (JMPR (2010)、HSDB (Access on May 2020))
(7) 本物質の蒸気圧: 2.03E-011 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 3.2E-010 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) OECD TG 404に準拠した本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間閉塞適用) で刺激性を示さない (農薬抄録 (2012))。
(2) 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間閉塞適用) で刺激性を示さない (JMPR (2010))。
(3) 本物質はウサギの皮膚に対しては刺激性を示さない (食安委 農薬評価書 (2018))。
(4) 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験 (24時間閉塞適用) で刺激性を示さない (農薬抄録 (2012)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第9号 (1991))。
【参考データ等】
(5) 本物質は感受性の高い個人に対しては強い皮膚刺激性を示す可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1) より、区分1とした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験において、角膜混濁、虹彩の充血、結膜の発赤及び浮腫が認められ、2/6例では反応が21日まで持続した (農薬抄録 (2012))。
【参考データ等】
(2) 本物質のウサギを用いた眼刺激性試験で、強い刺激性あるいは可逆性の刺激性を示すと報告されている (JMPR (2010))。
(3) 本物質はウサギの眼に対しては強度の刺激性を示す (食安委 農薬評価書 (2018))。
(4) ウサギを用いた眼刺激性試験において、角膜混濁、虹彩の充血、結膜の発赤及び浮腫を示し、強い刺激性物質と判定された (農薬抄録 (2012)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第9号 (1991))。
(5) EU-CLP分類でEye Dam. 1 (H318) に分類されている (EU CLP分類 (Access on August 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。
【根拠データ】
(1) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で軽度または強い感作性が認められた (食安委 農薬評価書 (2018)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第9号 (1991))。
(2) 本物質のモルモットを用いた開放適用による皮膚感作性試験で感作性陽性と報告されている (農薬抄録 (2012))。
【参考データ等】
(3) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、皮内投与 1%) で、感作性あり (陽性率 15.8%) と報告されている (農薬抄録 (2012))。
(4) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で、感作性ありとする報告及び陰性とする報告がある (JMPR (2010))。
(5) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317)に分類されている(EU CLP分類 (Access on August 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットまたはマウスの経口投与による小核試験でそれぞれ陰性、ラット経口投与の染色体異常試験で陰性、ラット経口投与の不定期DNA合成試験で陰性 (食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2012))。ラット経口投与の腎臓細胞を用いたコメットアッセイで陰性または曖昧な結果の報告がある (食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR (2010))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果。哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陽性、陰性、あいまいな結果の報告がある (食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR (2010)、農薬抄録 (2012))。
発がん性
【分類根拠】
(1)~(3) に基づき区分2とした。新たな情報源を用いて検討し分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでS (suggestive evidence of carcinogenicity) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on August 2020):2006年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験において、雌で腎細胞腺腫の発生率の有意な増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2018))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を18ヵ月間混餌投与した発がん性試験では、投与に関連した腫瘍性病変の発生頻度増加は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2018))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) より、繁殖能への影響はみられていないが、(2)~(5) より、母動物毒性用量で胎児に対する影響がみられていることから、区分2とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物毒性として体重増加抑制、摂餌量減少がみられる用量においても児動物に対する影響、繁殖能に対する影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2018))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で、胎児に着床後胚損失率の上昇、子宮内死亡数の増加及び着床数に対する生存胎児数の割合の低下が認められた (食安委 農薬評価書 (2018))。
(3) 雌マウスの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で、胎児に骨化遅延、低体重及び胎盤重量減少が認められた (食安委 農薬評価書 (2018))。
(4) 雌ウサギの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重減少、流産(3例)) がみられ、早期吸収胚数の増加に起因する着床後胚損失率の上昇及び生存胎児数の減少、胎盤重量減少がみられた (食安委 農薬評価書 (2018))。
(5) 雌ウサギの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で、早期胚吸収数の増加、着床後胚損失率の上昇並びに胎盤重量の減少、胎児数の減少がみられている (食安委 農薬評価書 (2018))。