亜鉛ジヒドロキシド 化学特性,用途語,生産方法
性質
1. 両性水酸化物
水酸化亜鉛は両性水酸化物で、酸性の水溶液にも強塩基の水溶液にも溶けます。
アンモニアとの反応
また、水酸化亜鉛にアンモニア水を過剰に加えると、 Zn2+ にアンモニア分子4個が配位結合して、無色のテトラアンミン亜鉛 (Ⅱ) イオン [Zn(NH3)4]2+ を生じて溶けます。これは両性水酸化物としての性質ではなく、 Zn2+ が NH3 分子と錯イオンを作りやすいという性質に基づくものです。
解説
水酸化亜鉛,Zn(OH)2(99.41).亜鉛酸水溶液に水酸化アルカリを加えると,白色の沈殿として得られる.α,β,γ,δ,ε形の5種類の変態があり,結晶として得られるのはε形で斜方晶系である.密度3.05 g cm-3.結晶構造はOHを共有するZn(OH)4の四面体の連なりからなっている.125 ℃ で分解して酸化亜鉛となる.両性で,酸にもアルカリにも溶け,亜鉛酸および亜鉛酸基をつくる.水にほとんど不溶.ゴムの配合剤,外科用包帯,酸化亜鉛などの製造に用いられる.
構造
水酸化亜鉛のε-相は斜方晶系の結晶であり、亜鉛の周りには4つのOH基が正四面体状に配位しています。また、OH基の周りは2つの亜鉛原子と2つのOH基が存在しており、巨大な分子構造を形成しています。α−相は六方晶系の水酸化カドミウム型構造になっています。
また、テトラヒドロキシド亜鉛 (Ⅱ) 酸イオン [Zn(H2O)4]2+ は Zn2+ を中心とした錯イオンで、正四面体構造をとっています。
製造
硫酸亜鉛の水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を加えると、無定形コロイド状の白色沈殿である水酸化亜鉛が得られます。また、熱濃水酸化ナトリウム水溶液に酸化亜鉛を溶解させた後、希釈し、2〜3週間寝かせると、ε−相の水酸化亜鉛の結晶が沈殿します。
- 硫酸亜鉛から
ZnSO4 + 2NaOH → Zn(OH)2 + Na2ZnSO4
- 酸化亜鉛から
ZnO + 2OH- + H2O → [Zn(H2O)4]2-
[Zn(OH)4]2- → Zn(OH)2 + 2OH-
化学的特性
加熱すれば125℃で酸化亜鉛となる。両性水酸化物で酸に溶けて亜鉛塩、アルカリに溶けて亜鉛酸塩となる。
Zn(OH)2+H2SO4→ZnSO4+2H2O
Zn(OH)2+2NaOH→Na2[Zn(OH)4] 亜鉛酸イオンは普通ZnO22-と書くが、実は[Zn(OH)4]2-または[Zn(OH)4(H2O)2]2-などである。アンモニア水に溶けて錯イオン[Zn(NH3)4]2+になる。
化学的特性
Colorless crystals.Decomposes
at 125C. Almost insoluble in water; forms
both zinc salts and zincates.
物理的性質
Colorless orthorhombic crystals; density 3.053 g/cm
3; decomposes at 125°C; slightly soluble in water.
使用
Intermediate, absorbent in surgical dressings,
rubber compounding.
製造方法
The compound is prepared by adding a strong alkali to a solution of zinc sulfate or chloride: ZnSO
4 + 2NaOH → Zn(OH)
2 + Na
2SO
4.
使用用途
水酸化亜鉛は、ゴムの製造の際に配合剤として使われます。また、外科用包帯の吸収剤や酸化亜鉛などの製造にも使用されます。この他、亜鉛とアルミニュウム膜の二層水酸化物を電気化学法で合成する際に、水酸化亜鉛が使用されます。また、水酸化亜鉛とを混合することにより、亜鉛塩を作ります。
水酸化亜鉛の派生品の用途としては、酸化亜鉛はゴムの加硫促進助剤や染料、乾燥剤、医薬品、化粧品などに広く使われています。は、溶融亜鉛メッキのフラックス剤やマンガン乾電池の電解液として使用されます。さらに、は、農薬や 肥料に多く使用されています。
安全性情報
水酸化亜鉛が目や皮膚に接触した場合、重度の刺激によって損傷を与える可能性があります。目に入った場合は数分間注意深く洗い流し、皮膚についた場合は石鹸でよく洗うことが大切です。
水酸化亜鉛はGHS分類では、水生環境有害性が「区分1」(非常に強い毒性) とされており、環境にたいする有毒性が強い物質のため取り扱いには注意が必要です。
参考文献
亜鉛ジヒドロキシド 上流と下流の製品情報
原材料
準備製品