安全データシート

2-クロロエタノール

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 2-クロロエタノール
  • CB番号: CB6111920
  • CAS: 107-07-3
  • EINECS番号: 203-459-7
  • 同義語: 2-クロロエタノール,エチレンクロロヒドリン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 医薬品、農薬、染料などの中間体、重合調整剤、架橋剤
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分3
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分3
急性毒性(経皮)   区分2
急性毒性(吸入:蒸気)   区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2A
生殖細胞変異原性   区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (中枢神経系、心血管系、呼吸器) 区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分2 (膵臓、全身毒性)
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)   区分2
水生環境有害性 (長期間)   区分2

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS06
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H226 引火性液体及び蒸気。
H290 金属腐食のおそれ。
H300 + H310 + H330 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合や吸入した場合は生命に危険。
H318 重篤な眼の損傷。
H411 長期継続的影響によって水生生物に毒性。
注意書き
安全対策
P210 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
P233 容器を密閉しておくこと。
P234 他の容器に移し替えないこと。
P240 容器を接地しアースをとること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P243 静電気放電に対する措置を講ずること。
P262 眼,皮膚,衣類につけないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P280 保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P284 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
応急措置
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
P304 + P340 + P310 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P361 + P364 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P390 物的被害を防止するためにも流出したものを吸収すること。
P391 漏出物を回収すること。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P405 施錠して保管すること。
P406 耐腐食性/耐腐食性内張りのある耐腐食性容器に保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Ethylene chlorohydrin
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C2H5ClO
  • 分子量: 80.51 g/mol
  • CAS番号: 107-07-3
  • EC番号: 203-459-7
  • 化審法官報公示番号: 2-2002
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 直ちに医師を呼ぶ。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 ただちに眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ場合は水を飲ませる(多くても2杯)。ただちに医師の診察を受けること。1時間以内に治療が受けられないという例外的な状況のみ、嘔吐させ(相手に完全に意識のある場合のみ)、活性炭(10%懸濁液に20~40g)を投与してできるだけ早く医師の診察を受ける。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
塩化水素ガス
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
粉じん爆発のおそれ。
高温で空気と反応して爆発性混合物を生じる。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

容器を危険ゾーンから移動させて水で冷やすこと。 ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 熱や発火源から遠ざける。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
火災及び爆発の予防
炎、熱および発火源から遠ざける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 3: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 熱や発火源から遠ざける。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。湿気に反応する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
C: 1 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 密着性の高い安全ゴーグル
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: バイトン®
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Vitoject? (KCL 890 / Aldrich Z677698, Size M)
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: クロロプレン
最小厚: 0.65 mm
破過時間: 10 min
試験物質:KCL 720 Camapren®
身体の保護
難燃静電気保護服。
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色の液体 (HSDB (2017))
臭い
かすかなエーテル臭 (HSDB (2017))
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
6~7 (GESTIS (2017))

融点・凝固点

-67.5℃ (HSDB (2017))

沸点、初留点及び沸騰範囲

129℃ (GESTIS (2017))

引火点

55℃ (c.c.) (GESTIS (2017))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

該当しない

燃焼又は爆発範囲

4.9%~15.9% (HSDB (2017))

蒸気圧

0.65 kPa (20℃) (ICSC (J) (2003))

蒸気密度

2.78(空気 = 1) (HSDB (2017))

比重(相対密度)

1.197 (20℃/4℃) (HSDB (2017))

溶解度

水と混和 (ICSC (J) (2003))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = - 0.06 (HSDB (2017))

自然発火温度

425℃ (HSDB (2017))

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

0.0343 P (20℃) (HSDB (2017))

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

蒸気/空気混合物は、強く温めると爆発性となる。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

次と激しく反応
アルカリ金属
アルカリ土類金属
クロロスルホン酸
アミン
アミド類
強酸化剤
水酸化ナトリウム
塩基

10.4 避けるべき条件

加熱

10.5 混触危険物質

情報なし

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、71 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、71.3 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012))、72 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))、77 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993))、95 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) の5件の報告がある。これらに基づき、区分3とした。
経皮
GHS分類: 区分2 ウサギのLD50値として、68 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、ラットのLD50値として84 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、モルモットのLD50値として70 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) の報告に基づき、区分2とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 区分1 ラットの4時間吸入LC50値として、33 ppm (PATTY (6th, 2012)) の報告に基づき、区分1とした。なお、LC50が飽和蒸気圧濃度 (6,436 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 区分外 ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、わずかな紅斑がみられたとする報告や有意な刺激性はみられないとの報告 (NTP TR275 (1985)、DFGOT vol. 5 (1993), PATTY (6th, 2012)) から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分2A 本物質を取扱う労働者において眼刺激性がみられたとする報告 (AGCIH (7th, 2001))や、ウサギを用いた眼刺激性試験で中等度の刺激性を示すとの報告 (PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 5 (1993)、NTP TR275 (1985)) から区分2Aとした。

呼吸器感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

GHS分類: 分類できない モルモットを用いた皮膚感作性試験において感作性はないとの記述 (PATTY (6th, 2012)、NTP TR275 (1985)) があるが、試験条件や反応率などが不明のため、分類できないとした。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 区分2 In vivoでは、マウスの優性致死試験、相互転座試験、マウスの骨髄細胞及び末梢血を用いた小核試験、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性である (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on May 2017))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陽性である (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on May 2017))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。

発がん性

GHS分類: 分類できない A社の本物質製造部門 (クロロヒドリン部門) に2年間以上配置された男性作業者278名を対象とした疫学研究において、膵がんによる死亡6例 (期待値0.7例) と白血病による死亡3例 (期待値0.4例) が報告された。クロロヒドリン部門への配置期間と両疾患との間に統計学的に有意な傾向がみられた。クロロヒドリン部門ではエチレンと塩素から本物質を主に製造し、副生物としてエチレンジクロリド (1,2-ジクロロエタン) と ビスクロロエチルエーテルが生成する。10年後の追加調査では、膵がん2例が追加され、膵がん死亡は合計8例 (期待値1.6例) で標準化死亡比 (SMR) は492となった。白血病による追加死亡例はなかったが、リンパ系及び造血系腫瘍が8例 (期待値2.7例、SMR = 294) にみられた。大部分は1930年代に始めてこの部門に配置された作業者で、当時は製造初期でばく露に対する制御も十分ではなかった。産業衛生学的に膵がん死亡例の一部はエチレンジクロリドと恐らく他の塩素化炭化水素との複合ばく露による事故的な過剰ばく露による可能性が示唆されている。
一方、B社のエチレンクロロヒドリン及びプロピレンクロロヒドリン製造工程に配置された作業者1,361名を対象とした調査では膵がん、リンパ系及び造血系がんのリスク増加はみられなかった。両者の違いとして、本物質からエチレンオキシドを製造する工程の差異が指摘されている (PATTY (6th, 2012))。以上のように、疫学研究としては相反する報告があり、本物質がヒトで発がん性を示すという証拠が十分にあるとは言えない。 実験動物ではラット及びマウスに2年間経皮適用した発がん性試験、マウスに70週間皮下投与した試験、及びラットに2年間飲水投与した試験でいずれも発がん性の証拠は示されなかった (NTP TR275 (1985)、PATTY (6th, 2012))。ただ、ラットに1年間皮下投与 (2回/週) し、6ヵ月後に観察した試験において、下垂体腺腫の頻度増加が雌にみられたとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。既存分類ではACGIHがA4に分類しているだけである (ACGIH (7th, 2001))。 以上、ヒトの疫学調査で膵がん及びリンパ系・造血系がんの増加がみられたとの報告もあるが、否定的な報告もあること、動物試験の多くで陰性の結果であったことから、本項は分類できないとした。

生殖毒性

GHS分類: 分類できない 妊娠マウスの器官形成期 (妊娠6~16日) に強制経口投与した結果、母動物に体重低下がみられた100 mg/kg/dayで胎児に体重及び肝臓重量の低値がみられただけであった。また、妊娠マウスの器官形成期に飲水投与した試験では200 mg/kg/dayまでの用量で、母動物、胎児ともに影響はみられなかった (DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012))。一方、妊娠マウスに静脈内投与した試験では、母動物に死亡、体重増加抑制が生じた用量 (120 mg/kg/day) で胎児に胚/胎児毒性 (妊娠4~6日、及び同10~12日)、又は催奇形性 (妊娠8~10日) がみられたが、妊娠ウサギに静脈内投与 (妊娠6~14日、最大36 mg/kg/day) した試験では、母動物、胎児ともに影響はみられなかった (DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012))。 以上、妊娠動物を用いた経口又は静脈内投与による発生毒性試験では、マウス静脈内投与で母動物毒性用量における胎児毒性又は催奇形性がみられた以外に発生影響はない又は軽微であった。したがって、本物質は発生毒性を示す可能性は低いと判断された。しかしながら、本物質の生殖能及び性機能への影響に関する情報はなく、本項はデータ不足のため分類できないとした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分1 (中枢神経系、心血管系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用) ヒトでは本物質の急性吸入ばく露により、初期に頭痛、めまい、眼の焼灼感、吐き気、嘔吐、手指のしびれを生じ、その後に錯乱、呼吸困難、意識喪失、循環虚脱を起こして、心循環器不全と肺浮腫により死亡した例が複数報告されている (DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012))。剖検の結果、多臓器の充血、脳浮腫、肺浮腫、肝臓及び心筋の脂肪性変性、腎臓の腫脹が認められたとの報告がある (DFGOT vol. 5 (1993)、PATTY (6th, 2012))。また、本物質の誤飲による死亡例が2例報告されており、症状は吸入ばく露の場合と同様であったとの記述がある (DFGOT vol. 5 (1993))。更に本物質は上気道を刺激するとの記載がある (HSDB (Access on June 2017))。以上より、本物質は中枢神経系、心血管系、呼吸器に影響を与え、また麻酔作用を有すると考えられる。したがって、区分1 (中枢神経系、心血管系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分2 (膵臓、全身毒性) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である67.5 mg/kg/dayで成長の抑制、死亡がみられ (PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 5 (1993)、ACGIH (7th, 2001)) 、ラットを用いた混餌による220日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である0.12% (ガイダンス値換算: 60 mg/kg/day) 以上で成長抑制、区分2のガイダンス値の範囲を超える0.24% (ガイダンス値換算: 120 mg/kg/day) で死亡率増加がみられている (PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 5 (1993))。また、 ラット、マウスを用いた13週間経皮投与試験が実施されており、ラットでは区分2のガイダンス値の範囲内である125 mg/kg/day以上で膵臓の腺房細胞の空胞化、区分2のガイダンス値の範囲を超える250 mg/kg/day以上で死亡がみられ、死亡又は切迫屠殺例で肺のうっ血又は水腫がみられている。マウスでは区分2のガイダンス値の範囲を超える用量で死亡、急性腎症、肝細胞の脂肪化、膵臓の腺房細胞の壊死の報告 (NTP TR275 (1985)) がある。 このほか、ラットを用いた4ヵ月間吸入毒性試験 (4時間/日) において、区分1のガイダンス値の範囲内である0.31 ppm (ガイダンス値換算: 0.0007 mg/L) 以上で体重減少、肝臓、肺の病理組織学的影響、神経系への影響の報告があるが影響の詳細は不明であった (PATTY (6th, 2012))。 以上、膵臓以外には標的臓器を特定し得ず、死亡がみられているため区分2 (膵臓、全身毒性) とした。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
流水式試験 LC50 - Gambusia affinis (カダヤシ) - 15.2 mg/l - 96 h
備考: (ECHA)
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 212 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
備考: (ECHA)
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Desmodesmus subspicatus(セネデスムス・サブスピカ
トゥス) - 5.6 mg/l - 72 h
(DIN(ドイツ工業規格) 38412)
微生物毒性
EC50 - Pseudomonas putida (シュードモナス‐プチダ) - 9,600 mg/l - 17 h
備考: (IUCLID)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
(OECD 試験ガイドライン 301F)
生化学的酸素要求量
547 mg/g
(BOD)
備考: (IUCLID)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 1135    IMDG (海上規制): 1135    IATA-DGR (航空規制): 1135

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): ETHYLENE CHLOROHYDRIN
IMDG (海上規制): ETHYLENE CHLOROHYDRIN
IATA-DGR (航空規制): Ethylene chlorohydrin
Passenger Aircraft: Not permitted for transport
Cargo Aircraft: Not permitted for transport

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1 (3)    IATA-DGR (航空規制): 6.1
(3) (3)

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): I IMDG (海上規制): I IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

情報なし

15. 適用法令

労働安全衛生法

危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)

毒物及び劇物取締法

劇物(法第2条別表第2)

道路法

車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)

消防法

第4類引火性液体、第二石油類水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)

港則法

その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

航空法

輸送禁止(施行規則第194条)

船舶安全法

毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)

労働基準法

疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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