急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50 200 mg/kg(CERIハザードデータ集 98-22 (1999))、501 mg/kg、430 mg/kg、794 mg/kg、1,230 mg/kg、1,410 mg/kg、1,150 mg/kg、3,600 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 542 mg/kgから、区分4とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 > 28,500 mg/kg(CERIハザードデータ集 98-22 (1999))から、区分外とした。
吸入
吸入(ガス): GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気): データなし
吸入(ミスト): データ不足のため分類できない
皮膚腐食性・刺激性
CERIハザードデータ集 98-22 (1999)、CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004)のウサギを用いた皮膚刺激性試験において「軽度の刺激性」「軽度の紅斑」がみられたとの報告が得られたことから、区分3とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
CERIハザードデータ集 98-22 (1999)のウサギを用いた眼刺激性試験において「軽度の刺激性」がみられたとの報告が得られたことから、区分2Bとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし 皮膚感作性: CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004)に、モルモットを用いたビューラー (Buehler) 法にて「感作性は示さなかった」との報告がえられているが、報告が1つだけであったことから、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
IARC 71 (1999)、CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004)、NTP DB (Access on May 2006)、EHC 209 (1998)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陽性、であることから「区分1B」とした。
発がん性
IARC (1999)でGroup 3に分類されていることから、「区分外」とした。
生殖毒性
環境省リスク評価第1巻 (2002)、EHC 209 (1998)の記述から、ラットの催奇形性試験や連続交配試験において、親動物での一般毒性のみられる用量や、一般毒性の記載はないが、一腹あたりの胎児数の減少や精巣などへの影響がみられていることから、「区分2」とした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
実験動物については、「立毛及び流涎、全例に円背姿勢、異常歩行、し眠、努力性呼吸、眼瞼下垂及び四肢末端の蒼白がみられた」、「立ち上がり行動 (rearing) 及び振戦 (wet dog shakes) 頻度の用量依存的な増加がみられた」(CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004))、「60~90以内に痙攣を起こし、投与後7日目でCA1海馬錐体細胞の著しい消失が観察された。脳機能の一部に長期間の障害が残ることを示唆する」(EHC 209 (1998))等の記述があることから、麻酔作用を有し、神経系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系)、区分3(麻酔作用)とした。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ヒトについては、「上肢筋および腹筋の脱力、心電図試験および神経伝達速度異常等の臨床所見が見られた」(NICNAS (2001))の記述、実験動物については、「尿細管上皮(腎皮質の曲尿細管)の過形成発現率が用量依存的に増加。脳幹及び大脳に、神経細胞の変性、壊死、反応性グリオーシス、出血、鉱質沈着、色素沈着あるいはヘモジデリン沈着、大脳及び視床に局所的病変」(CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004))等の記述があることから、神経系、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系)、区分2(腎臓)とした。
吸引性呼吸器有害性
データなし