安全データシート

1-ブロモ-3-クロロプロパン

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 1-ブロモ-3-クロロプロパン
  • CB番号: CB8700201
  • CAS: 109-70-6
  • EINECS番号: 203-697-1

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 医薬・農薬原料 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分3
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1(呼吸器)、区分2(肝臓)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分3(麻酔作用)
発がん性   区分1B
生殖細胞変異原性   区分2
急性毒性(吸入:蒸気)   区分3
急性毒性(経口)   区分4
分類実施日(環境有害性)
ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
環境に対する有害性
-

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS06GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H412 長期継続的影響によって水生生物に有害。
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
H350 発がんのおそれ。
H341 遺伝性疾患のおそれの疑い。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H331 吸入すると有毒。
H302 飲み込むと有害。
注意書き
安全対策
P273 環境への放出を避けること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P304 + P340 + P311 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Trimethylene bromochloride
    Trimethylene chlorobromide
    I-BCP
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C3H6BrCl
  • 分子量: 157.44 g/mol
  • CAS番号: 109-70-6
  • EC番号: 203-697-1
  • 化審法官報公示番号: 9-1247; 9-370; 9-2007
  • 安衛法官報公示番号: 2-(13)-64

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
可燃性。
臭化水素ガス
塩化水素ガス
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 6.1C: 可燃性、急性毒性カテゴリー3 / 毒性化合物または慢性効果を引き起こす化合物
保管条件
密閉のこと。 換気のよい場所で保管する。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
許容濃度が設定されている物質を含有していない。

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
手袋を着用して取扱う。 使用前に、必ず手袋を検査する。 (手袋外面に触れずに)適切に手袋
を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。 適用法令およびGLPに従い、使用後に汚染手袋を廃
棄する。 手を洗い、乾燥させる。
選ばれた防護手袋は、EU指令2016/425の仕様と、それから派生する規格EN374を満たすもので
なければならない。
フルコンタクト
材質: フッ素ゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Vitoject? (KCL 890 / Aldrich Z677698, Size M)
飛沫への接触
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.3 mm
破過時間: 107 min
試験物質:Butoject® (KCL 897 / Aldrich Z677647, Size M)
データソース:KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, 電話 +49 (0)6659 87300, e-mail sales@kcl.de,
試験方法: EN374
EN374とは違った条件の下で、溶液の中、または他の物質と混ぜて使われる場合は、EC認可手
袋の供給業者に問い合わせる。 この勧告は単なる助言であり、予想される用途の特定状況に精
通した産業衛生専門家並びに安全管理者により評価されなければならない。 任意の使用方法に
ついて許可を受けていると理解すべきではない。
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭い
特異臭

融点/凝固点

-58.9 ℃(ICSC(2007)) -59 ℃(Hommel(1996))

沸点、初留点及び沸騰範囲

143~145 ℃(Lewis(2001)) 143.3 ℃(ICSC(2007)) 144 ℃(Hommel(1996))

可燃性

データなし

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

3.2~8.6 vol%(空気中)(ICSC(2007))

引火点

57 ℃(ICSC(2007)) >140 ℃(Closed cup)(GESTIS(2021)、REACH登録情報(2022))

自然発火点

データなし

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水: 0.224 g/100 ml(25℃)(ICSC(2007)、GESTIS(2021))

n-オクタノール/水分配係数

Log Kow: 2.18(GESTIS(2021)、ICSC(2007))

蒸気圧

0.85 kPa(25℃)(ICSC(2007)) 6.4 hPa(20℃)(GESTIS(2021)、HSDB(2022))

密度及び/又は相対密度

1.5969 (20℃/4℃)(HSDB(2022)) 1.6 (水=1)(HSDB(2022)) 1.60 g/cm³(20℃)(GESTIS(2021))

相対ガス密度

5.0 (空気=1)(Hommel(1996)) 5.4 (空気=1)(ICSC(2007)) 5.44 (GESTIS(2021))

粒子特性

該当しない

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

引火点より下のおよそ15ケルビンからの範囲は危険とみなされている。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

強力な熱

10.5 混触危険物質

強塩基類, 強酸化剤, マグネシウム

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)~(6)より、区分4とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50:1,300~2,000 mg/kgの間(OECD TG 401、GLP)(厚労省 既存点検結果 (2000)) (2)ラット(雌)のLD50:800~1,300 mg/kgの間(OECD TG 401、GLP)(厚労省 既存点検結果 (2000)) (3)ラットのLD50:1,100 mg/kg(GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (4)ラットのLD50:680 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (5)ラット(雄)のLD50:930 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (6)ラット(雌)のLD50:1,100 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:3,000 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分3とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(7,580 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLC50(4時間):1,009 ppm(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (2)ラット(雌)のLC50(4時間):1,129 ppm(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (3)ラットのLC50(1時間):> 2,162 ppm (4時間換算:>1,081 ppm)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分3)。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(GLP、半閉塞、4時間適用、5日観察)において、1、2及び3日後の全例の紅斑スコアの平均は0.67、2、1であり、浮腫スコアの平均は0.33、1、1であった。みられた影響は5日以内に完全回復したとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。
【参考データ等】 (2)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(半閉塞、24時間適用、3日観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は2.63であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(GLP、7日観察)において、1例で虹彩炎を伴う角膜混濁、全例で結膜発赤と結膜浮腫がみられたが、全ての影響は7日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/2、虹彩炎スコア:0/0/0.3、結膜発赤スコア:0.7/1/1.7、結膜浮腫スコア:0.3/0.7/1)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(8日観察)において、6例中5例で明瞭な結膜刺激がみられ、このうち3例では角膜混濁も認められたが、すべての影響は8日以内に回復した(1~4日後及び8日後のDraizeスコア:17(フルスコア:110))との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2とした。新たなデータに基づき分類した。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、トランスジェニックマウスを用いた肝臓、骨髄、腺胃及び精巣を標的とした遺伝子突然変異試験(28日間連続強制経口投与、30~300 mg/kg/day)、マウスの網状赤血球を用いた小核試験(単回経口投与、645 mg/kg)、ラットの腎臓を標的とした遺伝子損傷試験(アルカリ溶出法:単回腹腔内投与、472 mg/kg)ではいずれも陰性であったが、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(慢性吸入ばく露、45 mg/m3)で陽性の報告がある(IARC 125 (2020)、厚労省 既存点検結果 (2013、2000))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験、チャイニーズハムスター肺線維芽細胞(CHL)を用いた3つの染色体異常試験、マウスリンパ腫細胞L5178Y Tk+/–株を用いたマウスリンフォーマ試験で、結果はいずれも陽性であった(IARC 125 (2020)、厚労省 既存点検結果 (2010))。

発がん性

【分類根拠】 (1)より厚生労働省がん原生指針に指定されていること、(2)、(3)より動物種2種で悪性腫瘍の発生増加が認められ、動物実験において発がん性の十分な証拠があり、区分1Bとした。なお、新たな情報源に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)本物質は労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質による労働者の健康障害を防止するための改正指針の対象物質である(平成24年10月10日付け健康障害を防止するための指針公示第23号)。 (2)ラットを用いた2年間吸入ばく露によるがん原性試験(OECD TG451、GLP:蒸気、25~400 ppm)において、雌雄ともに肝細胞腺腫、肝細胞がん、肝臓の血管肉腫、肺の細気管支-肺胞上皮腺腫、皮膚/付属器官の毛嚢上皮腫、加えて雄では大腸の腺腫及び腺癌、雌では大腸の腺腫の発生増加が認められた(厚労省委託がん原性試験 (2005)、IARC 125 (2020))。 (3)マウスを用いた2年間吸入ばく露によるがん原性試験(OECD TG451、GLP:蒸気、25~400 ppm)において、雄に肺の細気管支-肺胞上皮腺腫、細気管支-肺胞上皮がん、腺扁平上皮がんおよび扁平上皮がん、前胃の扁平上皮乳頭腫、ハーダー腺の腺腫、雌に細気管支-肺胞上皮腺腫、細気管支-肺胞上皮がん、前胃の扁平上皮乳頭腫と扁平上皮がん、ハーダー腺の腺腫の発生増加が認められた(厚労省委託がん原性試験 (2005)、IARC 125 (2020))。 (4)本物質が炎症を誘発し細胞増殖を促進することを示唆する証拠、遺伝毒性を示すことを示唆する証拠があり(参考データ参照)、本物質が発がん物質の鍵となる性質を示す実験系の強力な証拠とされている(IARC 125 (2020))。
【参考データ等】 (5)国内外の評価機関による既存分類結果として、IARCでグループ2Bに(IARC 125 (2020))、日本産業衛生学会で第2群Bに(産衛学会 許容濃度等の勧告 (2021))分類されている。

生殖毒性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)は明確な用量相関性を欠くこと及び統計的有意差がないことから分類に利用しなかった。
【参考データ等】 (1)ラットを用いた強制経口投与による生殖発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP:4~100 mg/kg/day、雄:交配14日前から交配期間を含む計42日間、雌:交配14日前から授乳3日までの40~51日間)において、雌雄親動物には高用量(100 mg/kg/day)で肝臓重量増加及び小葉中心性肝細胞肥大が認められた以外に投与による有意な影響はみられなかった。しかしながら、授乳期間中に20 mg/kg/dayで2例(2/12)、100 mg/kg/dayで1例(1/12)に十分な哺育行動を行わない母動物が出現し、出生児は全例死亡した。その結果、出生児の生後4日の生存率は対照群、4、20及び100 mg/kg/day投与群でそれぞれ96.8、94.8、75.5及び72.0%となり、20 mg/kg/day以上で生後4日生存率の低下傾向(有意差なし)がみられた。個体別にみた場合、中用量以上の群ではこれら3例以外にも出生児の生後4日生存率が対照群の下限値(83.3%)をかなり下回る母動物が存在し、群平均も試験施設の2005~2010年の背景データの範囲(81.8~100%)を下回った。原著者らは用量相関性を欠くが、20 mg/kg/day以上の投与群における哺育行動の低下と出生児の生後4日生存率の低下傾向は被験物質投与による影響を否定できないとして、生殖発生毒性のNOAELは4 mg/kg/dayと報告している(厚労省 既存点検結果 (2010))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)~(4)より、区分3(麻酔作用)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG 401、GLP)において、500 mg/kg(雄、区分2の範囲)及び800 mg/kg(雌、区分2の範囲)で流涎が、1,300 mg/kg(区分2の範囲)で半眼が、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で自発運動の減少、腹臥位、半眼、閉眼、歩行失調、流涎等がみられたとの報告がある。なお、LD50は1,300~2,000 mg/kg(雄)、800~1,300 mg/kg(雌)である(既存点検結果 (2000))。 (2)ラットを用いた単回経口投与試験(GLP)において、歩行異常、嗜眠、呼吸数減少が、800 mg/kg(区分2の範囲)で姿勢異常、四肢の蒼白化、眼瞼下垂が、1,000 mg/kg(区分2の範囲)で目頭膜の膨張(4/5例(雄)、1/5例(雌))、振戦(1/5例(雌))がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。 (3)ラットを用いた単回経口投与試験において、抑うつ、活動性の低下がみられたとの報告がある。なお、LD50は930 mg/kg(雄)、1,100 mg/kg(雌)である(REACH登録情報 (Accessed November 2021))。 (4)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(蒸気、4時間)において、気管粘膜のうっ血と刺激、脳の神経組織の浮腫と腫脹、剖検所見では内臓のうっ血、肺の出血、病理組織所見では肝臓の脂肪変性、腎臓のアルブミン様変性がみられたとの報告がある。なお、LC50は6.5 mg/L(1,009 ppm(雄))、7.27 mg/L(1,129 ppm(雌))である(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)~(4)より、呼吸器と肝臓への影響がみられたことから、区分1(呼吸器)、区分2(肝臓)とした。また、(3)でみられた腎臓への影響は、加齢に伴う症状であると考えられるため、標的臓器として採用していない。ガイダンスに基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口による28日間反復経口投与試験(OECD TG407、GLP)において、100 mg/kg/day(90日換算:31.1 mg/kg/day、区分2の範囲)で流涎、肝臓の絶対・相対重量の増加、小葉中心性肝細胞肥大、Htの減少(雄)、平均赤血球血色素濃度の上昇(雄)、腎臓の絶対/相対重量増加(雄)、精細管萎縮(雄)、前胃粘膜の過形成(雄)、血清塩素濃度の上昇(雌)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結果 (2000))。 (2)ラットを用いた13週間反復吸入ばく露試験(OECD TG413、GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、0.322 mg/L(ガイダンス換算:0.23 mg/L、区分2の範囲)で鼻咽頭の杯細胞の増生(中等度~軽度)、肝臓重量増加(雄)、鼻腔の杯細胞の増殖(軽度)(雄)が、0.644 mg/L(0.46 mg/L、区分2の範囲)で肝臓重量増加(雌)、鼻腔の杯細胞の増殖(軽度)(雌)が、1.288 mg/L(0.92 mg/L、区分2の範囲)で腎臓重量増加、呼吸上皮の過形成、心臓重量の増加(雌)がみられたとの報告がある(がん原性予備試験 (2002))。 (3)ラットを用いた104週間反復吸入ばく露試験(OECD TG451、GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、0.161 mg/L(ガイダンス換算:0.115 mg/L、区分1の範囲)で呼吸上皮の炎症(雄)、慢性腎症の発生増加(雌)が、0.644 mg/L(0.46 mg/L、区分2の範囲)で肝臓重量の増加、腎臓重量増加、慢性腎症の重度の例数増加傾向、尿素窒素の増加、胆管増生、鼻腺の呼吸上皮化生(雌)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結果 (2005))。 (4)マウスを用いた104週間反復吸入ばく露試験(OECD TG451、GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、0.161 mg/L(ガイダンス換算:0.115 mg/L、区分1の範囲)で細気管支-肺胞上皮増生の発生増加が、0.644 mg/L(0.46 mg/L、区分2の範囲)で前胃の扁平上皮過形成の発生増加(雌)、鼻咽頭上皮のエオジン好性変化の発生増加(雌)、血小板数の減少(雌)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結果(2005))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

ミジンコ等の水生無脊
EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 55.9 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(OECD 試験ガイドライン 202)
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Pseudokirchneriella subcapitata (緑藻) - 847 mg/l - 72 h
(ISO(国際標準化機構) 8692)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 36 % - 本質的には生分解性でない。
(OECD テスト ガイドライン 301B)

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

環境への放出は必ず避けなければならない。

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 2688    IMDG (海上規制): 2688    IATA-DGR (航空規制): 2688

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): 1-Bromo-3-chloropropane
IMDG (海上規制): 1-BROMO-3-CHLOROPROPANE
ADR/RID (陸上規制): 1-BROMO-3-CHLOROPROPANE

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 6.1    IMDG (海上規制): 6.1    IATA-DGR (航空規制): 6.1

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

非該当
ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

強塩基類, 強酸化剤, マグネシウム

15. 適用法令

労働安全衛生法

危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達) 健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

該当しない

毒物及び劇物取締法

劇物(指定令第2条)

消防法

第4類 引火性液体 第二石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 貯蔵等の届出を要する物質(法第9条の3)【1-ブロモ-3-クロロプロパン及びこれを含有する製剤】

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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