安全データシート

2-メトキシエタノール

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 2-メトキシエタノール
  • CB番号: CB4852791
  • CAS: 109-86-4
  • EINECS番号: 203-713-7
  • 同義語: エチレングリコールモノメチルエーテル,2-メトキシエタノール

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: ニトロセルロース,アセチルセルロース,天然および、合成樹脂,アルコール可溶染料の溶媒,防湿セロハンの接着,速乾ワニス,エナメル,つめみがきに使用.鉄, 硫酸根,二硫化炭素の定量用試薬, Kar1 Fischer試薬.
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
GHS改訂4版を使用
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
物理化学的危険性
引火性液体   区分3
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性(反復ばく露)   区分1 (血液系、精巣)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (中枢神経系、血液系、腎臓)、 区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
生殖毒性   区分1B
急性毒性(吸入:蒸気)   区分4
急性毒性(経皮)   区分4
分類実施日
GHS改訂4版を使用
平成24年政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)を使用
環境に対する有害性
分類できない

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS07GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H373 長期にわたる、又は反復ばく露により臓器 (胸腺) の障害のおそれ。
H370 臓器 (免疫系) の障害。
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
H302 + H312 + H332 飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合や吸入した場合は有害。
H226 引火性液体及び蒸気。
注意書き
安全対策
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P260 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P243 静電気放電に対する措置を講ずること。
P242 火花を発生させない工具を使用すること。
P241 防爆型の【電気機器/換気装置/照明機器/機器】を使用すること。
P240 容器を接地しアースをとること。
P233 容器を密閉しておくこと。
P210 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
応急措置
P308 + P311 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
P304 + P340 + P312 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し,呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P303 + P361 + P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
P403 + P235 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
廃棄
専門的な使用者に限定。
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: Methyl Cellosolve®
    Ethylene glycol monomethyl ether
    Methyl glycol
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C3H8O2
  • 分子量: 76.09 g/mol
  • CAS番号: 109-86-4
  • EC番号: 203-713-7
  • 化審法官報公示番号: 2-405
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 直ちに医師を呼ぶ。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
二酸化炭素(CO2) 泡 粉末

5.2 特有の危険有害性

火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
高温で空気と反応して爆発性混合物を生じる。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
可燃性。
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

容器を危険ゾーンから移動させて水で冷やすこと。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: 蒸気、エアゾールを吸入してはならない。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 熱や発火源から遠ざける。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 液体吸収剤(例. Chemizorb® )で処置すること。 正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。 蒸気やエアロゾルが生じないようにすること。
火災及び爆発の予防
炎、熱および発火源から遠ざける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 3: 可燃性液体
保管条件
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管する。 熱や発火源から遠ざける。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。不活性ガス下に貯蔵する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
ACL: 0.1 ppm - 作業環境評価基準、健康障害防止指
TWA: 0.1 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)
TWA: 2 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 480 min
試験物質:Butoject® (KCL 898)
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: バイトン®
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 120 min
試験物質:Vitoject? (KCL 890 / Aldrich Z677698, Size M)
身体の保護
難燃静電気保護服。
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。 爆発のおそれ。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体: ICSC(2003)
無色透明: ICSC(2003)
臭い
エーテル臭(HSDB(2005))
臭いのしきい(閾)値
検知: 9X10-2 ppm (空気); 認知: 2.2X10-1 ppm (空気)(HSDB (2005))
pH
5,0 - 7,0 at 25℃(MSDS (Sigma-Aldrich) (Access on Dec. 2011))

融点・凝固点

-85.1℃:HSDB(2014)

沸点、初留点及び沸騰範囲

124.1℃: HSDB(2014)

引火点

42℃(密閉式): HSDB(2014)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

0.5(HSDB(2005))

燃焼性(固体、気体)

情報なし

燃焼又は爆発範囲

2.3-24.5vol% :(ICSC(2003))

蒸気圧

0.830 kPa((20℃))(ICSC(2003))

蒸気密度

2.6(ICSC(2003))

比重(相対密度)

情報なし

溶解度

水:>10000 mg/L(EnviChem(Access on May. 2012)) アルコール、エーテル、グリセロール、アセトン、ジメチルホルムアミドに混和。(Merck(14th, 2006))

n-オクタノール/水分配係数

-0.503(ICSC(2003))

自然発火温度

285℃:HSDB(2014)

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

1.71(20℃), 1.60(25℃)mPa・s(Lange (16th, 2005))

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

蒸気/空気混合物は、強く温めると爆発性となる。
蒸気は空気と爆発性混合物を形成することがある。

10.2 化学的安定性

2,6‐ジ(tert‐ブチル)‐p‐クレゾール (0.005 %)
以下の安定剤が含まれている:
標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

過酸化物
危険有害な分解生成物
空気
酸化剤
次との反応で爆発のおそれ
亜鉛
塩基類
マグネシウム
アルミニウム
次との反応で有毒ガスや煙を生じる

10.4 避けるべき条件

加熱
熱。 45℃

10.5 混触危険物質

アルミニウム, 多様なプラスチック

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値として、2,370-5,490 mg/kg の範囲内での10件の報告(PATTY (6th, 2012)、CICAD 67 (2010)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2006)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、ECETOC TR95 (2005)、DFGOT vol. 6 (1994)、EHC 115 (1990)) に基づき、区分外とした。
経皮
ウサギのLD50値として、1,280-3,920 mg/kg の範囲内で11件の報告がある。 ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (7件) (1,280 mg/kg (環境省リスク評価第4巻 (2005))、1,290 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、1,300 mg/kg (ECETOC TR95 (2005)、EHC 115 (1990))、1,300 mg/kg (EHC 115 (1990))、2,000 mg/kg (環境省リスク評価第4巻 (2005))、2,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、2,000 mg/kg (DFGOT vol. 6 (1994)) が該当する区分4とした。 なお、1件が区分5に該当し、3件は複数データの集約であるため該当数に含めずに分類した。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットのLC50値 (4時間) として、16,000 mg/m3 (=5,136 ppm) (CICAD 67 (2010)) との報告に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (8,193 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。現行分類の7時間データに代えて、新たな情報源 (CICAD 67 (2010)) の4時間試験データを優先して分類を見直した。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ウサギを用いた一次刺激性試験が複数あり、本物質原液0.5 mLを4時間適用した試験 (EECガイドライン準拠) で、刺激性なし (NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005)、BUA 198 (1996)) との報告や、本物質483 mgを24時間適用した試験において軽度の刺激性ありとの報告がある (IUCLID (2000))。以上の結果より、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、本物質原液0.1 mLを適用した結果、適用後24-72時間の刺激性の平均スコアが結膜発赤 1.3-1.1、結膜浮腫 0.5-0.2、角膜混濁 0.2-0.0を示し、刺激性なしとの報告がある (BUA 198 (1996))。また、別のウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質の原液0.5 mLの適用により刺激性はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005)) との報告がある。以上の結果から、区分外とした。

呼吸器感作性

データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験の結果、感作性はみられなかった (CICAD 67 (2010)) との報告はあるが、試験条件及び試験結果を含め詳細不明のため分類できないとした。

生殖細胞変異原性

ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット及びマウスの優性致死試験、染色体異常試験、マウスの小核試験、ヒト末梢血及びマウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験で弱い陽性結果も混じるが概ね陰性の結果である (NITE初期リスク評価書 (2007)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2009)、CEPA (2002)、ECETOC TR95 (2005)、CICAD 67 (2010)、DFGOT vol. 6 (1994)、PATTY (6th, 2012))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験、ヒト線維芽細胞の不定期DNA合成試験で、1例の染色体異常陽性結果を除きすべて陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2009)、CEPA (2002)、ECETOC TR95 (2005)、CICAD 67 (2010)、DFGOT vol. 6 (1994)、PATTY (6th, 2012))。

発がん性

データ不足のため分類できない。

生殖毒性

以上のように、実験動物に対して明らかな生殖影響がみられており、また、産業衛生学会許容濃度等の勧告 (2013) で、生殖毒性第1群物質 (ヒトに対して生殖毒性を示すことが知られている物質) にリストアップされている(2013年提案暫定)。産業衛生学会許容濃度の提案理由書 (2009) には、ヒトでの生殖影響に関して「ラジオ・テレビ用のコンデンサー製造事業所において1970-1977年の間EGMEに平均4.6年間ばく露されていた女性労働者28人について追跡調査が行われた。28人から41人の子供が生まれた。妊娠中にばく露されていなかった子供を対照とした。その結果、ばく露群では先天異常及び染色体異常の頻度が有意に高かったとしているが、過去及び調査時点でのばく露レベルが不明であることと、本物質は遺伝毒性が陰性であり、観察された染色体構造異常頻度上昇には他の物質との混合ばく露の影響も考えられることから慎重な解釈が必要と思われる」と記載されている。 以上のように、実験動物に対して明らかな生殖影響がみられているが、ヒトへの影響は不明瞭である。従って、区分1Bとした。
ラット、マウスを用いた経口経路 (飲水) での多世代生殖毒性試験において約20-200 mg/kg bw/day相当で生存産児数の減少、受胎率の低下、妊娠回数の減少等がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005))。 経口経路での催奇形性試験では、マウスにおいて母動物毒性がみられないか、体重増加抑制がみられる用量 (60-300 mg/kg/day) において胎児死亡、前後肢の指の奇形 (合指、短指、欠指、多指)、骨格奇形 (頚椎弓の分岐・分離)、外表奇形 (外脳) の発生率の増加、ラットでは、母動物毒性がみられない用量 (31 mg/kg/day相当) で心血管系の奇形 、アカゲザルでは、12 mg/kg/day以上で胎児の死亡、36 mg/kg/day では胎児の全例が死亡し、死亡胎児の1 例で両前肢に指の欠損が報告されている(NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005))。 吸入経路の催奇形性試験では、母動物に体重増加抑制がみられる濃度 (50 ppm) でマウスでは胎児に精巣低形成、骨格変異、ラットでは骨格変異、ウサギでは吸収胚の増加、胎児体重低値、外表奇形 (関節拘縮、内反足、無爪、短指、欠指、臍ヘルニア 等)、骨格奇形 (指骨欠損)、内臓奇形 (心室中隔欠損、鎖骨下動脈形成不全、無腎、腎奇形、腎盂拡張、横隔膜ヘルニア、卵巣欠損、膀胱低形成 等) が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005))。 経皮経路の催奇形性試験では、ラットにおいて母動物に体重増加抑制がみられる用量 (500 mg/kg) で外表奇形 (前肢屈曲)、内臓異常 (腎盂拡大、尿管拡張) が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005))。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

ヒトにおいては、気道に軽度の刺激性を有する。吸入経路で、咳、咽頭痛、めまい、頭痛、吐気、嘔吐、錯乱を生じ、高濃度の場合には意識喪失の場合がある。経口経路では、事例報告より、急性影響として死亡、悪心、チアノーゼ、呼吸亢進、頻脈、代謝性アシドーシス、錯乱、激昂などの中枢神経症状、急性出血性胃炎、急性膵炎、腎臓の黒色化及び尿細管の変性、脳と髄膜にうっ血水腫 (NITE初期リスク評価書 (2007))、肝臓の脂肪変性、腎臓の黒色化及び尿細管の変性、脳及び髄膜の水腫、うっ血、代謝性アシドーシス、肺の障害 (環境省リスク評価第4巻 (2005)、CICAD 67 (2010)) の報告がある。さらに、CICAD 67 (2010) で、ヒト疫学的データから神経系への影響が示唆されるほか、血液系への影響があると明確な関連性が記載されている。 実験動物では、ラットなどで経口、吸入、経皮経路において、血液学的影響 (CICAD 67 (2010))、マウスの吸入で肺、腎臓の障害(産衛学会許容濃度の提案理由書 (2009)、ACGIH (7th, 2006))、経口で肺の浮腫、肝臓の軽度の傷害、腎臓の重度の傷害、ヘモグロブリン尿(PATTY (6th, 2012))、ラット、マウスの395 mg/m3以上の吸入で、回避・逃避条件反応の抑制、バルビツール酸塩誘発性睡眠時間の延長、四肢の部分的麻痺といった神経毒性試験の報告 (CICAD 67 (2010)) がある。これらの所見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。なお、肝臓、肺の所見については、本物質の二次的影響とした。 以上より、区分1 (中枢神経系、血液系、腎臓)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

ヒトの職業ばく露による疫学研究において、本物質にばく露された男性作業者の群では非ばく露対照群と比べて、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値が有意に低下し、貧血の発症率は対照群の3.2%に比し、ばく露群では26.1%と増加していた。ばく露群において明確な血液毒性所見がみられた時点、その後、職場環境の改善を行った2.5ヵ月後及び6ヵ月後に作業場で測定した本物質気中濃度とばく露群における尿中代謝物 (メトキシ酢酸: MAA) 濃度を追跡測定した結果、両者は高い相関性を示し、本物質ばく露と血液毒性発症とは関連性があると考えられた (CICAD 67 (2010))。この他、疫学研究報告には精子形成阻害がみられたとの報告がある(NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005)、CICAD 67 (2010))。 実験動物では、ラットに13週間飲水投与した試験において、区分2に該当する用量 (70 mg/kg/day) で胸腺及び精巣の萎縮がみられ、マウスの13週間飲水投与試験でも区分外の高用量で精巣に重量減少及び組織変化がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、CICAD 67 (2010))。また、ラット又はウサギに本物質蒸気を13週間吸入ばく露した試験においても、区分2相当の濃度 (0.31-0.93 mg/L) で、白血球数、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値の減少、並びに精巣萎縮がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005)、CICAD 67 (2010))。 以上より、ヒト及び実験動物での知見に基づき、区分1 (血液系、精巣) とした。なお、旧分類で採用された中枢神経系への影響(神経症状、脳症など) に関するヒトでの複数の知見はいずれも他物質との複合ばく露による急性又は反復ばく露影響であることを確認した (NITE初期リスク評価書 (2007)、ECETOC TR95 (2005)、CICAD 67 (2010)) ため、現行分類では標的臓器から削除した。

吸引性呼吸器有害性

データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
止水式試験 LC50 - Lepomis macrochirus(ブルーギル) - > 10,000 mg/l -
96 h
(OECD 試験ガイドライン 203)
ミジンコ等の水生無脊
半静止試験 EC50 - Daphnia magna (オオミジンコ) - 27,000 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(ISO(国際標準化機構) 6341)
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Pseudokirchneriella subcapitata (緑藻) - 25,500 mg/l -
72 h
(ISO(国際標準化機構) 8692)
微生物毒性
止水式試験 EC50 - 活性汚泥 - > 1,000 mg/l - 3 h
(OECD 試験ガイドライン 209)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 20 d
結果: 88 % - 易分解性。
備考: (ECHA)

12.3 生体蓄積性

生物蓄積は予期されない(log Pow <= 4)。

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

データなし

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 1188    IMDG (海上規制): 1188    IATA-DGR (航空規制): 1188

14.2 国連輸送名

IATA-DGR (航空規制): Ethylene glycol monomethyl ether
IMDG (海上規制): ETHYLENE GLYCOL MONOMETHYL ETHER
ADR/RID (陸上規制): ETHYLENE GLYCOL MONOMETHYL ETHER

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 3    IMDG (海上規制): 3    IATA-DGR (航空規制): 3

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

該当
ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当

14.6 特別の安全対策

なし

14.7 混触危険物質

アルミニウム, 多様なプラスチック

15. 適用法令

化審法

優先評価化学物質

労働安全衛生法

第2種有機溶剤等 危険物・引火性の物 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 作業環境評価基準

化学物質排出把握管理促進法

第1種指定化学物質

消防法

第4類引火性液体、第二石油類水溶性液体

航空法

引火性液体

船舶安全法

引火性液体類

海洋汚染防止法

有害液体物質(Y類物質)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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