急性毒性
経口
ラットのLD50値は 14550 mg/kg(SIDS (2002))に基づき区分外とした。GHS分類:区分外
経皮
ウサギのLD50値は >5000 mg/kg(USEPA/HPV (2001)、List1相当)に基づき区分外とした。GHS分類:区分外
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
データなし。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データ不足。なお、マウスに2.74 mg/Lの濃度を90分ばく露して運動活性の低下を起こしたが、死亡はみられていない(SIDS (2002))。しかし、この情報のみでは区分を特定できないので分類できない。なお、試験濃度(2.74 mg/L)は飽和蒸気圧濃度((1.17 mg/L))を超えているので、ミストによる試験とみなした。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
ウサギ3匹に本物質原液0.5 mLを4時間適用した皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP)において、適用後1~3日に明瞭な紅斑と軽微~軽度な浮腫が認められ、皮膚刺激指数(PII)は3.67であった(ECETOC TR 66 (1995))ことから、区分2とした。なお、その他の知見として、ウサギ6匹を用い、本物質0.1 gを72時間まで適用した皮膚刺激性試験では重度の刺激性(severely irritating)と報告され(SIDS (2002))、一方、ヒトではボランティア50人に本物質の33%アセトン溶液0.05 mLを48時間適用した結果、刺激性なし(not irritatinng)と報告されている(SIDS (2002))。GHS分類:区分2
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
データなし。GHS分類:分類できない
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚感作性
Contact Dermatitis (5th, 2001)に接触アレルギー物質として記載があることから、区分1とした。なお、ヒトで1人の美容師がラベンダーシャンプーを使用後、48および96時間のパッチテストで強い陽性反応を示した(SIDS (2002))との事例報告がある。本物質はアレルギー反応を起こす可能性のあるラベンダー油の成分の一つであり、本物質に疑いがかけられている。GHS分類:区分1
生殖細胞変異原性
in vitro試験のデータがないので分類できない。なお、in vitro試験としては、エームス試験およびヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験で陰性が報告されている(SIDS (2002))。GHS分類:分類できない
発がん性
データ不足。なお、A/He系雌マウスに週3回8週間腹腔内投与した試験において、開始24週後の観察では、発がん性の証拠は認められなかった(SIDS (2002))と報告されているが、肺を除き完全な組織学的検査は行われていない。 GHS分類:分類できない
生殖毒性
データなし。なお、本物質を経口摂取すると消化管で加水分解の結果リナロールが生じる。そのリナロールを72.9%含むコエンドロ油を、雌ラットに投与、即ち、交配7日前から、無投与の雄との交配および妊娠期間を経て分娩後4日まで経口投与した生殖試験(FDA Guideline、GLP)において、受胎能に影響は認められなかったが、母動物の毒性用量(1000 mg/kg)で分娩前後に胎仔死亡の増加が報告されている(SIDS (2002))。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ラットおよびマウスの急性経口毒性試験(LD50値;ラット 14550 mg/kg、マウス 13360 mg/kg)で投与後まもなく抑制症状が現れ、ラットでは昏睡が認められた(SIDS (2002))こと、さらに、マウスに2.74 mg/Lの濃度を90分吸入ばく露により、死亡はなく、運動活性の低下が観察された(SIDS (2002))ことにより、区分3(麻酔作用)とした。GHS分類:区分3(麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
データなし。なお、本物質を経口摂取すると消化管で加水分解の結果リナロールが生じる。そのリナロールを72.9%含むコエンドロ油を、ラットに28日間反復経口投与した試験(160, 400, 1000 mg/kg)において、全投与群の雌で肝細胞の空胞化と高用量群の雄で腎臓皮質に変性病変を認め、リナロールの影響は肝臓と腎臓に限定されると結論されている(SIDS (2002))。 GHS分類:分類できない
吸引性呼吸器有害性
データなし。GHS分類:分類できない