急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
GLP/TG試験でより安全側の知見を採用とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: > 50~< 300 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))
(2) ラットのLD50: 雄: 595 mg/kg、雌: 997 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2018)、農業工業会「日本農薬学会誌」第20巻第4号 (1995)、HSDB (Access on August 2019))
【参考データ等】
(3) マウスのLD50: 雄: 224 mg/kg、雌: 210 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2018)
経皮
【分類根拠】
(1) より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (食品安全委員会 農薬評価書 (2018)、農業工業会「日本農薬学会誌」第20巻第4号 (1995)、HSDB (Access on August 2019))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (粉じん、4時間) : 雄: 2,660 mg/m3 (2.66 mg/L)、雌: > 3,090 mg/m3 (3.09 mg/L) (農業工業会「日本農薬学会誌」第20巻第4号 (1995)、食品安全委員会 農薬評価書 (2018))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 本物質はウサギを用いた皮膚刺激性試験及び眼刺激性試験において刺激性を示さない (食品安全委員会 農薬評価書 (2018)、HSDB (Access on August 2019)、農業工業会「日本農薬学会誌」第20巻第4号 (1995))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1) より、区分2Bとした。
【根拠データ】
(1) ウサギの眼に本物質 (0.1g) を適用した眼刺激性試験において、角膜および結膜に刺激性変化がみられたが,投与72時間後に消失した (農業工業会「日本農薬学会誌」第20巻第4号 (1995))。
【参考データ等】
(2) 本物質はウサギを用いた眼刺激性試験において刺激性を示さない (食品安全委員会 農薬評価書 (2018)、HSDB (Access on August 2019))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。
【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法及びビューラー法) においてマキシマイゼーション法では感作性が認められたが、ビューラー法では陰性であった (食品安全委員会 農薬評価書 (2018)、農業工業会「日本農薬学会誌」第20巻第4号 (1995))。
(2) 本物質はモルモットに対して感作性を有する (HSDB (Access on August 2019))。
【参考データ等】
(3) EU-CLP分類でSkin Sens. 1B (H317) に分類されている (EU CLP分類 (Access on August 2019))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスを用いた小核試験で陰性の報告がある (食品安全委員会 農薬評価書 (2018)、農業工業会「日本農薬学会誌」第20巻第4号 (1995))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験、不定期DNA合成試験で陰性の報告、ヒトリンパ球培養細胞の染色体異常試験の一部 (S9-) で陽性の報告があるが、より高用量まで実施した同試験で陰性の報告がある (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))。
発がん性
【分類根拠】
(1) の既存分類結果からガイダンスに従い区分2とした。既存分類結果の追加により旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでS (Suggestive Evidence of Carcinogenicity, but not Sufficient to Assess Human Carcinogenic Potential) (EPA Annual Cancer Report (2018):2002年分類) に分類されている。
【参考データ等】
(2) ラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、雄で肝細胞腺腫の発生頻度増加が認められた。雌でも肝細胞腺腫の発生頻度増加が認められたが用量相関性が認められなかったことから投与の影響ではないと考えられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))。
(3) マウスに本物質を18ヵ月間混餌投与した発がん性試験では、投与に関連した腫瘍性病変の発生頻度増加は認められなかった (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。新たな情報源を用い、データを見直したことから旧分類と分類結果が異なった。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、親動物に体重増加抑制、摂餌量減少がみられる用量で、児動物で体重増加抑制がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、活動性低下等) がみられる用量で、胎児に骨格変異 (14肋骨) 増加がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))。
(3) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で流産 (2/20例) がみられたが、胎児に影響はみられていない (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))。
【参考データ等】
(4) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡又は切迫屠殺 (4/22 例)、後弯姿勢、運動失調、振戦等) がみられる用量で、胎児に低体重、骨化遅延、全胚吸収数増加がみられた (食品安全委員会 農薬評価書 (2018))。 この試験は、重篤な母動物毒性がみられていることから、分類根拠としなかった。