急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(11) より、区分4とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 1,400 mg/kg (ATSDR (2012)、EHC 112 (1991))
(2) ラットのLD50: 1,390~1,530 mg/kg (EHC 112 (1991))
(3) ラットのLD50: 1,552 mg/kg (EHC 112 (1991))
(4) ラットのLD50: 1,390~3,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))
(5) ラットのLD50: 1,600~3,200 mg/kg (ATSDR (2012))
(6) ラットのLD50: 1,164~3,350 mg/kg (DFGOT vol.17 (2002)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004))
(7) ラットのLD50: 1,600~3,200 mg/kg (EHC 112 (1991))
(8) ラットのLD50: 3,160 mg/kg (ATSDR (2012))
(9) ラットのLD50: 3,200 mg/kg (ATSDR (2012))
(10) ラットのLD50: 3,000 mg/kg (EHC 112 (1991)、環境省リスク評価 第4巻 (2005))
(11) ラットのLD50: 1,390~11,265 mg/kg (PATTY (6th, 2012))
経皮
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) ウサギのLD50:> 3,100 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012)、DFGOT vol.17 (2002)、EHC 112 (1991)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004)、環境省リスク評価 第4巻 (2005))
(2) ウサギのLD50:> 4,640 mg/kg (ATSDR (2012)、DFGOT vol.17 (2002))
(3) ウサギのLD50:> 5,000 mg/kg (ATSDR (2012))
(4) ウサギのLD50:> 10,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol.17 (2002)、SIDS (2004))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分4とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (約0.016 mg/L) の90%より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間) : > 4,200 mg/m3 (4.2 mg/L) (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004))
(2) ラットのLC50 (6時間) : 123 ppm (1.34 mg/L) (4時間換算値:2.01mg/L) (ACGIH (7th, 2001))
(3) ラットのLC50 (6時間) : 1,359 mg/m3 (1.359 mg/L) (4時間換算値:2.04 mg/L) (EHC 112 (1991))
【参考データ等】
(4) ラットのLC50 (1時間) : 28,000 mg/m3 (28 mg/L) (4時間換算値:7 mg/L) (ATSDR (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008))
(5) ラットのLC50 (1時間) : < 200,000 mg/m3 (200 mg/L) (4時間換算値:50 mg/L) (ATSDR (2012))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分2とした。
【根拠データ】
(1) OECD TG404に準拠したウサギの皮膚刺激性試験において軽度の刺激性が観察されている (DFGOT vol.17 (2002)、NITE有害性評価書 (2007))。
(2) 本物質 (0.5 mL) のウサギの皮膚への4時間及び24時間の適用により軽度の刺激性が観察された (ATSDR (2012))。
(3) ウサギに本物質を4時間適用した皮膚刺激性試験で軽度の刺激性あるいは強度の刺激性が観察された (DFGOT vol.17 (2002))。
(4) 本物質 (0.01 mL) のウサギの皮膚への適用により刺激性を認め、500 mgのウサギの正常皮膚及び擦過皮膚への適用により強度の刺激性が観察された (ACGIH (7th, 2001)、EHC 112 (1991)、NITE有害性評価書 (2007))。
(5) 本物質は呼吸器、皮膚、眼に対して刺激性を有する (DFGOT vol.17 (2002)、PATTY (6th, 2012)、GESTIS (Access on September 2019))。
【参考データ等】
(6) ウサギに本物質を24時間適用した皮膚刺激性試験で刺激性を認めない (DFGOT vol.17 (2002))。
(7) 本物質の皮膚刺激性はモルホリン (区分1) と同程度に深刻である可能性がある (EHC 112 (1991))。
(8) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on September 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。新たなデータが得られたことにより、区分を変更した。
【根拠データ】
(1) 本物質 (0.02 mL) のウサギの眼への適用により壊死が観察されている (ATSDR (2012))。
(2) 本物質はヒトの皮膚、眼、呼吸器に対して刺激性を有する (DFGOT vol.17 (2002)、PATTY (6th, 2012)、GESTIS (Access on September 2019))。
(3) 本物質の点眼により、発赤や浮腫を伴う軽度~強度の刺激性がみられている (EHC 112 (1991))。
【参考データ等】
(4) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で軽度の刺激性が観察され、14日以内に回復した (DFGOT vol.17 (2002)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
(5) 本物質はヒト及び実験動物の皮膚及び眼に対して刺激性を有しヒトに対して感作性は示さない (SIAP (2001))。
(6) 本物質にばく露された6人のボランティアに刺激性が観察されている (DFGOT vol.17 (2002))。
(7) 本物質の適用により眼の障害が観察された (ACGIH (7th, 2001))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法) において皮膚反応は認められず、感作性は陰性と判定された (DFGOT vol.17 (2002))。
(2) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406) において、感作性は陰性と判定された (GESTIS (Access on September 2019))。
(3) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (Open Epicutaneous test) において、感作性は陰性と判定された (NITE初期リスク評価書 (2008))。
【参考データ等】
(4) 53人のボランティアに本物質 (<25% or >25%)に15回適用したパッチテストで皮膚反応は認められなかった (HSDB (Access on September 2019)、GESTIS (Access on September 2019))。
(5) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (詳細不明)において感作性が認められ、陽性率は42%であった (DFGOT vol.17 (2002))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、in vivo試験で陰性、一部のin vitro試験で陽性であったが、専門家判断に基づき、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットを用いた染色体異常試験で陰性の報告がある (SIDS (2004)、NITE初期リスク評価書 (2008)、HSDB (Access on September 2019))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験、遺伝子突然変異試験、小核試験で陰性の報告がある (SIDS (2004)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価 第4巻 (2005)、DFGOT vol.17 (2002))、一部の細菌の復帰突然変異試験で陽性 (TA1535、TA1538) の報告がある (SIDS (2004)、DFGOT vol.17 (2002)、EHC 112 (1991))。
発がん性
【分類根拠】
(1)~(3) より区分2とした。既存分類結果の追加により旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EU CLPでCarc.2 (EU CLP分類 (Access on August 2019)) に分類されている。
(2) マウスに本物質を1.5年間混餌投与した試験では、3,500 ppm群の雄で肝細胞腺腫が有意に増加した (NITE初期リスク評価書 (2008))。
(3) ラットに本物質を2年間混餌投与した試験では、雌雄とも膀胱で乳頭腫の有意な増加が、雄では移行上皮がんの有意な増加が認められた (NITE初期リスク評価書 (2008))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、親動物に体重低値がみられる用量で児動物で体重低値がみられただけで、生殖能への影響は認められなかった (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004)、DFGOT vol.7 (2002))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重低値、死亡 (7/24例)) がみられる用量で胎児に体重低値、頭骨の化骨遅延がみられたが催奇形性はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004)、DFGOT vol.7 (2002))。
(3) 雌ラットの妊娠7~17日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で胎児に腰肋骨の増加がみられたが催奇形性はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004)、DFGOT vol.7 (2002))。
(4) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重低値) がみられる用量で胎児に影響はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2004)、DFGOT vol.7 (2002))。