急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分2とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: 32.8 mg/kg、雄: 61.0 mg/kg (EPA Pesticides RED (2006))
(2) ラットのLD50: 雌: 33 mg/kg、雄: 62 mg/kg (JMPR (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))
(3) ラットのLD50: 雌: 56 mg/kg (JMPR (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))
(4) ラットのLD50: 雌: 30.2 mg/kg、雄: 56.2 mg/kg (Patty (6th, 2012))
(5) ラットのLD50: 雌: 33 mg/kg、雄: 61 mg/kg (HSDB (Access on June 2020))
(6) ラットのLD50: 34 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020))
経皮
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。
【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 8.5 mg/kg (JMPR (1999)、EPA Pesticides RED (2006)、食安委 農薬評価書 (2010)、Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2020))
(2) ウサギのLD50: 26 mg/kg (JMPR (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))
(3) ラットのLD50: 26 mg/kg (IPCS PIM G001 (1998))
【参考データ等】
(4) ラットのLD50: 226 mg/kg (JMPR (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))
(5) ラットのLD50: 雌: 424 mg/kg、雄: 1,280 mg/kg (JMPR (1999)、食安委 農薬評価書 (2010)、Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2020))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.005 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 0.123 mg/L (EPA Pesticides RED (2006)、食安委 農薬評価書 (2010)、Patty (6th, 2012))
(2) ラットのLC50 (4時間): 0.250 mg/L (JMPR (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))
(3) 本物質の蒸気圧: 3.8E-004 mmHg (20~25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.005 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(4) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。旧分類の根拠となったデータが確認できず、ガイドラインに準じた皮膚刺激性試験では動物の死亡により、評価は不能と考えられることから、分類できないとすることが適切と判断し、分類結果を変更した。なお、(4)のデータも参照元はEPAのデータであり、重度の皮膚刺激性物質との根拠はみいだせない。
【参考データ等】
(1) 本物質の原液のウサギを用いた皮膚刺激性試験では適用8時間以内に全例が死亡 (JMPR Report (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))。
(2) ウサギを用いた試験 (0.03、0.1、1 mg/kg/day、3週間) で、軽度の刺激性がみられた (JMPR Report (1999))。
(3) EPA OPP 81-5に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、本物質 (0.5 mL) を適用された6/6例が死亡した (EPA Pesticides RED (2006))。
(4) 本物質は重度の皮膚および眼刺激性物質であり、0.5 mL或いは 0.1 mLの適用により、動物は死に至る (Patty (6th, 2012) )。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)~(3) より、中等度以上の刺激性を有すると推察されることから、区分2Aとした。
【根拠データ】
(1) 本物質の原液のウサギの眼に刺激性 (瞬膜及び強膜に対する中等度の紅斑や水疱形成) を示すのみでなく、強い毒性を示し、適用1時間以内に死亡する (JMPR Report (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))。
(2) EPA OPP 81-4に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、本物質 (0.1 mL) を適用された3/3例が死亡した (EPA Pesticides RED (2006))。
(3) 本物質は重度の皮膚および眼刺激性物質であり、0.5 mL或いは0.1 mLの適用により、動物は死に至る (Patty (6th, 2012))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
【参考データ等】
(1) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317)に分類されている (EU CLP分類 (Access on June 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットを用いた優性致死試験及びラットの骨髄細胞を用いた小核試験において陰性の報告がある (JMPR (1999)、食安委 農薬評価書 (2010))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験において陰性の報告がある。一方、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験において代謝活性化系存在下で陽性の報告がある (同上)。
(3) 本物質は生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられるとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2010))。
発がん性
【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(3) のマウスの試験では発がん性は認められていないが、(2) より独立して実施された複数の試験で悪性腫瘍の発生増加がみられ、動物実験による証拠が十分と考えられること及び(1) のEPAの既存分類に従い、区分1Bとした。新たな情報源を用いて検討し、分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでL (Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1998年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した3つの慢性毒性/発がん性併合試験において、雄で甲状腺C細胞腺腫及びがん、副腎悪性褐色細胞腫が、雌で子宮内膜ポリープの発生増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2010))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、発がん性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2010))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) より、親動物毒性がみられる用量で、児の死亡率増加、生後14日生存率減少等がみられ、この他に繁殖能に影響がみられないことから区分2とし、14日生存率減少は母乳を介した影響の可能性もあることから、「追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物毒性 (30 ppm以上で脳ChE 活性阻害、150 ppm以上で体重増加抑制、300 ppmで軟便、振戦等) がみられる用量で、繁殖能に影響はみられていないが児動物に影響 (150 ppm以上でF2児動物の生後14日生存率減少、哺育率減少、300 ppmでF1児動物の死亡率増加、体重増加抑制) がみられている (食安委 農薬評価書 (2010))。
【参考データ等】
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (軟便、体重増加抑制等) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2010))。
(3) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2010))。