急性毒性
経口
【分類根拠】 ラットのLD50値として、(1)~(2)のデータが報告されており、いずれも区分4に該当する。よって区分4とした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50値:495 mg/kg(NICNAS IMAP(Accessed Jul. 2018)) (2)ラットのLD50値:930 mg/kg(PATTY(6th, 2012))
経皮
【分類根拠】 ラット又はウサギのLD50値として、(1)、(2)のデータより、区分3とした。
【根拠データ】 (1)ラット又はウサギのLD50値:500 - 1,000 mg/kg(SIAP(2013)) (2)ウサギのLD50値:925 mg/kg(NICNAS IMAP(Accessed Jul. 2018))
吸入:ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分4とした。なお、本物質の飽和蒸気圧濃度(0.46mg/L)よりも高い濃度において試験が行われていることから、ミストによる吸入試験として取り扱った。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50値(4時間):4.4 mg/L(NICNAS IMAP(Accessed Jul. 2018)、(HSDB(2008)) (2)ラットのLC50値(1時間):>8.22 mg (4時間換算値:>2.06 mg)(HSDB(2008))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1Aとした。なお、新たな情報源の利用により、旧分類から区分を変更した。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を4群に分け、本物質0.5 mLをパッチで1分間ばく露させたGLP試験において、乾燥ガーゼで拭き取った群、蒸留水で洗浄した群、蒸留水で洗浄した後PEG300で拭き取った群で適用1時間後には紅斑を伴う壊死が1匹以上で観察された(NICNAS IMAP(Accessed Jul. 2018)、REACH登録情報(Accessed Sept. 2018)、HSDB(2014))。 (2)ウサギ(n=3)を用いたDraize試験において、3分間の適用で紅斑と浮腫が見られ、7日後に回復しなかったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Sept. 2018))。
【参考データ等】 (3)ウサギを用いたDraize試験若しくはOECD TG 404類似試験において、脂肪族二級アミンは皮膚において腐食性を有することが知られている(SIAP(2013))
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1とした。
【根拠データ】 (1)皮膚腐食性/刺激性で区分1Aである。 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405)において、重度の角膜損傷の報告がある(NICNAS IMAP(Accessed Jul. 2018)) (3)本物質は強い眼刺激性を有するとされている(PATTY(6th, 2012)、HSDB(2014))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2)の動物試験データがあるが、区分外とするだけの情報は得られていないと判断し、分類できないとした。
【根拠データ】 (1)マウスの耳に本物質を適用したところ、感作性を誘発せず壊死が見られたとの報告がある(NICNAS IMAP(Accessed Jul. 2018))。 (2)マウスの耳及び腹に本物質溶液(0.05~100%で複数調製)を適用したところ、投与群・対照群共に反応を示したことから、刺激性と感作性を判別できなかったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Sept. 2018))。
【参考データ等】 (3)本物質は感作性物質の可能性もあるとの記載がある(PATTY(6th, 2012))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験では陰性の報告がある(HSDB(2008)、REACH登録情報(Accessed Sept. 2018))。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
【分類根拠】 (1)のデータより、具体的事例や症例報告に基づくものかは明らかでないが、本物質はヒトで気道刺激性を示すと考えられ、(2)のデータからも高濃度で呼吸器刺激を生じると考えられる。また、本物質は液体の腐食性物質である。よって、区分3(気道刺激性)とした。なお、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)ヒトが吸入した場合、気道刺激により重篤な咳及び胸痛を生じ、肺水腫、頭痛、吐き気、脱力を生じる可能性があるとの記述がある(HSDB(2008))。 (2)ラットに平均110 mg/Lの濃度で最長15分間吸入ばく露した結果、10~12分後に全例が努力呼吸、喘ぎ、平衡感覚消失、努力歩行をきたし、15分後には動物が消耗したためばく露を中止したとの報告がある(HSDB(2008))。(注:ガイダンスではばく露時間が30分以上のデータを分類に用いることとなっており、本試験結果をガイダンス値区分へ外挿適用することはできない。計算上は21.3 mg/L (4時間換算)であり、区分2超に相当する濃度。)
【参考データ等】 (3)マウスに100~1,600 mg/kgを強制経口投与した試験では、1,600 mg/kgで虚弱、運動失調、痙攣がみられた(HSDB(2008))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
【分類根拠】 (1)のデータからは標的臓器を特定できない。またこの他分類に利用可能なデータがないため、データ不足のため分類できないとした。
【根拠データ】 (1)ラットに75~300 mg/kg/dayの用量で2週間混餌投与した試験で、300 mg/kg/day群の雌雄で体重増加抑制、摂餌量低下が認められたが、摂餌量の低下は嗜好性によるとの可能性が指摘された。剖検で腎盂拡張など腎臓に所見がみられたが、肝臓、腎臓に病理組織学的に変化はみられなかった(HSDB(2008)、PATTY(6th, 2012)、REACH登録情報(Accessed Sept. 2018))。
吸引性呼吸器有害性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。