急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分1とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 4.4~21 mg/kg (Canada Pesticides (2009))
(2) ラットのLD50: 雄: 5 mg/kg、雌: 18 mg/kg (ACGIH (7th, 2004))
(3) ラットのLD50: 5 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020)、HSDB (Access on June 2020))
(4) ラットのLD50: 雌: 5.3~9.5 mg/kg、雄: 8.6~13.3 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020))
(5) ラットのLD50: 6.0~7.8 mg/kg (EPA Pesticides RED (2007))
(6) ラットのLD50: 6~14 mg/kg (EHC 64 (1986))
経皮
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分4とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 1,000~2,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020))
(2) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020))
(3) ウサギのLD50: 3,400 mg/kg (ACGIH (7th, 2004)、EHC 64 (1986))
(4) ウサギのLD50: 4,403 mg/kg (EPA Pesticides RED (2007))
(5) ラットのLD50: > 500 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2020))
(6) ラットのLD50: 雌: 3,094 mg/kg、雄: > 5,000 mg/kg (Canada Pesticides (2009))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (6.4E-006 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 雌: 0.04 mg/L、雄: 0.06 mg/L (食安委 農薬評価書 (2020))
(2) ラットのLC50 (4時間): 0.047 mg/L (食安委 農薬評価書 (2020))
(3) ラットのLC50 (4時間): 0.08 mg/L (EPA Pesticides RED (2007))
(4) 本物質の蒸気圧: 5.4E-007 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 6.4E-006 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 本物質のEPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で一次刺激性スコアは0.25と報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。
(2) ウサギを用いた眼及び皮膚刺激性試験が実施され、眼及び皮膚に対する刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)~(3) が得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 本物質のEPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験でごく軽度の刺激性と報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。
(2) ウサギを用いた眼及び皮膚刺激性試験が実施され、眼及び皮膚に対する刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。
(3) ウサギを用いた眼刺激性試験 で、ごく軽度の刺激性と報告されている (HSDB (Access on June 2020))。
【参考データ等】
(4) 本質 (5 mg) のウサギを用いた眼刺激性試験 で、ごく軽度の刺激性と報告されている (Canada Pesticides (2009))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1)~(3) が得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 本物質は皮内感作によるモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性を示さない (ACGIH (7th, 2004)、Canada Pesticides (2009)、HSDB (Access on June 2020))。
(2) 本物質のEPA OPPTS 870.2600に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性なしと報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。
(3) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法、ドレイズ法及びマキシマイぜーション法) が実施され、結果は陰性であった (食安委 農薬評価書 (2020) )。
【参考データ等】
(4) 接触性皮膚炎の農夫30 人 (対照群20 人) に種々の農薬のパッチテストを実施した結果、本物質を含むカルバメートでは7 人が感作を誘発した (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)~(3) より、 証拠の重み付けに基づき、区分に該当しないとした。新たな情報を追加し分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス骨髄細胞を用いた小核試験及びマウス、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験において陽性、陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、ACGIH (7th, 2004))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性 (代謝活性化系非存在下のTA1535) 及び陰性の報告が複数ある。哺乳類培養細胞を用いたマウスリンフォーマ試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性、遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験で陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2020)、ACGIH (7th, 2004))。
(3) ACGIH (2004)においてWoE による評価の結果、弱い遺伝毒性のポテンシャルを有する程度だと考えられるとの記載がある (ACGIH(2004))。また、食安委農薬評価書において「生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられた」との記載がある (食安委 農薬評価書 (2013))。
発がん性
【分類根拠】
(1)~(3) より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2004))、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1997年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した2つの慢性毒性/発がん性併合試験において、投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験及び発がん性試験において、投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2020))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)、(2) より、親動物毒性用量であるが児動物の生存率低下、産児死亡数増加、発達遅延がみられていることから区分1Bとした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少) がみられる用量で児動物の生存率低下等 (体重増加抑制 (生後21日)、生存率低下(生後4日、7日、14日及び21日)) がみられている (食安委 農薬評価書 (2020))。
(2) 雌ラットの妊娠6日~哺育10日に混餌投与した発達神経毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制 (妊娠10~20日)、摂餌量減少 (妊娠6~10日) がみられる用量で、児動物の生存率低下、産児死亡数増加及び児動物の発達遅延 (生後4日生存率低下、低体重/体重増加抑制 (生後0日以降)、性成熟 (膣開口及び包皮分離) 遅延、耳介展開、下顎切歯萌出及び眼瞼開裂遅延、遊泳能力 (頭角度維持) 発達遅延 (雌雄、生後6日以降)、産児死亡数増加傾向、Y 型水路トライアル回数増加 (雄: 生後24、25及び30日、雌: 生後24日)) が認められた (食安委 農薬評価書 (2020))。
【参考データ等】
(3) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (嗜眠、死亡 (1例)、角膜混濁、流涎、流涙、振戦及び痙攣) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2020))。
(4) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (流涎、下顎の震え (投与後2時間)、体重増加抑制) がみられ、胎児では低体重、第5/6胸骨分節未骨化の増加傾向がみられたが催奇形性はみられていない (食安委 農薬評価書 (2020))。
(5) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (死亡 (1/20例)、粗毛、被毛の汚れ及び体重増加抑制 (投与初期、詳細不明)) がみられる用量において、胎児では骨格変異 (胸骨分節の不整配列、23.1%) が認められた (食安委 農薬評価書 (2020))。