急性毒性
経口
ラットのLD50値が626mg/kg (EPA. PESTICIDE(2001))、あるいは、ラットのLD50値が雄で461mg/kg、雌で304mg/kgとのデータ (農薬抄録(2008)) があり、何れも区分4の範囲である。
経皮
ウサギのLD50値>2000mg/kgとのデータ (EPA. PESTICIDE(2001)および、農薬抄録(2008)) より、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5又は区分外)とした。
吸入
吸入(粉じん): マウスのLC50値が雄で0.83 mg/L、雌で > 2.7 mg/Lとのデータ(農薬抄録(2008))とEU-Risk Phrase :R23 に基づいて区分3とした。
吸入(蒸気): データなし
吸入(ガス): GHSの定義における固体である。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いたGLP対応の皮膚一次刺激性試験において皮膚刺激性無しとの報告 (農薬抄録(2008)) に基づいて区分外とした。 なお、EPA. PESTICIDE(2001)にも同様の試験結果が掲載されている。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた一次刺激性試験において48時間で、角膜混濁、虹彩炎、および結膜炎が見られたが、7日以内に全数が正常に回復したデータ (EPA. PESTICIDE(2001)) 、および、ウサギに軽度の眼粘膜刺激性ありとの情報 (農薬抄録(2008)) に基づいて区分2Bとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性: モルモットを用いたBuehler Testで陰性 (農薬抄録(2008))、および、モルモットを用いたMaximization Testで陰性であったデータ (農薬抄録(2008))は区分外に該当するが、リスト2のデータであることから分類できないとした。
呼吸器感作性:データなし
生殖細胞変異原性
体細胞を用いる in vivo 変異原性試験(マウスの経口投与による骨髄細胞を用いた小核試験)の陰性結果 (農薬抄録(2008)) に基づき区分外とした。なお、in vitro 変異原生試験:エームズ試験、CHO 細胞を用いたHGPRT 突然変異試験(GLP 対応)、あるいはCHL 細胞を用いた染色体異常試験で陰性結果(農薬抄録(2008))とCHO 細胞を用いた染色体異常試験で高用量のみ陽性とのデータ (EPA. PESTICIDE(2001)) がある。
発がん性
ラットを用いた慢性毒性/発がん性併合試験で最大用量約30mg/kg/dを2年間投与して腫瘍発生頻度に投与の影響なく、発がん性は認められていない (農薬抄録(2008)) 。また、マウスを用いた発がん性試験で最大用量約 35mg/kg/dを18ヶ月間投与して腫瘍性病変の発生頻度に投与の影響はなく、発がん性は認められていない (農薬抄録(2008)) ことより区分外に該当するが、リスト2のデータであることから分類できないとした。
生殖毒性
ラットの2世代繁殖試験(GLP 対応)において、混餌投与濃度60 - 600ppmで繁殖能に影響がなく、生後形態分化のいずれの指標にも影響はなかったデータ (農薬抄録(2008))、ラットの器官形成期投与(経口、用量25 - 225mg/kg/d)で、生殖毒性の検査項目に影響なく、催奇形性も認められなかったデータ (農薬抄録(2008)) 、およびのウサギの器官形成期投与(経口、5 - 30 mg/kg/d) で着床と胎児の関する検査項目に影響がなく、催奇形性も認められなかったデータ (農薬抄録(2008)) より、区分外に該当するが、リスト2のデータである事から分類できないとした。 なお、以上のデータはEPA. PESTICIDE(2001)にも掲載されている。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットの経口投与急性神経毒性試験(GLP対応)において、用量180mg/kgで20匹中5匹に、90mg/kg投与群の20匹中2 匹にし眠状態がみられ、また機能検査では180mg/kg投与群で歩行異常、運動障害、覚醒レベルの低下がみられた (農薬抄録(2008)) ことから区分1(神経系)に該当するが、リスト2のデータである事から区分2(神経系)とした。 なお、用量が確認できないがラットにおける急性経口毒性試験(GLP対応)で、呼吸促迫や間代性痙攣などが観察された報告 (農薬抄録(2008))、あるいは、ラットの一般病理試験(Irwin法)で体温上昇、、間代性痙攣、歩行異常などが観察された報告 (農薬抄録(2008)) もある。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた90日経口反復投与試験において約90-100 mg/kg/dの用量で雄にGPTとγGTP、雌にγGTPの増加 (農薬抄録(2008))、ウサギの4週間経皮反復ばく露試験において、400-1000 mg/kg/d [90日換算107-270mg/kg/d]の用量で肝細胞質空胞化とGPTの増加 (農薬抄録(2008)) 以外に影響は見られていないが、上記のラットの試験で雄の運動失調と活動低下が報告されていることと、マウスを用いた90日経口反復投与試験で大脳皮質と視神経に可逆性の中等度乃至高度の空胞化が見られ (農薬抄録(2008))、マウスの52週間投与で、同様の可逆性神経病変が見られている (農薬抄録(2008))。いずれもガイダンスの区分2の範囲内であることから区分2(神経系)とした。
吸引性呼吸器有害性
データなし