急性毒性
経口
GHS分類: 区分3
ラットのLD50値として、112 mg/kg (雄) (農薬工業会 (Access on October 2016)、食品安全委員会農薬評価書 (2016))、256 mg/kg (雄)、242 mg/kg (雄)、180 mg/kg (雌) (食品安全委員会農薬評価書 (2016)) の4件の報告に基づき、区分3とした。
経皮
GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (雌雄) (食品安全委員会農薬評価書 (2016)) の報告に基づき、区分外とした。
なお、> 450 mg/kg (農薬工業会 (Access on October 2016)、食品安全委員会農薬評価書 (2016)) の報告があるが、媒体としてアセトンを使用しているため、分類には使用しなかった。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分4
ラットのLC50値 (4時間) として、4.20 mg/L (雄)、2.04 mg/L (雌) (食品安全委員会農薬評価書 (2016)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.0015 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、詳細は不明であるが皮膚刺激性が認められず (食品安全委員会農薬評価書 (2016)、農薬工業会 (Access on October 2016))、本物質に皮膚刺激性はないと評価されていることから (食品安全委員会農薬評価書 (2016))、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2B
ウサギを用いた眼刺激性試験において、軽度の刺激性が認められたこと (食品安全委員会農薬評価書 (2016)) から、区分2Bとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分外
モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において、詳細は不明であるが感作性は認められず (食品安全委員会農薬評価書 (2016))、本物質に皮膚感作性はないと評価されていることから (食品安全委員会農薬評価書 (2016))、区分外とした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (食品安全委員会農薬評価書 (2016))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (食品安全委員会農薬評価書 (2016)、農薬工業会 (Access on October 2016))。
発がん性
GHS分類: 区分外
ラットに2年間、マウスに98週間混餌投与した発がん性試験において、本物質投与と関連した腫瘍発生頻度の増加は認められなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2016))。よって、実験動物2種で発がん性が陰性であることから、区分外とした。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない
ラットを用いた混餌投与による3世代繁殖毒性試験では、各世代の親動物、児動物ともに影響は認められなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2016))。また、妊娠ラット及び妊娠ウサギの器官形成期に強制経口投与した発生毒性試験において、ラットでは母動物に死亡 (1/25例)、体重増加抑制、全身症状 (嗜眠、紅涙、虚弱など)、摂餌量減少がみられる用量 (2.0 mg/kg/day) で、胎児に軽微な影響 (低体重及び矮小児数増加) がみられたのみで、ウサギの試験では母動物に体重増加抑制がみられる用量 (1.0 mg/kg/day) まで胎児に異常は示されなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2016))。以上、実験動物では分類根拠となるような生殖発生影響の所見は検出されなかった。ただし、本物質は反復ばく露影響として神経毒性がみられる物質で、発達神経毒性の有無が明らかでない現時点では区分外とはせず分類できないとした。