急性毒性
経口
GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、465~965 mg/kg (雌)、1,480 mg/kg (雄) (EPA TRED (2006))、4,000 mg/kg (雄)、9,100 mg/kg (雌) (IARC 30 (1983))、4,000 mg/kg (雄)、9,100 mg/kg (雌) (農薬時報別冊 (1993)) の6件の報告がある。2件は区分4に該当し、4件は区分外に該当するため、件数の最も多い区分外とした。ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。
なお、本物質は専門家判断に基づき、情報源としてEPA TRED、IARC、農薬時報別冊のLD50値を優先的に採用した。
経皮
GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、> 10,000 mg/kg (雌雄不明) (IARC 30 (1983))、> 10,000 mg/kg (雌雄) (農薬時報別冊 (1993)) の2件の報告があり、ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (雌雄不明) (EPA TRED (2006)) の1件の報告がある。全て区分外に該当するため、区分外とした。ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。
なお、本物質は専門家判断に基づき、情報源としてIARC、農薬時報別冊、EPA TREDのLD50値を優先的に採用した。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値として、> 3.61 mg/L (雌雄不明, ばく露時間不明) (EPA TRED (2006)) の1データの報告があり、マウスのLC50値として、1,500 mg/m3 (雌雄不明, ばく露時間不明) (農薬時報別冊 (1993)) の1データの報告があるが、いずれの報告もばく露時間が不明であり、4時間ばく露時の濃度が算出不可能であるため、これらの値からは区分を特定することはできない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外
ウサギでごく軽度の刺激性が認められたとの記述があることから (EPA RED (1995))、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。ガイダンスに従い、区分を変更した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2B
ウサギを用いた眼一次刺激性試験で中等度の刺激性 (虹彩炎及び発赤) が認められているが、3日後には症状が回復したことから (EPA RED (1995))、区分2Bとした。ガイダンスに従い、区分を変更した。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1
モルモットの皮膚感作性試験 (ビューラー法を含む2試験) で感作性が認められている (EPA RED (1995))。また、モルモットを用いたマキシマイゼーション法で20匹中17匹に陽性が認められている (農薬時報別冊 (1993)) ことから、区分1とした。ガイダンスに従い、区分を変更した。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 区分2
In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性 (HSDB (Access on June 2016))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (EPA RED (1995)、HSDB (Access on June 2016)、農薬時報 (1993))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
発がん性
GHS分類: 区分2
ヒトの情報はない。実験動物ではマウスに80週間混餌投与で肝細胞腫瘍の増加 (雌雄)、ラットに同様に混餌投与で甲状腺C細胞腺腫の増加傾向 (雌) に加え副腎皮質腺腫の増加がみられたとの報告がある一方で、他のラットを用いた2年間混餌投与試験では投与と関連した腫瘍の増加はみられなかったとの報告がある (IARC 30 (1983))。IARCは本物質の発がん分類をかつてはグループ3としていた (IARC Suppl. 7 (1987)) が、最新の評価で実験動物での発がん性の証拠は十分としてグループ2Bに変更した (IARC 112 (in prep., Access on June 2016))。よって、本項は区分2とした。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない
ラットを用いた混餌投与による3つの2世代又は3世代生殖毒性試験で親動物に体重増加抑制がみられる用量でも生殖能への悪影響はみられていない (HSDB (Access on June 2016))。一方、妊娠ラットに強制経口投与した発生毒性試験では、母動物毒性用量でも胎児に影響は認められなかったが、妊娠ウサギを用いた発生毒性試験では母動物に体重増加抑制がみられる用量で胚/胎児吸収の増加がみられたとの記述 (HSDB (Access on May 2016)) がある。以上、ウサギにおける発生影響を無視できないが、区分を付すにはデータ不足と判断し、分類できないとした。