急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(7) より、区分2とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 25 mg/kg、雌: 27.3 mg/kg (CLH Report (2014))
(2) ラットのLD50: 雄: 25~156 mg/kg、雌: 27~40 mg/kg (EU CLP CLH (2015))
(3) ラットのLD50: 雌: 34~40 mg/kg、雄: 40~64 mg/kg (CLH Report (2014)、食安委 農薬評価書 (2009))
(4) ラットのLD50: 40~45 mg/kg (ACGIH (7th, 2018))
(5) ラットのLD50: 雄: 45~48 mg/kg (CLH Report (2014))
(6) ラットのLD50: 雄: 71.9~155.9 mg/kg (CLH Report (2014))
(7) ラットのLD50: 108~156 mg/kg (ACGIH (7th, 2018)、食安委 農薬評価書 (2009))
経皮
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分3とした。
なお、旧分類の分類結果が誤っていたため、分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 566 mg/kg (CLH Report (2014)、食安委 農薬評価書 (2009)、GESTIS (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 雄: 566~800 mg/kg (ACGIH (7th, 2018)、食安委 農薬評価書 (2009))
(3) ラットのLD50: 雌: 800 mg/kg (CLH Report (2014))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0004 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 0.47 mg/L (CLH Report (2014)、EU CLP CLH (2015))
(2) ラットのLC50 (4時間): 0.55 mg/L (EU CLP CLH (2015))
(3) ラットのLC50 (4時間): 雄: 0.61 mg/L (CLH Report (2014)、EU CLP CLH (2015))
(4) 本物質の蒸気圧: 3.45E-005 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.0004 mg/L))
【参考データ等】
(5) ラットのLC50 (6時間): 250 mg/L (4時間換算値: 375 mg/L) (ACGIH (7th, 2018)、食安委 農薬評価書 (2009))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、軽度の刺激性と報告されている (JMPR (1982)、ACGIH (7th, 2018))。
(2) 皮膚に対して軽度の刺激性が認められたと報告されている (食安委 農薬評価書 (2009))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことからを分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験で、ごく軽度の刺激性と報告されている (JMPR (1982)、ACGIH (7th, 2018))。
(2) 眼に対してごくわずかな刺激性が認められたと報告されている (食安委 農薬評価書 (2009))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験で陰性と報告されている (ACGIH (7th, 2018))。
(2) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) において陰性と報告されている (食安委 農薬評価書 (2009))。
【参考データ等】
(3) 入手可能な情報からいくつかのカーバメートは軽度~中等度の感作性を有する可能性を否定できない (EHC 64 (1986))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラットを用いた優性致死試験、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験、マウスやウサギの骨髄細胞を用いた小核試験において陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2009)、CLH Report ANNEX_3 (2006)、JMPR (1982)、ACGIH (7th, 2018))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験において陽性 (S9+) の結果が得られた(同上)。
(3) 食安委農薬評価書において「生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられた」との記載がある (食安委 農薬評価書 (2009))。
【参考データ等】
(4)代謝物の2,2-dimethyl-1,3-benzoxodiol-4-olは、細菌を用いた復帰突然変異試験において陰性であった (食安委 農薬評価書 (2009))。
発がん性
【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)~(3) より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2018))、EPAでGroup E (Evidence of Non-Carcinogenicity for Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1997年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験において、発がん性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2009))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、発がん性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2009))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1)~(4) より、親動物毒性がみられる用量で、胎児、児動物に影響がみられていることから区分2とした。なお、新たな情報源を用いたため旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与での3世代繁殖試験において親動物毒性 (妊娠期間中の発育抑制(軽度)、雄で加齢性腎症の発生頻度増加及び重篤化、雌で不規則性周期) がみられる用量で、児動物に生存率低下がみられている (食安委 農薬評価書 (2009)、JMPR (1982))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (筋攣縮、唇鳴らし、流涎、振戦及び軽度 の体重増加抑制) がみられる用量で胎児に母動物あたりの総胚吸収及び着床後胚死亡 の発生頻度増加がみられ、これに関連して母動物あたりの生存胎児数減少が認められた (食安委 農薬評価書 (2009))。
(3) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害に特徴的な毒性症状) がみられる用量で、胎児に子宮内における後期の胎児死亡が認め られた (食安委 農薬評価書 (2009)、JMPR (1982))。
(4) 雌ウサギの妊娠6~28日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (全血ChE活性阻害 (20%以上)) がみられる用量で、胎児に眼の異常等が認められている (食安委 農薬評価書 (2009)、JMPR (1982))。