急性毒性
経口
GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、 > 5,000 mg/kg (88%製剤、100%換算値: > 4,400 mg/kg) (EPA Pesticide (2005))、> 8,000 mg/kg (原体) (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991)) との報告に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 区分外
ウサギのLD50値として、> 5,000 mg/kg (75%製剤、100%換算値: > 3,750 mg/kg) (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (EPA OPPTS 870.2500準拠) で軽度 (slightly) の刺激性を示すとの報告 (EPA Pesticide (2005)) や、別のウサギを用いた試験で弱い皮膚刺激性を有するとの報告 (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991)) から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない
ウサギを用いた眼刺激性試験 (EPA OPPTS 870.2400 準拠) で本物質により結膜炎がみられたとの報告 (EPA Pesticide (2005)) がある一方で、別のウサギによる試験では本物質の角膜、虹彩及び結膜への刺激性はみられず陰性であったとの報告 (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991)) があり、相反する結果のため分類できないとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない
モルモットを用いた皮膚感作性試験 (EPA OPPTS 870.2600 準拠) で本物質は感作性物質であるとの記載 (EPA Pesticide (2005)) がある一方、別のモルモットによる試験では誘発後24及び48時間後での観察では皮膚感作性は陰性と判断したとの記述 (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991)) や、モルモットの皮膚への反復ばく露試験においては感作性を示さなかったとの記載 (HSDB (Access on August 2017)) があり、相反する結果であることから分類できないとした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及び哺乳類培養細胞の染色体異常試験でいずれも陽性、陰性の結果である (EPA Pesticide (2005)、NTP DB (Access on August 2017)、農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991)、HSDB (Access on August 2017))。
発がん性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、EPAは2003年に本物質は「ヒトの発がん性を評価するにはデータが不十分である (Data Are Inadequate for an Assessment of Human Carcinogenic Potential)」 との判断を示している (Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential: Annual Cancer Report (2016))。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない
ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物ではラットを用いた混餌投与による3世代試験において、F0~F2の各世代で2回交配させ次世代を得たが、高用量の500 ppm まで交配能力、繁殖能力及び病理組織学的検査に異常はみられず、本試験のNOELは500 ppm であると報告されている (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991))。妊娠ラット又は妊娠ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、ラットの試験では1,000 mg/kg/dayまで発生影響は認められなかった (HSDB (Access on August 2017)、農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」8号) (1991))。一方、ウサギの試験では1,000 mg/kg/dayで母動物にわずかな体重低値、食欲不振、胎児に体重低値、骨格及び腹部正中線 (ventral midline) の異常の増加がみられた (HSDB (Access on August 2017))。異常の詳細 (重篤性、発生頻度など) は不明で、分類区分を付すに足る所見かどうか判断できない。
以上、ラット3世代試験では生殖への有害影響はみられなかったが、親動物に明らかな一般毒性影響が生じる用量まで投与量が達していない可能性がある。また、発生毒性影響に関しては、入手可能な情報からは発生影響の程度を判断できない。したがって、データ不足のため分類できないとした。