急性毒性
経口
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 1,366 mg/kg、雌: 1,284 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、NTP TR377 (1990)、HSDB (Access on April 2020))
経皮
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、旧分類で使用した (1) はばく露時間が不明のため、旧分類から分類結果を変更した。
【参考データ等】
(1) ラットの半数致死ばく露量L (ct) 50値 (エアロゾル、ばく露時間不明): 88,480 mg・min/m3 (ACGIH (7th, 2001))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。
【根拠データ】
(1) 本物質は強い刺激物であり、直接ばく露により粘膜刺激性を示す、ヒトにおいても本物質による刺激性の報告がある (US AEGL (2014))。
(2) 本物質は暴動時の鎮圧剤として使用され、ヒトの皮膚や眼に対して強い刺激性を有し、直接のばく露により眼の刺激、流涙、結膜炎、皮膚の火傷を示す (ACGIH (7th, 2019)、HSDB (Access on April 2020))。
(3) 皮膚及び眼に対し強い刺激性を有する (GESTIS (Access on April 2020))。
【参考データ等】
(4) 本物質 (5%) は人工皮膚モデル (Episkin) を用いた皮膚腐食性試験 (OECD TG 431) において腐食性物質ではないことが示され、OECD TG 439類似の手法によって刺激性物質であることが確認された (REACH登録情報 (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1とした。
【根拠データ】
(1) 本物質は強い刺激物であり、直接ばく露により粘膜刺激性を示す、ヒトにおいても本物質による刺激性の報告がある (US AEGL (2014))。
(2) 本物質は暴動時の鎮圧剤として使用され、ヒトの皮膚や眼に対して強い刺激性を有し、直接のばく露により眼の刺激、流涙、結膜炎、皮膚の火傷を示す (ACGIH (7th, 2019)、HSDB (Access on April 2020))。
(3) 皮膚及び眼に対し強い刺激性を有する(GESTIS (Access on April 2020))。
(4) 本物質は皮膚腐食性物質 (区分1) に区分されている。
【参考データ等】
(5) 本物質 (5%) は牛摘出角膜を使用した眼損傷性試験 (OECD TG 437) において腐食性ではないことが示され、OECD TG 492に準拠した再構成ヒト角膜上皮モデル (SkinEthic) を用いた眼刺激試験において刺激性物質と判定された (REACH登録情報 (Access on May 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) OECD TG 442D (Keratinosens) に準拠した皮膚感作性試験においてImaxは1.5を上回り、陽性と判定された (REACH登録情報 (Access on May 2020))。
(2) 皮膚を感作する可能性がある (GESTIS (Access on April 2020)、HSDB (Access on April 2020))。
(3) 本物質を取り扱う業界において主として首及び腕の皮膚炎の発症により感作性が疑われる (HSDB (Access on April 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)、(2) より、in vivo試験で陰性、一部のin vitro試験で陽性であったが、専門家判断に基づき、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験で経口・腹腔内投与ともに陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2001))。
(2) in vitroでは、 細菌の復帰突然変異試験では全般的に陰性 (NTP TR377 (1990)、ACGIH (7th, 2019)、CEBS (Access on April 2020))、哺乳類培養細胞を用いるマウスリンフォーマ試験、姉妹染色分体交換試験、染色体異常試験で陽性の報告がある (NTP TR377 (1990)、ACGIH (7th, 2019)、CEBS (Access on April 2020))。
【参考データ】
(3) 本物質は、in vitroで細胞の有糸分裂に係る紡錘体損傷に影響し染色体の異数性を誘発、in vivoで肝臓又は腎臓のDNAには結合しなかったが、これらの臓器の核蛋白質に結合した (US AEGL (2014)) 。
発がん性
【分類根拠】
(1) の既存分類結果、及び (2)、(3) の実験動物における発がん性試験の結果より区分に該当しないとした。なお、旧ガイダンスではACGIHの分類A4を分類できないと評価していたが、最新のガイダンスではACGIHの分類A4を区分に該当しないと評価するようになったため、分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2019)) に分類されている。
(2) ラットを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (0.075、0.25、0.75 mg/m3) において、雌雄ともに被験物質の投与に関連した腫瘍の発生は認められなかった。これより、雌雄ラットともに発がん性の証拠なしと結論された (NTP TR377 (1990))。
(3) マウスを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (0.75、1.5 mg/m3) において、雌雄ともに被験物質の投与に関連した腫瘍の発生は認められなかった。なお、雌で濃度依存的な下垂体腺腫及びリンパ腫の発生率の減少がみられたが、雌雄マウスともに発がん性の証拠なしと結論された (NTP TR377 (1990))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) より、発生影響はみられていないが、性機能、生殖能に関するデータがない。したがって、データ不足のため分類できないとした。
【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日、雌ウサギの妊娠6~18日に吸入ばく露した試験において、胚・胎児死亡、催奇形性のいずれもみられず、着床数及び腹当たりの胎児数 (litters produced) への影響も認められていない (ACGIH (7th, 2019))。
【参考データ等】
(2) 雌ラットの妊娠6、8、10、12、14日に腹腔内投与した試験において、胚・胎児死亡、催奇形性のいずれもみられず、着床数及び腹当たりの胎児数 (litters produced) に影響はみられていない (ACGIH (7th, 2019))。