安全データシート

4,4'-ジイソシアン酸メチレンジフェニル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 4,4'-ジイソシアン酸メチレンジフェニル
  • CB番号: CB8117582
  • CAS: 101-68-8
  • EINECS番号: 202-966-0
  • 同義語: ジフェニルメタンジイソシアネート,4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: スパンデックス繊維・合成皮革,ウレタンエラストマー・接着剤・塗料の原料、SRI:CHEMICAL ECONOMICS HANDBOOK;接着剤,塗料,スパンデックス繊維,合成皮革,ウレタンエラストマーなどの原料、化学工業日報社
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
H28.03.18、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用
GHS改訂4版を使用
健康に対する有害性
急性毒性 (吸入:粉塵、ミスト)   区分2
皮膚腐食性/刺激性   区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2B
呼吸器感作性   区分1
皮膚感作性   区分1
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1 (呼吸器)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (呼吸器)
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07GHS08
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H315 皮膚刺激。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
H319 強い眼刺激。
H332 吸入すると有害。
H334 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ。
H335 呼吸器への刺激のおそれ。
H351 発がんのおそれの疑い。
H373 長期にわたる、又は反復ばく露(吸入)による臓器の障害のおそれ (呼吸器系)。
注意書き
安全対策
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P260 粉じんを吸入しないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P271 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
P272 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P284 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
応急措置
P302 + P352 皮膚に付着した場合:多量の水で洗うこと。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P333 + P313 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
保管
P403 + P233 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P405 施錠して保管すること。
廃棄
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 別名: 4,4′-MDI
    Bis(4-isocyanatophenyl)methane
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C15H10N2O2
  • 分子量: 250.25 g/mol
  • CAS番号: 101-68-8
  • EC番号: 202-966-0
  • 化審法官報公示番号: 4-118
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。 呼吸停止時はただちに人工呼吸を実施し、必要に応じて酸素も吸入する。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
泡 水
適切な消火剤
二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

炭素酸化物
窒素酸化物(NOx)
可燃性。
蒸気は空気より重く、床に沿って広がることがある。
高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 慎重に行うこと。適切に廃棄すること。関連エリアを清掃のこと。 ほこりが生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 11: 可燃性固体
保管条件
密閉のこと。 乾燥。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。保管安定性推奨された保管温度-20 °C不活性ガス下で取り扱い、貯蔵する。 湿気に反応する。 熱に反応する。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
OEL-M: 0.05 mg/m3 - 日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告
TWA: 0.0050 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: ブチルゴム
最小厚: 0.7 mm
破過時間: 120 min
試験物質:Butoject® (KCL 898)
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
気化ガス/エアロゾル発生時に必要 次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨し
ます。DIN EN 143、DIN 14387および使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色~淡黄色 (ICSC (1999))
臭い
無臭 (ACGIH(7th, 2001))
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
データなし

融点・凝固点

37℃ (融点) (ICSC (1999))

沸点、初留点及び沸騰範囲

314℃ (100 kPa) (沸点) (ICSC(1999))

引火点

196℃ (密閉式) (ICSC (1999))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

データなし

燃焼又は爆発範囲

下限: 0.4 vol.% (GESTIS (2015))

蒸気圧

5.0 X 10-6 mmHg (25℃) (HSDB (2015))

蒸気密度

8.6 (空気= 1) (ICSC (1999))

比重(相対密度)

1.2 (水=1) (ICSC (1999))

溶解度

水と反応する (ICSC (1999))

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 5.22 (est) (HSDB(2015))

自然発火温度

240℃ (ICSC (1999))

分解温度

データなし

粘度(粘性率)

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

高熱で空気と反応して爆発性混合物を生じる
引火点より下のおよそ15ケルビンからの範囲は危険とみなされている。
可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が
通常想定される。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

アルコール類
アミン
次と激しく反応
塩基

10.4 避けるべき条件

強力な熱

10.5 混触危険物質

非鉄金属, 銅, 銅合金, 軟鋼, 亜鉛

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、31,600 mg/kg (CICAD 27 (2000)) に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分2 ラットのLC50値 (4時間) として、0.369 mg/L (雄)、0.380 mg/L (雌) との報告 (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分2とした。なお、被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 区分2 本物質はヒトの皮膚に対して刺激性を示したとの報告がある (EU-RAR (2005))。また、本物質はウサギの皮膚に対して刺激性を示すとの報告や (EU-RAR (2005)、IARC 71 (1999)) や、軽度の刺激性を示したとの報告がある (EU-RAR (2005))。以上より、区分2とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分2B ウサギを用いた眼刺激性試験において、軽度の刺激性がみられた (EU-RAR (2005)) との報告や、刺激性はみられなかった (EU-RAR (2005))との報告がある (EU-RAR (2005))。以上から区分2Bとした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。

呼吸器感作性

GHS分類: 区分1 本物質はヒトに対して喘息を引き起こすという報告があり (IARC 71 (1999)) や本物質はヒトと動物に対して気道感作性を引き起こすとの記載がある (ECETOC TR 77 (1999))。また、日本産業衛生学会で気道:第1群(産業衛生学会許容濃度の勧告 (2015))、DFGでSah(DFGOT vol. 14 (2000)) に分類されている。以上から区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。

皮膚感作性

GHS分類: 区分1 モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、本物質 (95%) を適用した結果、感作性がみられたとの報告 (EU-RAR (2005)) がある。また、ヒトのパッチテストで本物質の適用により感作性を示したとの報告がある (EU-RAR (2005)) 。EU-RAR (2005) は本物質を皮膚感作性物質と結論している (EU-RAR (2005))。以上より区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの小核試験で陰性 (DFGOT vol. 8 (1997))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、ヒトの培養リンパ球を用いた染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性、ヒトの培養リンパ球を用いた小核試験で陰性である(CICAD 27 (2000)、ACGIH (7th, 2001)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1993)、DFGOT vol. 8 (1997)、IARC 71 (1999)、NTP DB (Access on October 2015))。

発がん性

GHS分類: 分類できない ヒトでは国際がん研究機関 (IARC) がイソシアネートへの職業ばく露に関連した発がん性リスクに関して、3件のコホート研究及び1件の症例対照研究を対象に評価した結果、調査した何れの部位の発がんリスクについても、強い相関性も一貫した傾向も示されず、本物質モノマー、及び本物質のポリマー (PMDI) のいずれに対しても、ヒトでの発がん性の証拠は不十分であると結論した (IARC 71 (1999))。 実験動物ではラットに本物質 (4,4'-MDI) を2年間吸入ばく露した結果、高用量 (2.05 mg/m3) で、細気管支/肺胞腺腫が1例にみられ (CICAD 27 (2000)、IRIS Summary (Access on August 2015))、さらに前がん病変と考えられる肺胞上皮の増殖がみられた (IRIS Summary (Access on August 2015)) との記述、並びに、ラットに本物質のポリマー (PMDI) を2年間吸入ばく露した結果、高用量 (6.03 mg/m3) で、肺の腺腫が雄6/60例、雌2/59例にみられた (CICAD 27 (2000)、IRIS Summary (Access on August 2015)) との記述があり、IARCは後者のポリマーのデータのみを評価に利用し、本物質と本物質ポリマーを含む混合物に対して、実験動物での発がん性に関して限定的な証拠があるとした (IARC 71 (1999))。
既存分類結果としては、IARCが上記の通り、ヒトの不十分な証拠と実験動物での限定的な証拠より、1999年に「グループ3」に (IARC 27 (1999))、米国EPAはMDIとMDIのポリマー (PMDI) に対して、1998年に「CBD (cannot be determined)」 に分類した。一方、EUは本物質の異性体混合物 (MDI) を対象としたリスク評価を行い、結論的にはIARCと同様にヒト発がん性の証拠は不十分、実験動物での発がん性の証拠は限定的としたにもかかわらず、評価書中の分類の項にはCMR作業グループがCarc. Cat. 3 を提唱していると記述しており (EU-RAR (2005))、現在ではCLP分類で「Carc. 2」 に該当するが、分類根拠は入手可能な資料からは不明であった。 以上、EUの分類根拠が不明である以上、区分2を採用するのは妥当でなく、従前のIARC、EPAの分類結果を基に、旧分類以降に改訂した分類ガイダンスにしたがい、本項は分類できないとした。

生殖毒性

GHS分類: 分類できない ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、本物質 (4,4'-MDI) を妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に吸入ばく露した発生毒性試験において、高用量群 (9 mg/m3) では母動物に肺の絶対・相対重量の増加、胎児に胸骨分節非対称の軽度増加がみられた (CICAD 27 (2000)、IRIS Tox Review (1998)、EU-RAR (2005))。この試験結果からは、母動物に有害性影響のある用量で、胎児に骨格変異がみられただけで、軽微な発生影響のため分類区分を付すのは適切でない。この他には、本物質の性機能・生殖能への影響評価、発生影響評価のための試験結果はなく、本項はデータ不足のため分類できない。 なお、本物質の異性体混合物ポリマー (PMDI) に対しては、妊娠ラット (Wistar) を用いた器官形成期 (妊娠6~15日) 吸入ばく露による発生毒性試験報告が2件あり、1つは母動物毒性 (摂餌量減少、肺重量増加) がみられた12 mg/m3の用量で、胎児に異常なしとした報告 (CICAD 27 (2000)、EU-RAR (2005))、他方は母動物に死亡例 (2/25例)、胎盤重量の減少がみられた12 mg/m3で、胎児に体重の低値、骨格変異頻度増加、骨化遅延がみられたとの報告 (CICAD 27 (2000)、IRIS Tox Review (1998)、EU-RAR (2005)) がある。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 区分1 (呼吸器) 本物質は気道刺激性がある (DFGOT vol. 8 (1997)、IARC 71 (1999))。実験動物では、モルモットの吸入ばく露 (区分1相当の用量) で呼吸数の低下や呼吸量の増加、ラットの吸入ばく露 (区分1相当の用量) でばく露直後の剖検で、肺出血、肺水腫がみられている (CICAD 27 (2000))。 以上より、本物質は呼吸器への影響があり、区分1 (呼吸器) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分1 (呼吸器) 加熱したMDIを使用する木材製品工場の作業者18人を対象とした調査で、下部気道症状がみられ、後に症状発現時期を交絡因子で補正した結果、職業性喘息であり、加熱した本物質の蒸気に2.5年間以上のばく露で発症したことが示されたとの記述があり、MDIによる感作の原因物質は蒸気とMDIポリマーとの反応生成物、MDI単独、又はMDIと反応性生物との混合物のいずれかと推定されている (CICAD 27 (2000))。また、死亡する5年前に本物質誘発性の喘息と診断され、その後も本物質に継続ばく露された鋳物工の剖検の結果、肺に上皮細胞の剥離、好酸球、好中球浸潤、浮腫、細気管支血管の拡張などの形態学的変化がみられたことが報告されている (CICAD 27 (2000))。
実験動物では雌ラットに本物質 (純度: 99.5%) を2年間吸入ばく露した試験において、区分1の用量範囲 (0.23~2.05 mg/m3: ガイダンス値換算 (0.00047~0.0041 mg/L/6 hr/day)) で、肺重量の増加、限局性又は多巣性の肺胞/細気管支上皮過形成、間質の線維症、粒子を取込んだマクロファージの集簇、及び肺機能の低下がみられたとの記述がある (CICAD 27 (2000))。また、MDIモノマーを52%、イソシアネートを30%含むPMDIをラットに13週間、又は2年間吸入ばく露した試験においても、13週間ばく露では区分1に該当する4.1~12.3 mg/m3で、鼻腔組織の萎縮、変性、肺、縦隔リンパ節にマクロファージの集簇がみられ、高濃度では重篤な呼吸器症状を呈し、25% (15/60例) の動物が死亡したとの記述 (CICAD 27 (2000)、DFGOT vol. 8 (1997))、2年間ばく露では、0.98 mg/m3以上の用量で、影響は呼吸器に限定的にみられ、鼻腔 (嗅上皮の変性、基底細胞の過形成)、肺 (線維症、間質性肺炎)、及び縦隔リンパ節に所見がみられたとの記述がある (CICAD 27 (2000)、DFGOT vol. 8 (1997))。 以上より、区分1 (呼吸器) とした。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、EU-RAR (2005) に記載された数値データ (粘性率: 4.7 mPa・s (50℃)、密度 (比重) : 1/325 (20℃)) より、本物質の動粘性率は3.547 mm2/sec (50/20℃) と算出される。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

データなし

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

生体蓄積性 Cyprinus carpio (コイ) - 28 d
- 0.0008 mg/l(メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネート)
生物濃縮因子(BCF): 92

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

下水に流さないでください。
オゾン層への有害性
非該当

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): 非危険物
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

非鉄金属, 銅, 銅合金, 軟鋼, 亜鉛
詳細情報
国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。

15. 適用法令

化審法

旧第2種監視化学物質 優先評価化学物質

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

大気汚染防止法

有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質

海洋汚染防止法

有害液体物質

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質

外国為替及び外国貿易管理法

輸出貿易管理令別表第1の16の項

労働基準法(疾病、がん原性、etc)

疾病化学物質

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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