安全データシート

2-アミノ-3-クロロ-1,4-ナフトキノン

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 2-アミノ-3-クロロ-1,4-ナフトキノン
  • CB番号: CB6741165
  • CAS: 2797-51-5
  • 同義語: キノクラミン

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 農薬(除草剤) (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
急性毒性(経口)   区分4
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1(血液系、肝臓、副腎、泌尿器系)
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分3(麻酔作用、気道刺激性)
生殖毒性   区分2
発がん性   区分2
皮膚感作性   区分1A
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2
分類実施日(環境有害性)
ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性
水生環境有害性 長期(慢性)   区分1
水生環境有害性 短期(急性)   区分1

ラベル要素

絵表示又はシンボル
GHS07GHS08GHS09
注意喚起語
警告
危険有害性情報
強い眼刺激
皮膚刺激
飲み込むと有害
注意書き
[安全対策]
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
取扱い後は手や顔をよく洗うこと。
保護手袋、保護眼鏡を着用すること。
[応急措置]
飲み込んだ場合:気分が悪い時は、医師に連絡すること。口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。皮膚刺激が生じた場合:医
師の診断、手当てを受けること。汚染された衣類を再使用する場合には洗濯す
ること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを着用して
いて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。眼の刺激が
く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
[廃棄]
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託す
ること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質/混合物の区別: : 化学物質
  • 化学名又は一般名: : 2-アミノ-3-クロロ-1,4-ナフトキノン
  • 濃度又は濃度範囲: : >98.0%(HPLC)(N)
  • CAS RN: : 2797-51-5
  • 化学式: : C10H6ClNO2
  • 官報公示整理番号 化審法: : (4)-390
  • 官報公示整理番号 安衛法: : 7-(1)-29

4. 応急措置

吸入した場合:

は、医師の診断、手当てを受けること。
空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時

皮膚に付着した場合:

こと。
洗うこと。皮膚刺激または発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受ける
直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。多量の水と石鹸で

目に入った場合:

て洗うこと。眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易にはずせる場合は外し

飲み込んだ場合:

気分が悪い時は、医師に連絡すること。口をすすぐこと。

応急措置をする者の保護:

救助者はゴム手袋、密閉ゴーグルなどの保護具を着用する。

5. 火災時の措置

適切な消火剤:

粉末, 泡, 水噴霧, 二酸化炭素

火災時の特定危険有害性:

燃焼や高温により分解し、有毒なヒュームを発生する恐れがあるので注意する。

特有の消火方法:

消火作業は、風上から行い、周囲の状況に応じた適切な消火方法を用いる。関係者以外は安全な場所に退去させる。周辺火災時、移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、必ず保護具を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置:

る。
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入りを禁止す
漏出場所の風上から作業し、風下の人を退避させる。
個人用保護具を着用する。

環境に対する注意事項:

製品が排水路に排出されないよう注意する。

封じ込め及び浄化の方法及び機材:

付着物、回収物などは、関係法規に基づき速やかに処分する。
粉塵の飛散に注意しながら掃き集め、密閉容器に回収する。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策:
取扱いは換気のよい場所で行う。適切な保護具を着用する。粉塵が飛散しないように注意する。取扱い後は手や顔などをよく洗う。
注意事項:
粉塵やエアゾールが発生する場合には、局所排気を用いる。
安全取扱い注意事項:
皮膚、眼および衣類との接触を避ける。

保管

適切な保管条件:
容器を密栓して冷暗所に保管する。酸化剤などの混触危険物質から離して保管する。
安全な容器包装材料:
法令の定めるところに従う。

8. ばく露防止及び保護措置

設備対策:

作業者が直接暴露されないように、できるだけ密閉化した設備又は局所排気装置を設ける。取扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄用の設備を設ける。

管理濃度:

設定されていない。

保護具

呼吸用保護具:
防塵マスク、簡易防塵マスク等。
手の保護具:
保護手袋。
眼、顔面の保護具:
保護眼鏡。状況に応じ保護面。
皮膚及び身体の保護具:
保護衣。状況に応じ、保護長靴。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
赤色
臭い
データなし

融点/凝固点

199.0 ℃(PubChem(2022))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

可燃性

データなし

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

データなし

自然発火点

データなし

分解温度

データなし

pH

データなし

動粘性率

データなし

溶解度

水に不溶(危険物災害等支援システム(2022)) アセトン、酢酸、ニトロベンゼンに可溶(危険物災害等支援システム(2022))

n-オクタノール/水分配係数

Log Kow: 2.12(PubChem(2022))

蒸気圧

4.50X10-7 mmHg(PubChem(2022))

密度及び/又は相対密度

データなし

相対ガス密度

データなし

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

反応性:

情報なし

化学的安定性:

適切な条件下においては安定。

危険有害反応可能性:

特別な反応性は報告されていない。

避けるべき条件:

情報なし

混触危険物質:

酸化剤

危険有害な分解生成物:

二酸化炭素, 一酸化炭素, 窒素酸化物, 塩化水素

11. 有害性情報

急性毒性

経口
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分4とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50:1,360 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2013)) (2)ラット(雌)のLD50:1,600 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2013)) (3)ラット(雄)のLD50:500 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2013)) (4)ラットのLD50:300~2,000 mg/kgの間(CLH Report (2019))
【参考データ等】 (5)ラット(雌)のLD50:200~500 mg/kgの間(食安委 農薬評価書 (2013)) (6)ラットのLD50:200~500 mg/kgの間(EFSA (2007))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2013)) (2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402, GLP)(食安委 農薬評価書 (2013)、EFSA (2007)、CLH Report (2019))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、区分を特定できず、分類できない。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):> 0.79 mg/L(食安委 農薬評価書 (2013)、EFSA (2007))

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(GLP、閉塞、4時間適用、168時間観察)において、1時間後に1例で軽度の紅斑がみられたが、24時間後以降に刺激性影響はみられず、残りの5例では皮膚刺激性は全くみられなかったとの報告がある(CLH Report (2019)、農薬工業会:「日本農薬学会誌」第18巻第1号 (1992))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

【分類根拠】 (1)より、区分2とした。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=9)を用いた眼刺激性試験(GLP、14日観察)において、1時間後に非洗眼群6例のうち全例で明らかな結膜発赤及び重度の結膜浮腫がみられ、4例で虹彩炎がみられた。7日後の観察では2例でわずかな領域の角膜混濁が残ったが、14日以内に完全回復した(非洗眼群6例における角膜混濁スコアの平均:0.9、虹彩炎スコアの平均:0.9、結膜発赤スコアの平均:1.8、結膜浮腫スコアの平均:2.1)との報告がある(CLH Report (2019))。

呼吸器感作性

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)より、区分1Aとした。
【根拠データ】 (1)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:1.0%溶液)において、惹起後の陽性率は80%(8/10例)であったとの報告がある(CLH Report (2019))。

生殖細胞変異原性

【分類根拠】 (1)~(6)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474、GLP、単回経口投与)で、陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2013) 、CLH提案文書 (2019)、農薬工業会:「日本農薬学会誌第18巻第1号」(Accessed Sep. 2020))。 (2)In vivo/in vitro (ex vivo)試験である経口投与後のラットの初代培養肝細胞を用いたUDS試験(OECD TG486、GLP)で、陰性の結果が得られている(食安委 農薬評価書 (2013) 、CLH提案文書 (2019))。 (3)細菌復帰突然変異試験(OECD TG471)で、陰性と報告されている(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH提案文書 (2019)、農薬工業会:「日本農薬学会誌第18巻第1号」(Accessed Sep. 2020))。 (4)ほ乳類培養細胞を用いた遺伝子変異試験(OECD TG473)で、陰性との報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH提案文書 (2019)、農薬工業会:「日本農薬学会誌第18巻第1号」(Accessed Sep. 2020))。 (5)ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(OECD TG476)で、陽性(S9+)及び陰性(S9-)(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH提案文書 (2019))の結果が得られている。なお、食安委評価書ではヒトリンパを用いた染色体異常試験結果は疑陽性(S9+)及び陰性(S9-)と報告されている。 (6)食品安全委員会では問題となる遺伝毒性は認められなかったとの報告されている(食安委 農薬評価書 (2013)。
【参考データ等】 (7)EUはマウスを用いたin vivo小核試験について、検体が骨髄細胞に到達した(骨髄細胞がばく露された)証拠がなく陰性とは言えない(陰性結果には制限がある)として、本物質ではin vivo試験にデータギャツプがあり、本項は結論を導けない(分類できない)との見解を示している(CLH提案文書 (2019))。

発がん性

【分類根拠】 国内外の分類機関による既存分類結果はないが、(1)~(3)よりラットの試験で雌雄に膀胱移行上皮乳頭腫、マウスで雌に悪性リンパ腫の発生増加が疑われている。EUの評価ではラットの試験では膀胱腫瘍以外に副腎の褐色細胞腫の増加も認められるとしている。以上、実験動物種2種で一定程度の発がん性の証拠があるものと考えられたため区分2とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた2つの2年間慢性毒性試験(混餌投与)のうち、1つは腫瘍性病変の増加は示されなかったが、もう1つでは高用量(676 ppm)投与群で膀胱移行上皮乳頭腫の増加(対照群の雄雌各0/50例に対し、投与群では雄2/50例、雌3/50例)が認められた(食安委 評価書 (2013))。 (2)ラットを用いた2年間混餌投与による発がん性試験では、雌雄とも高用量群のみで膀胱移行上皮乳頭腫の増加がみられた(食安委 評価書 (2013))。CLH Report(2019)では、雌雄の高用量(676 ppm)で膀胱の良性腫瘍(移行上皮乳頭腫)、並びに雌雄の高用量群で副腎の良性腫瘍(褐色細胞腫)の頻度増加が認められたとしている(CLH提案文書 (2019))。 (3)マウスを用いた18ヵ月間混餌投与による発がん性試験では、雌では悪性リンパ腫のPeto検定で正の相関がみられた。対照群との比較では、悪性リンパ腫の発生頻度は低及び高用量投与群で有意な増加がみられたが、中用量群では有意差はなく、用量反応関係が明らかでないことから、検体投与の影響ではないと考えられた(食安委 評価書 (2013))。一方、CLH Report(2019)では、雌の高用量群のみで悪性リンパ腫の増加がみられたとされた。
【参考データ等】 (4)ラットを用いた慢性毒性試験及び発がん性試験において、雌雄で膀胱移行上皮乳頭腫の増加が認められたが、腫瘍の発生機序は遺伝メカニズムによるものとは考え難く、評価に当たり閾値を設定することは可能であると考えられた(食安委 農薬評価書 (2013))。 (5)EUは雌雄ラットでみられた良性腫瘍(膀胱移行上皮の乳頭腫及び副腎の褐色細胞腫)とマウスの雌でみられた悪性リンパ腫の増加に基づき、CLP分類としてカテゴリー2とすることを提案している(CLH提案文書 (2019))。

生殖毒性

【分類根拠】 (1)~(4)より、区分2とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠6~19日)において、75 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、摂餌量低下、児動物に骨化遅延、低体重、胚胎児死亡率増加がみられたが、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。なお、CLH Reportは、親動物に一般毒性影響(体重増加抑制、前肢を漕ぐ、鼻をこする動作、平均子宮重量減少など)、着床前胚損失増加、着床後胚胎児損失増加、早期子宮内胎児死亡数の増加、平均同腹児数の減少、児動物に胎児体重低値、平均同腹重量減少、骨格変異、奇形発生(水腎症3例、皮下浮腫1例、食道後方の動脈弓1例、腎欠損1例)がみられたと報告している(CLH Report (2019))。 (2)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠7~28日)において、17.5 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、平均同腹児数減少、児動物に奇形発生(水腎症1例、末端尾椎異常の頻度増加)がみられたとの報告がある(CLH Report (2019))。 (3)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(GLP、妊娠7~22日)において、17.5 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、児動物に着床後後期死胚率増加、平均生存胎児数減少、30 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、摂餌量低下、児動物に着床後後期死胚率増加、平均生存胎児数減少、胎児死亡率増加がみられたが、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠6~18日)において、22.5 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、児動物に骨化遅延がみられたが、催奇形性は認められられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。なお、CLH Reportは、親動物に体重増加抑制、児動物に骨格変異の頻度増加(尾椎中心数増加)、奇形発生(脊椎側弯症1例、二分脊椎3例、動脈弓異常2例、胸骨分節癒合3例)がみられたと報告している(CLH Report (2019))。
【参考データ等】 (5)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験において、500 ppmで親動物に体重増加抑制(P雄及びF1雌雄)、児動物に体重増加抑制(F1及びF2)がみられたが、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2019)、農薬工業会 (2020))。 (6)EFSAは2007年の報告で本物質の催奇形性影響(ラット:腕頭動脈欠損、動脈弓異常、水腎症、ウサギ:水腎症、腎盂空洞化)を指摘している(EFSA (2007))。 (7)EUは奇形を含む様々な発生影響に基づき、CLP分類として生殖毒性カテゴリー2を提案している(CLH Report (2019))。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

【分類根拠】 (1)~(3)より、区分3(麻酔作用)、(4)より、区分3(気道刺激性)が考えられる。よって、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投与試験において、500mg/kg(区分2の範囲)で死亡例がみられ、軟便または下痢、流涎、嗜眠、立毛、腹臥位、衰弱、呼吸困難、眼瞼閉鎖がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。 (2)ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG423、GLP)において、200mg/kg以上(区分1の範囲)で着色尿、軟便、着色糞、肛門生殖器の汚染がみられ、500mg/kg以上(区分2の範囲)で流涎、嗜眠、立毛、腹臥、被毛粗剛、暗色糞及び消耗衰弱がみられたとの報告がある(CLH Report (2019))。 (3)ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG420、GLP)において、300mg/kg以上(区分1の範囲)で着色尿、軟便、眼瞼下垂が一時的にみられ、2,000mg/kg(区分2の範囲)で不規則呼吸、唾液分泌、嗜眠、自発運動の低下、腹臥がみられたとの報告がある(CLH Report (2019))。 (4)ラットを用いた単回吸入(粉塵)ばく露試験において、0.79 mg/Lで異常姿勢、異常呼吸、ケージ網への鼻や四肢の擦りつけ動作がみられ、これらの症状は刺激性粉じんのばく露に対する反応と一致していると考えられたとの報告がある(CLH Report (2019)、食安委 農薬評価書 (2013))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

【分類根拠】 (1)~(4)より、標的臓器は血液系、肝臓、副腎、泌尿器系(腎臓、膀胱、尿管)と考えられ、区分1の用量範囲で影響がみられていることから、区分1(血液系、肝臓、副腎、泌尿器系)とした。
【根拠データ】 (1)イヌを用いたカプセル投与による90日間経口投与試験において、10 mg/kg/day(区分1の範囲)で血液影響(RBC・Hb・Ht低下、網状赤血球数・網状赤血球比率・血小板容積増加・骨髄造血亢進)、脾臓影響(うっ血・髄外造血亢進、絶対・比重量増加(雄))、肝臓影響(肝類洞細胞内色素沈着・胆管増生)、腎臓影響(腎リポフスチン沈着)、膀胱移行上皮過形成がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2019))。 (2)イヌを用いた混餌投与による2年間慢性毒性試験において、50 ppm以上(1.4 mg/kg/day(雄)、1.3 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で血液影響(RBC・Hb・Htの低下、PLTの増加)、肝臓影響(胆管増生・肝クッパー細胞、肝細胞の色素沈着・肝門脈周囲線維化・ASTの増加、ALP増加・類洞拡張・マクロファージ色素沈着・肝細胆管内結石(雌))、副腎影響(皮質細胞空胞変性)、膀胱影響(粘膜細胞色素沈着)がみられ、1,000 ppm(27 mg/kg/day(雄)、31 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で腎臓影響(腎炎(瘢痕)、尿細管嚢胞化、尿細管拡張(雄))、肝臓影響(ALT・総ビリルビン増加、ALP増加・肝マクロファージ色素沈着・肝細胆管内結石(雄))、胆嚢影響(上皮の過形成、乳頭閉塞)、生殖器影響(精巣重量低下・精子形成減退、精巣萎縮、精巣炎、卵巣周期性低下)、脾臓影響(うっ血、髄外造血(雄)、マクロファージ色素沈着(雌))がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2019))。 (3)マウスを用いた混餌投与による18ヵ月間経口投与試験において、30 ppm以上(3.82 mg/kg/day(雄)、4.48 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で副腎褐色萎縮(雌)がみられ、300 ppm(40.2 mg/kg/day(雄)、46.4 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で心筋線維化(雄)、心、骨格筋及び膀胱血管周囲炎(雌)、肝臓影響(慢性炎症・褐色色素沈着(雌))、腎臓影響(皮質瘢痕、水腎症発現率増加)、胃影響(角化亢進・慢性炎症)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2019))。 (4)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、52 ppm以上(2.82 mg/kg/day(雄)、3.65 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で腎盂上皮過形成・尿管上皮過形成(雌)がみられ、676 ppm(37.6 mg/kg/day(雄)、49.4 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で腎臓影響(腎乳頭壊死・腎乳頭限局性壊死(雄))、膀胱影響(漿膜橙色化・上皮過形成)、尿管上皮過形成(雄)、尿道上皮過形成、胃慢性炎症・膵腺房萎縮がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2012))。
【参考データ等】 (5)ラットを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、200 ppm(14 mg/kg/day(雄)、13 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で脾臓の絶対・比重量増加及びヘモジデリン沈着、腎臓の絶対・比重量増加及び腎尿細管硝子滴変性(雄)、腎尿細管混濁腫脹(雌)、肝の絶対・比重量増加(雄)、Htの低下(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2019))。 (6)ラットを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、300 ppm以上(21 mg/kg/day(雄)、23 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)でHt・Hbの低下(雄)、RBCの低下(雌)、肝絶対・比重量の増加・ALP増加(雄)がみられ、1,500 ppm(114 mg/kg/day(雄)、118 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)でRBCの低下・好中球比率増加(雄)、Ht・Hbの低下・WBC増加(雌)、AST増加、脾臓の絶対・比重量の増加がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。 (7)ラットを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、200 ppm(15.2 mg/kg/day(雄)、19.1 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で血液影響(RBC・Hb・Ht低下、網状赤血球数・比率増加、APTT延長(雄)など)、脾臓影響(うっ血・髄外造血亢進・色素沈着増加、絶対・比重量増加(雄))、肝臓影響(洞様毛細血管細胞色素沈着、AST増加(雄))、腎臓影響(限局性腎症、色素沈着増加(雌)、尿細管硝子滴変性(雄))、胸腺萎縮がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2019))。 (8)マウスを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、200 ppm(28 mg/kg/day(雄)、30 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で肝臓・脾臓のヘモジデリン沈着、精巣絶対・比重量増加がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。 (9)マウスを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、200 ppm(33 mg/kg/day(雄)、46 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)でHtの低下(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。 (10)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、500 ppm(23 mg/kg/day(雄)、29 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で血液影響(好中球比率の増加、RBC・Ht及びリンパ球比率の低下(雌))がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013))。 (11)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、676 ppm(38.3 mg/kg/day(雄)、51.5 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で血液影響(RBC・Hb・Htの低下)、腎臓影響(尿量増加・尿比重低下、腎盂/腎乳頭上皮過形成)、膀胱影響(漿膜橙色化、移行上皮過形成)、尿管(上皮過形成)に組織変化がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、CLH Report (2019))。

誤えん有害性*

【分類根拠】 データ不足のため分類できない。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

生態毒性:

魚類:
情報なし
甲殻類:
情報なし
藻類:
情報なし

残留性・分解性:

情報なし

生体蓄積性(BCF):

情報なし

土壌中の移動性

オクタノール/水分配係数:
情報なし
土壌吸着係数(Koc):
情報なし
ヘンリー定数(PaM 3/mol):
情報なし

オゾン層への有害性:

情報なし

13. 廃棄上の注意

処理施設がないなどの理由で廃棄できない場合は、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託する。
空容器を処分する時は、内容物を完全に除去した後に行う。
却炉で焼却する。
焼却処理する場合には、可燃性溶剤に溶解または混合した後、アフターバーナー及びスクラバーを備えた焼
地方条例や国内規制に従う。
適切な保護具を着用する。

14. 輸送上の注意

国連番号:

該当なし。

国連分類:

国連の分類基準に該当せず。

輸送の特定の安全対策及び条件:

積み込み、荷崩れの防止を確実に行い、法令の定めるところに従う。
運搬に際しては容器に漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないように

15. 適用法令

労働安全衛生法

該当しない

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第二種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2)(令和5年度分以降の対象)

毒物及び劇物取締法

該当しない

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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