急性毒性
経口
【分類根拠】
(1)~(12) より、区分1とした。
なお、本物質については、絶食条件と非絶食条件でのデータがあり、OECD TG 423で求められている投与前の絶食による知見を優先させ区分1とした。
したがって、旧分類から分類結果が変更になった。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 2.9 mg/kg、雌: 3.2 mg/kg (EHC 145 (1993))
(2) ラットのLD50: 4.5~24 mg/kg (EPA Pesticides RED (2006))
(3) ラットのLD50: 4~62 mg/kg (JMPR (1995))
(4) ラットのLD50: 6 mg/kg (EHC 145 (1993))
(5) ラットのLD50: 7.4 mg/kg (EHC 145 (1993))
(6) ラットのLD50: 雌: 9.3 mg/kg、雄: 10.8 mg/kg (EHC 145 (1993))
(7) ラットのLD50: 雄: 11 mg/kg、雌: 16 mg/kg (NTP TR157 (1979))
(8) ラットのLD50: 雄: 11.7 mg/kg (EHC 145 (1993))
(9) ラットのLD50: 14 mg/kg (IPCS PIM G001 (1998))
(10) ラットのLD50: 雄: 14 mg/kg、雌: 24 mg/kg (EHC 145 (1993)、HSDB (Access on May 2020)、Patty (6th, 2012))
(11) ラットのLD50: 14~24 mg/kg (ACGIH (7th, 2009))
(12) ラットのLD50: 35 mg/kg (EHC 145 (1993))
経皮
【分類根拠】
(1)~(8) より、区分1とした。
なお、情報の精査により、旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 6 mg/kg (EPA Pesticides RED (2006))
(2) ラットのLD50: 6~67 mg/kg (Patty (6th, 2012))
(3) ラットのLD50: 雌: 44 mg/kg、雄: 46 mg/kg (EHC 145 (1993))
(4) ラットのLD50: 63 mg/kg (EHC 145 (1993))
(5) ラットのLD50: 67 mg/kg (ACGIH (7th, 2009)、EHC 145 (1993)、ATSDR (2001))
(6) ラットのLD50: 雄: 110 mg/kg、雌: 120 mg/kg (ATSDR (2001))
(7) ウサギのLD50: 300 mg/kg (EHC 145 (1993)、GESTIS (Access on May 2020))
(8) ラットのLD50: 480 mg/kg (JMPR (1995))
吸入: ガス
【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1とした。
情報の精査により、旧分類から分類結果を変更した。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (5.0E-005 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 0.034 mg/L (US AEGL (1987)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(2) ラットのLC50 (4時間): 0.034~0.185 mg/L (US AEGL (1987))
(3) ラットのLC50 (4時間): 0.12 mg/L (EHC 145 (1993)、US AEGL (1987)、Patty (6th, 2012))
(4) ラットのLC50 (4時間): 0.13 mg/L (JMPR (1995))
(5) ラットのLC50 (4時間): 雌: 0.17 mg/L、雄: 0.185 mg/L (EHC 145 (1993))
(6) 本物質の蒸気圧: 3.5E-006 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 5.0E-005 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分に該当しないとした。新たなデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】
(1) 本物質 (テクニカルグレード) は皮膚及び眼刺激性を有さない (EHC 145 (1993))。
(2) 本物質を致死量 (LD100) までの用量でウサギの皮膚への4時間あるいは6時間適用した結果、刺激性を示さなかった (EHC 145 (1993))。
(3) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を示さない (EHC 145 (1993))。
(4) ウサギに対して軽度の皮膚刺激性を有する (JMPR (1995))。
(5) EPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で最大スコアは2であり、72時間後のスコアは0.5であった (EPA Pesticides (2006))。
(6) 本物質は皮膚及び眼刺激性を有さない (GESTIS (Access on May 2020))。
【参考データ等】
(7) 本物質を80%含有する製品をウサギの皮膚に1~24時間半閉塞適用した皮膚刺激性試験で適用1時間後にごく軽度~中等度の発赤がみられた (GESTIS (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2Bとした。
【根拠データ】
(1) ウサギに対して軽度の眼刺激性を有する (JMPR (1995))。
(2) EPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性反応は7日後までに回復した (EPA Pesticides (2006))。
【参考データ等】
(3) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性を示さない (EHC 145 (1993))。
(4) 本物質を80%含有する製品をウサギの眼に適用した眼刺激性試験で適用1時間後にごく軽度の発赤がみられたが48時間後までに消失した (GESTIS (Access on May 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) モルモットに対して皮膚感作性を示さない (JMPR (1995))。
(2) EPA OPPTS 870.2600に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性を示さなかった (EPA Pesticides RED (2006))。
(3) 本物質はヒト及び動物において皮膚感作性は確認されていない (GESTIS (Access on May 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。
【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスを用いた優性致死試験で陰性であったが、ラット/マウスを用いた染色体異常試験、ラット/マウスを用いた小核試験、マウスの骨髄細胞又は生殖細胞を用いた不定期DNA合成試験において陽性及び陰性の報告がある (ATSDR (2001)、EHC 145 (1993)、ACGIH (7th, 2009)、IARC 30 (1983))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験及びほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験において陽性及び陰性の報告、ほ乳類培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、ヒト由来の培養細胞を用いた不定期DNA合成試験において陰性の報告がある (ATSDR (2001)、EHC 145 (1993)、ACGIH (7th, 2009)、IARC 30 (1983)、CEBS (Access on May 2020))。
(3)本物質にばく露された労働者の末梢血リンパ球に染色体異常の増加が報告されている (ATSDR (2001)、EHC145 (1993))。
発がん性
【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)、(2) より区分に該当しないとした。
【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ3 (IARC Sup7 (1987))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2009))、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on July 2020):1997年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、いずれの種においても腫瘍発生率の有意な増加は認められず、本物質はラット及びマウスにおいて発がん性を示さない (not carcinogenic) と結論された (NTP TR157 (1979))。
生殖毒性
【分類根拠】
(1) では、親動物毒性が不明な用量で児動物に明確な影響がみられ、(2)~(3) では、母動物毒性がみられる用量での発生影響の程度が明確でないか分類根拠に該当しない。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
【根拠データ】
(1) ラットを用いた3世代生殖毒性試験において、親動物毒性の記載はないが、同腹児数の減少、生存率低下等がみられている (EHC 145 (1993))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物に死亡、一般状態の異常、体重減少、コリンエステラーゼ (血漿、赤血球、脳) 活性の抑制がみられる用量で、着床後胚損失、胚吸収の増加、胎児重量減少、骨化遅延がみられている (ACGIH (7th, 2009))。同じ試験と思われるデータについて、JMPR (1995) では、胎児への影響として骨化遅延のみを記載しており着床後胚損失及び胚吸収の増加等は影響としていない。
(3) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験おいて、母動物に体重増加抑制がみられる用量において、胚・胎児にわずかな成長遅延がみられている (EHC 145 (1993))。