急性毒性
経口
GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、250 mg/kg (NTP TOX 57 (2000)) との報告に基づき、区分3とした。なお、急性毒性試験ではないが、ラットの16日間経口投与試験で、125 mg/kg投与群は初回投与後に全例が死亡したが、63 mg/kg投与群は試験終了時まで全例が生存したとの報告がある (NTP TOX 57 (2000))。この結果からはLD50値は63 mg/kgと125 mg/kgの間に存在することが示唆され、やはり区分3に該当する。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ヒトに対して本物質の溶液は皮膚刺激性を示すとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) があるが、詳細は不明のため分類できないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ヒトに対して本物質の溶液は眼刺激性を示すとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) があるが、詳細は不明のため分類できないとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 区分2 In vivoでは、マウスの末梢血を用いた小核試験で陽性 (NTP DB (Access on July 2017)、NTP TOX 57 (2000))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で弱い陽性である (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on July 2017)、NTP DB (Access on July 2017))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
発がん性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない ラットを用いた経口投与による簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物には50 mg/kg/day 以上で流涎、紅涙がみられ、100 mg/kg/day では死亡 (雄2/12例、雌10/12例)、体重増加抑制、摂餌量減少がみられた。100 mg/kg/day 群は生存例数が少ないため本項の評価対象とできないが、50 mg/kg/day以下の群では生殖発生影響は認められなかった (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017))。しかし、本試験はスクリーニング試験のため、この結果のみで区分外とできず、他に分類に利用可能な情報がなく、データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分1 (神経系) 本物質のヒトでの単回ばく露のデータはない。実験動物では、ラットの単回経口投与試験で、区分1の範囲の175 mg/kg以上で死亡例がみられたのに加えてムスカリン様コリン作動性症状である流涎と色素涙が認められたとの報告及びこれらの症状はアトロピン注射により軽減したとの報告がある (NTP TOX 57 (2000))。また、ラットの16日間経口投与試験 (16~250 mg/kg) の初回投与後に125 mg/kg以上で全例が死亡し、臨床症状として呼吸異常、運動失調、鼻と眼の分泌物、振戦が認められたとの報告がある (NTP TOX 57 (2000))。本物質はニコチン性及びムスカリン性受容体を刺激し、アセチルコリンと同じ神経節部位に作用すると記載されている (NTP TOX 57 (2000))。以上より区分1 (神経系) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分2 (神経系) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲である60 mg/kg/day (90日換算: 19 mg/kg/day) 以上で流涎、120 mg/kg/day (90日換算: 37 mg/kg/day) で流涙、被毛の汚れ、立毛、死亡 (1/5例)、体重増加抑制、摂餌量減少、軽度のヘモグロビン量・平均赤血球容積・平均赤血球ヘモグロビン量増加、死亡例で軽度の肝細胞腫脹・好酸性小体がみられている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017))。また、ラットあるいはマウスを用いた13週間反復経口投与毒性試験において、ラットはマウスより感受性が高く、ラットでは区分1のガイダンス値の範囲である12.5 mg/kg/day (90日換算: 9 mg/kg/day) 以上で流涙、区分2のガイダンス値の範囲である50 mg/kg/day (90日換算: 36 mg/kg/day) 以上で縮瞳、最高用量の100 mg/kg/day (90日換算: 72 mg/kg/day) で死亡 (心血管系への薬理学的影響の結果)、振戦、色素涙、流涎、歩行異常、姿勢異常等がみられ、マウスでは最高用量の100 mg/kg/day (90日換算: 72 mg/kg/day) で死亡、投与直後の活動性の亢進がみられている (NTP TOX 57 (2000))。また、当該物質はニコチン性及びムスカリン性受容体を刺激し、アセチルコリンと同じ神経節部位に作用すると述べられている (NTP TOX 57 (2000))。 以上のうち区分1のガイダンス値の範囲内では流涙のみであったため、明確な影響のみられた区分2のガイダンス値の所見を分類根拠とした。また、軽度の血液系への影響、死亡例1例での軽度の肝臓への影響は分類根拠としなかった。したがって、区分2 (神経系) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。