急性毒性
経口
GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、58.28 mg/kg (SIDS (2009))、100 mg/kg (PIM 586 (1994)、HSDB (Access on June 2016))、219 mg/kg (SIDS (2009)、CICAD 73 (2006)) の3件の報告に基づき、区分3とした。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分2 ラットのLC50値 (4時間) として、59 mg/m3 (SIDS (2009)、CICAD 73 (2006)) との報告に基づき、区分2とした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分1 ウサギの皮膚刺激性試験で重度の刺激性があり (SIDS (2009))、ラットの経皮ばく露でも腐食性が報告されている (CICAD 73 (2006))。ヒトでも刺激性が報告されていることから (PIM 586 (1994)、環境省リスク評価第8巻 (2010))、区分1とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1 ウサギの眼刺激性試験において重度の刺激性がみられたことから (SIDS (2009))、区分1とした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 区分2 In vivoでは、ラット、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性、陰性の結果 (CICAD 73 (2006)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性、陰性の結果、染色体異常試験で陽性である (ATSDR (2005)、CICAD 73 (2006)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
発がん性
GHS分類: 分類できない ACGIHが有機スズ化合物に対し、A4に分類している (ACGIH (7th, 2001)) ため、本項は分類できないとした。
生殖毒性
GHS分類: 区分1B ラットに雄は交配2週間前から交配期間を含む28日間、雌はさらに妊娠・分娩を経て哺育終了時まで混餌投与した結果、親動物に体重増加抑制 (雌雄)、胸腺の重量減少とリンパ球枯渇 (雌)、卵巣嚢胞の増加がみられる用量で、出産率の低下、産児数の減少、出生児の生存率低下と体重増加抑制がみられた (環境書リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。また、妊娠ラットの器官形成期に投与した複数の発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制、摂餌量減少、一部死亡例がみられる用量、又はそれ以下の用量で、着床後胚損失の増加、胎児に胎児重量の減少、外表奇形 (外脳症、下顎裂、口蓋裂、舌癒合、臍ヘルニアなど)、骨格奇形 (頸椎・胸椎の椎弓/椎体の癒合・欠損、肋骨の癒合・欠損など)、無眼球・小眼球など様々な奇形発生の頻度増加がみられている (環境書リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009)、CICAD 73 (2006))。以上より、本項は区分1Bとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分1 (呼吸器) ヒトでの本物質の単回ばく露のデータはない。実験動物ではラットを用いた1時間の単回吸入ばく露試験で0.64 mg/L (4時間換算値0.16 mg/L) 以上の濃度で鼻からの出血、あえぎと喘鳴を伴う呼吸困難が認められたとの記載がある (SIDS (2009))。したがって区分1 (呼吸器) とした。なお、ラットの単回経口ばく露試験で致死量近くの200 mg/kgで無関心、呼吸困難、下痢が認められたとの記載がある (SIDS (2009))。 また、ジブチルスズオキシド (CAS番号 818-08-6)、マレイン酸ジブチルスズ (CAS番号 78-04-6)、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) (CAS番号 10584-98-2) は、人工胃液中で加水分解されて本物質を生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。さらに、本物質、ジブチルスズジラウラート (CAS番号 77-58-7)、マレイン酸ジブチルスズ 、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)、ジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート) (CAS番号 25168-24-5) は加水分解によりジブチルスズオキシドを生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
なお、ジブチルスズオキシド (CAS番号 818-08-6)、マレイン酸ジブチルスズ (CAS番号 78-04-6)、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) (CAS番号 10584-98-2) は、人工胃液中で加水分解されて本物質を生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。また、本物質、ジブチルスズジラウラート (CAS番号 77-58-7)、マレイン酸ジブチルスズ 、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)、ジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート) (CAS番号 25168-24-5) は加水分解によりジブチルスズオキシドを生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010))。
GHS分類: 区分1 (肝臓、免疫系) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた混餌による2週間反復投与毒性試験において、区分1相当である0.005% (90日換算、ガイダンス値換算:0.39 mg/kg/day) で免疫系への影響 (胸腺・脾臓・膝窩リンパ節相対重量減少、胸腺萎縮)、0.015% (90日換算、ガイダンス値換算:1.17 mg/kg/day) で肝臓への影響 (肝臓の相対重量増加、胆管周囲の炎症・線維化を伴った重度の胆管上皮細胞の増生)、免疫系への影響 (胸腺皮質のリンパ球の枯渇) の報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010)、CICAD 73 (2006))。また、同じくラットを用いた混餌による4週間反復投与毒性試験、6週間反復投与毒性試験においても区分1の範囲で免疫系への影響として、胸腺皮質のリンパ球枯渇、ヒツジ赤血球に対する抗体応答の低下や他のラットの尾の皮膚移植片に対する同種移植拒絶反応の遅延 (低下) 等が報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、CICAD 73 (2006)、PIM 586 (1994))。 したがって、区分1 (肝臓、免疫系) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。