急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 (3) は元文献に記載がないため、根拠データから除外した。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 雌: 6,936 mg/kg、雄: 7,126 mg/kg (HSDB (Access on May 2020)) (2) ラットのLD50: 7,000 mg/kg (MAK (DFG) (2004))
【参考データ等】 (3) ラットのLD50: 700~1,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
経皮
【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、MAK (DFG) (2004)、HSDB (Access on May 2020))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分2とした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 本物質は眼、皮膚、気道に対して刺激性を有する (GESTIS (Access on May 2020))。 (2) 本物質は眼、皮膚に対して中等度の刺激性を有する (HSDB (Access on May 2020))。
【参考データ等】 (3) EU-CLP分類でSkin Irrit. 2 (H315) に分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1) より、区分1とした。新たなデータが得られたことにより、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 本物質の直接接触は眼に対して永続的な傷害を与える可能性がある (GESTIS (Access on May 2020))。
【参考データ等】 (2) 本物質は眼、皮膚、気道に対して刺激性を有する (GESTIS (Access on May 2020))。 (3) EU-CLP分類でEye Dam. 1 (H318) に分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため 分類できない。なお、旧分類の根拠とされたデータは利用可能な情報源からは確認できなかった。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1) in vitroでは、本物質のナトリウム塩を用いた細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (ACGIH (7th, 2001))。
発がん性
【分類根拠】 利用可能なヒトを対象とした報告はない。本物質の実験動物における発がん性試験結果は得られていないが、(1) よりACGIHが (2) のナトリウム塩での試験結果及び本物質は遺伝毒性がないことに基づきA4に分類していることから、区分に該当しないとした。
【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4に分類されている (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質のナトリウム塩 (CAS番号 127-20-8) をイヌに1年間、ラットに2年間投与した試験で、いずれの種においても腫瘍発生はみられなかった (ACGIH (7th, 2001))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。なお、旧分類の情報源は利用できなかったが、新たな情報源を用い、また、本物質のナトリウム塩の情報を用いたことから旧分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験では、限度量を超える用量の投与においても、胎児体重の減少がみられたのみで催奇形性はみられていない (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質のナトリウム塩 (CAS 番号 127-20-8) 150 mg/kg/dayを3世代にわたり混餌投与した試験において、生殖影響はみられていない (ACGIH (7th, 2001))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3 (気道刺激性) とした。なお、新たな情報源の使用により、分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) 本物質の蒸気又はエアロゾル (詳細の記載なし) への急性ばく露は、ヒトの消化管に加えて、目、気道、皮膚の弱~中程度の刺激を惹起した。気道への最小限の刺激は本物質2~7 ppmのばく露で認められた (GESTIS (Access on May 2020))。 (2) 本物質のTLV-TWA (5 mg/m3) は、眼と気道への潜在的な刺激性影響を最小化するために設定された (ACGIH (7th, 2001))。
【参考データ等】 (3) ヒトでは本物質の誤飲により、刺激性又はおそらく腐食性影響と消化管障害 (嘔吐、下痢) が生じることが予想される (GESTIS (Access on May 2020))。 (4) 中毒症状は一般的に、倦怠感、嘔吐、下痢、徐脈、食欲不振などである (HSDB (Access on May 2020))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2) より、本物質のNa塩を用いたデータからは、経口経路では区分に該当しないと考えられるが、他の投与経路のデータがないため分類できないとした。
【根拠データ】 (1) 本物質のNa塩 (CAS番号 127-20-8) をラットに97日間混餌投与した試験において、115 mg/kg/dayの雌で腎臓の重量増加がみられたが、病理組織学的検査を含むその他の検査において異常はみられていない (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質のNa塩 (CAS番号 127-20-8) をラットに2年間混餌投与した試験において、50 mg/kg/dayで腎臓相対重量増加がみられたが、病理組織学的変化はみられていない (ACGIH (7th, 2001)、IRIS (1988))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害クラスの内容に変更はない。