急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値1,130 mg/kg(雄) (SIDS (2005)、NICNAS (2001)、IUCLID (2000)) から区分4とした。 なお、EU分類はXn; R22(EU-Annex I)であり、区分3-4に相当する。
経皮
ラットを用いた経皮投与試験のLD50値>10,000 mg/kg (SIDS (2005)、NICNAS (2001)) から区分外とした。
吸入
吸入(粉じん): ラットを用いた 1 時間吸入ばく露試験のLC50値 >42.9 mg/L (SIDS (2005)、IUCLID (2000)) とあり、固体なので粉じん基準を適用すると、4時間換算 LC50値は >10.7 mg/Lである。以上より、区分外とした。
吸入(蒸気): データがないので分類できない。
吸入(ガス): GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
皮膚腐食性・刺激性
動物については、ウサギを用いた皮膚刺激試験で、「not irritating」 (SIDS (2005)) 旨の記述があるが、ばく露時間等の詳細は不明である。ヒトについては、本物質の17.5%水溶液を4時間適用した試験で「刺激性あり」(SIDS (2005)) 旨の記述がある。SIDS (2005)は結論として、ヒトについては本物質の5%以上の水溶液で「can cause skin irritation」と記述している。以上より区分2とした。 なお、EU分類はXi; R36/37/38(EU-Annex I)であり、区分2-3に相当する。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
動物については、「8匹のウサギを用いた眼刺激試験で、平均スコア値は角膜、虹彩、結膜いずれも0である」(SIDS (2005)) 旨の記述がある。また、NICNAS (2001)では、同じ試験について「marginal irritation to rabbit eyes」との記述がある。さらに、SIDS (2005)には、「ペルオキソニ硫酸塩類はヒトの眼に有害である」旨の記述があるが、他のデータがないため、データ不足で分類できない。 なお、EU分類はXi; R36/37/38(EU-Annex I)であり、区分2に相当する。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:ヒトについては、SIDS (2005)では、本物質の2.5 % 溶液を適用したパッチテストで研究補助業務で1件、美容師について1件の陽性報告が記述されている。また、類縁物質のジアンモニウム塩 (CAS No. 7727-54-0)については、美容師に職業ばく露として、「湿疹、皮膚病、吹き出物がみられた」(SIDS (2005))、「アレルギー性皮膚炎がみられた」(NICNAS (2001))旨の記述があり、SIDS (2005)は「ヒトでの試験報告は、本物質が職業ばく露で皮膚感作性物質であることを示す」と結論している。以上より、区分1とした。 なお、EU分類はXi; R42/43(EU-Annex I)であり、区分1に相当する。
呼吸器感作性:ヒトについては、in vivo 免疫学的試験(皮膚プリック試験)で「製造工場従業員の52人中2人が本物質のみに陽性、3人が類縁物質のジアンモニウム塩(CAS No. 7727-54-0) のみに陽性、3人が本物質とジアンモニウム塩両方に陽性であった。陽性結果と肺機能のわずかな低下には相関傾向がみられた」(SIDS (2005)) 旨の記述がある。また、SIDS (2005)では、美容師に職業性喘息の報告もあり、「ヒトでの試験報告は、本物質が職業ばく露で呼吸器感作性物質であることを示す」と結論している。以上より、区分1とした。 なお、EU分類はXi; R42/43(EU-Annex I)であり、区分1に相当する。
生殖細胞変異原性
データがないので分類できない。 なお、類縁物質であるペルオキソニ硫酸ジナトリウム (CAS No. 7775-27-1) では、in vivoの変異原性試験(マウス赤血球を用いた小核試験)、in vivoの遺伝毒性試験(ラット肝細胞を用いたUDS試験) でそれぞれ「陰性」(SIDS (2005)、NICNAS (2001)) との記述がある。
発がん性
主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データがないので分類できない。 なお、類縁物質であるジアンモニウム塩 (CAS No. 7727-54-0) の分類結果も参照のこと。
生殖毒性
データがないので分類できない。 なお、類縁物質であるジアンモニウム塩 (CAS No. 7727-54-0) の分類結果も参照のこと。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットの経口致死量を求める単回投与試験で、「活動低下(depression)、浅い呼吸(weak breathing)、呼吸促迫が認められた。これらの症状は、生存動物においては4日以内に回復した」(SIDS (2005)) 旨の記述がある。この影響は区分2のガイダンス値の範囲内で見られた。また、ヒト影響として、「鼻汁、呼吸困難」(SIDS (2005))との記述もある。以上より、区分2 (全身毒性)、区分3(気道刺激性) とした。 なお、類縁物質であるジアンモニウム塩 (CAS No. 7727-54-0) の分類結果も参照のこと。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
雄ラットを用いた28日間反復経口投与試験で、「毒性影響はない」 (SIDS (2005)) 旨の記述があるが、非公開データのため詳細が不明である。他の試験データもないため、データ不足により分類できない。 なお、類縁物質であるジアンモニウム塩 (CAS No. 7727-54-0) の分類結果も参照のこと。
吸引性呼吸器有害性
データがないので分類できない。