急性毒性
経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (SIDS (2009)) に基づき、区分外とした。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外 ラットに硫酸カルシウム2水和物 (CAS番号: 10101-41-4) 500 mgを4時間適用した皮膚刺激性試験 (OECD TG 404、GLP適合) において、刺激反応はみられなかったとの報告がある (SIDS (2005))。以上の結果から区分外と判断した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ウサギの眼に本物質を適用した結果、影響はみられなかったとの報告や (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2006))、本物質のダストにばく露されたヒトで結膜炎の報告がある (HSDB (2015))。いずれも詳細が不明であるため分類に用いるには十分ではないと判断した。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。本物質のin vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (SIDS (2009))。本物質の類縁物質である硫酸カルシウム・二水和物は、in vivoの小核試験で陰性 (SIDS (2009))、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性 (SIDS (2009)) の報告がある。
発がん性
GHS分類: 分類できない 国際機関による分類結果もなく、データ不足のため分類できない。なお、DFGOTに硫酸カルシウム (gypsum) (CAS番号: 7778-18-9) の繊維 (gypsum fibres) をハムスターに気管内注入、又はラットに腹腔内注射しても、腫瘍発生を誘発しないとの記述がある (DFGOT vol. 8 (1997))。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない 本物質自体 (無水物) の試験報告ではないが、硫酸カルシウム二水和物をラットに強制経口投与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、限度量 (1,000 mg/kg/day) まで投与しても親動物の生殖能、及び児動物への発生影響はみられなかった (SIDS (2009))。本データからは区分2までに分類されないが、本データはスクリーニング試験の結果であり、他に利用可能なデータが得られておらず、データ不足のため分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分3 (気道刺激性) 本物質はヒトに対して気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2006)) との情報から、区分3 (気道刺激性) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 分類できない ヒトについては、本物質自体 (無水物) の明確な健康影響の報告はない。 ドイツのストーンウェア工場の石膏型製造者の肺X線所見で影響がみられたとの報告 (DFGOT vol. 2 (1991))、カナダの石膏鉱山労働者、粉砕作業従事者の横断的研究において呼吸困難、X線検査において肺の陰影がみられたとの報告やイギリスの石膏鉱山の従業員の横断的研究において肺実質及び、肺機能への影響がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2006))。しかし、疫学データはばく露情報がなく、また、石英のばく露の影響を除外できない。 動物実験において、本物質に関する十分な情報は得られていない。なお、性状の異なる本物質 (粉状、繊維状) について肺への影響を比較した結果が報告されており、ラットを用いた3週間吸入ばく露試験において、気管支肺胞洗浄液 (BAL) 中のグルタチオン量が投与期間終了直後には両物質とも2倍に増加し、3週間の回復期間後では繊維状の方のみで3倍高値を示したことが示されている (ACGIH (7th, 2006))。 また、本物質ではないが、硫酸カルシウム二水和物をラットに強制経口投与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、雄300 mg/kg/day以上 (90日換算: 117 mg/kg/day以上) で血清中総蛋白、アルブミン、BUN、AST、ALT、クレアチニンの減少がみられている (SIDS (2009))。これらの変動は区分2の範囲を超えている。 上記のとおり、ヒトにおいて本物質の明確な健康影響の報告がなく、実験動物において十分な毒性試験データがない。したがって、データ不足のため分類できない。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。