安全データシート

ヨウ化銀(沃化銀)

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ヨウ化銀(沃化銀)
  • CB番号: CB3854334
  • CAS: 7783-96-2
  • EINECS番号: 232-038-0
  • 同義語: ヨウ化,ヨウ化銀

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 医薬・写真乳剤原料(化学工業日報社)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
H28.03.18、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用
GHS改訂4版を使用
健康に対する有害性
生殖毒性   区分1B 追加区分:授乳に対する、又は授乳を介した影響
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (皮膚、甲状腺、呼吸器、全身毒性)
分類実施日(環境有害性)
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

GHS分類基準に該当しない。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): AgI
  • 分子量: 234.77 g/mol
  • CAS番号: 7783-96-2
  • EC番号: 232-038-0
  • 化審法官報公示番号: 1-7
  • 安衛法官報公示番号 沃化銀: -
    100 %

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後は水を飲ませる(多くても2杯)。気分が悪い場合は医師の診察を受ける。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

使ってはならない消火剤
本物質/混合物に対する消火剤の制限なし
適切な消火剤
水 泡 二酸化炭素(CO2) 粉末

5.2 特有の危険有害性

ヨウ化水素
銀/銀酸化物
可燃性。
火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。

5.3 消防士へのアドバイス

火災時には、自給式呼吸器を着用する。

5.4 詳細情報

ガス/蒸気/ミストを水スプレージェットで抑える(除去する)。 消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: ほこりを吸い込まないこと。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 乾燥剤で処置すること。正しく廃棄すること。関係エリアを清掃のこと。ほこりを生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 11: 可燃性固体
保管条件
密閉のこと。 乾燥。光に敏感である。

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
OEL-M: 0.01 mg/m3 - 日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告
TWA: 0.01 ppm - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類は替えること。本物質を扱った後は手を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
呼吸用保護具
ほこりが生じた際に必要。
次の規格に準拠しているフィルター式呼吸器保護具を推奨します。DIN EN 143、DIN 14387お
よび使用済み呼吸器保護システムに関連する他の付属規格。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
淡黄色 (HSDB (2015))
臭い
無臭 (GESTIS (2015))
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
データなし

融点・凝固点

552℃ (HSDB (2015))

沸点、初留点及び沸騰範囲

1,506℃ (HSDB (2015))

引火点

不燃性 (GESTIS (2015))

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

データなし

燃焼又は爆発範囲

データなし

蒸気圧

1 mmHg (820℃) [換算値 133 Pa(820℃)] (HSDB (2015))

蒸気密度

データなし

比重(相対密度)

データなし

溶解度

水:28 X 10-7 g/L (25℃)、25 X 10-6 g/L (60℃) (HSDB (2015))

n-オクタノール/水分配係数

データなし

自然発火温度

不燃性 (GESTIS (2015))

分解温度

データなし

粘度(粘性率)

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が
通常想定される。

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

データなし

10.4 避けるべき条件

光。
情報なし

10.5 混触危険物質

データなし

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

呼吸器感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、日本産業衛生学会はヨウ素及びその化合物として、皮膚感作性第2群に分類されているが、注意書きとして全ての化合物が同定されているわけではないとしている (日本産業衛生学会許容濃度の勧告 (2015))。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 なお、旧分類に記載のHSDBの情報は確認できなかった。

発がん性

GHS分類: 分類できない 本物質自体の発がん性に関する情報はない。しかしながら、特定標的臓器毒性 (反復暴露) の項に記述したように、本物質は吸入経路で吸収され、その毒性はヨウ素及びヨウ化物、銀化合物の毒性を反映すると考えられた。すなわち、発がん性の既存分類結果では、ACGIHはヨウ素、及びヨウ化物に対してはA4に分類した (ACGIH (7th, 2008)) が、銀、及び銀化合物に対しては発がん分類を付していない (ACGIH (2015))。よって、本項はヨウ素、ヨウ化物に対するACGIHの分類結果に基づき、分類できないとした。

生殖毒性

GHS分類: 区分1B 追加区分:授乳に対する、又は授乳を介した影響 本物質自体の生殖毒性に関する情報はない。しかしながら、特定標的臓器毒性 (反復暴露) の項に記述したように、本物質は吸入経路で吸収され、その毒性はヨウ素及びヨウ化物、銀化合物の毒性を反映すると考えられた。ヨウ化物の本項の分類に関して、ヨウ化カリウム (CAS番号: 7681-11-0) では区分1B、追加区分:授乳影響 とした。ただし、この分類の根拠データは概してヒトにおける経口経路での知見に基づいている。Willard, D.H. and Bar, W.J. (1961) の報告には、Ag131Iの経口投与での吸収実験はマウスでは実施しておらず、Na131IとAg131Iをヒツジ各1頭に対し強制経口投与後に甲状腺の131I取込み量は同程度 (131Iの投与量に対する甲状腺組織の最大取り込み率:NaI、AgI で各々56% (28時間後) 及び48% (34時間後)) であったとの結果が示されているだけで、ヨウ化銀の経口経路での吸収性は可溶性ヨウ化物と同様に良好であるとは言えない。しかし、本物質を吸入した場合には、吸収され血中でヨウ化物としてヨウ化カリウム経口投与に相当する毒性が発現すると想定されるため、ヨウ化カリウムの分類区分が本物質にも適用できると判断した。よって、本項は区分1Bとし、授乳影響を追加した。 なお、銀化合物の生殖影響に関しては硝酸銀を妊娠サルの子宮内への直接注入により流産を生じた、或いは乳酸銀を妊娠ラットに腹腔内注射により新生児の脳内で銀が検出されたなどの知見はある (ATSDR (1990)、ACGIH (7th, 2001)) が、本項の分類に利用可能な知見はない。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

GHS分類: 分類できない 本物質の複数人への大量ばく露の事故例があり、病的症状はみられなかったとの記載 (HSDB (Access on June 2015)) があるが、詳細情報はない。データ不足のため分類できない。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

GHS分類: 区分1 (皮膚、甲状腺、呼吸器、全身毒性) 本物質に関する情報としては、本物質を用いて人工降雨の作業を行った作業者において、手の着色が生じたが健康影響はみられていないとの報告 (HSDB (Access on June 2015)) のみである。 しかし、ATSDR (2004) と CICAD 72 (2009) に本物質の吸入経路での吸収に関する知見の記述があり、原著 (Willard, D.H. and Bar, W.J.: Acta Radiologica, 55, 486-496 (1961)) を入手し詳細に検討した。その結果、マウスに131I-ヨウ化銀 (Ag131I) 粒子を吸入ばく露した体内動態試験で、同様にばく露した131I2 (ヨウ素) 蒸気と比べて、不溶性の本物質では総沈着率は約1/5の約12%と少ないが、本物質も迅速に吸収され全身 (複数の臓器) に分布することが示されており、体内負荷量ベースで比較した場合、甲状腺等臓器別の分布割合及び経時的推移に両者で大差はなかった (Willard, D.H. and Bar, W.J. (1961))。したがって、本物質も吸入経路で吸収され、その毒性はヨウ素及びヨウ化物、銀化合物の毒性を反映すると考えられる。
銀化合物については、長期ばく露により銀沈着症を起こすとの記載がある (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2008)、 HSDB (Access on June 2015))。しかし、ヒトの健康への重大な影響を示唆するものではないと考えた。ヒトでは、ヨウ素及びヨウ化物については、ヨウ素は甲状腺の機能低下あるいは機能亢進を引き起こし (ACGIH (2008))、ヨウ化カリウムでは、ヨウ素中毒としてヨウ素疹や甲状腺の病変のほかに、喉頭炎、気管支炎、声門浮腫、喘息発作、唾液腺浮腫、耳下腺炎、胃炎、ヨウ素悪液質として、全身衰弱、心悸亢進、抑うつ、不眠、神経過敏などが記載されている (医療用医薬品集 2016)。以上のように、皮膚、甲状腺、呼吸器のほか標的臓器の特定が困難な諸症状がみられた。 したがって、区分1 (皮膚、甲状腺、呼吸器、全身毒性) とした。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

データなし

12.2 残留性・分解性

データなし

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

データなし

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.2 国連輸送名

ADR/RID (陸上規制): 非危険物
IMDG (海上規制): Not dangerous goods
IATA-DGR (航空規制): Not dangerous goods

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): -    IMDG (海上規制): -    IATA-DGR (航空規制): -

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): - IMDG (海上規制): - IATA-DGR (航空規制): -

14.5 環境危険有害性

ADR/RID: 非該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 非該当
非該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

詳細情報
国際輸送に関する国連勧告の定義上は、危険物に該当しない。

15. 適用法令

毒物及び劇物取締法

劇物

大気汚染防止法

有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質

外国為替及び外国貿易管理法

輸出貿易管理令別表第1の16の項

16. その他の情報

略語と頭字語

ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
EC50: 有効濃度 50%
IATA:国際航空運送協会
IMDG: 国際海上危険物
LC50: 致死濃度 50%
LD50: 致死量 50%
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
STEL: 短期暴露限度
TWA: 時間加重平均

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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