急性毒性
経口
GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、3,543~4,936 mg/kg (SIAP (2011)) との報告に基づき、区分外とした。なお、旧分類時に用いたJEFCA 344 (1974) のデータは、本物質の異性体混合物 (DL体) のデータであるため、採用しなかった。
経皮
GHS分類: 区分外 ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (SIAP (2011)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 区分外 ラットのLC50値 (4時間) として、> 7.9 mg/L (SIAP (2011) との報告に基づき、区分外とした。なお、LC50が飽和蒸気圧濃度 (0.40 mg/L) より高い濃度であるため、ミストとして mg/L を単位とする基準値を採用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分1 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、重度の刺激性を示し、皮膚腐食性であったことから (SIAP (2011))、区分1に分類した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1 本物質と特定されていない乳酸のウサギの眼刺激性試験で、腐食性、持続性瘢痕、角膜表面層の消失、角膜と虹彩の癒着が認められ (HSDB (Access on September 2016))、また皮膚腐食性/刺激性が区分1に分類されていることから、区分1に分類した。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない 本物質のモルモットの皮膚感作性試験 (ビューラー法) で陰性であったとの報告 (SIAP (2011)) があり、また、本物質と特定されていない乳酸のモルモットの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陰性であったとの報告 (HSDB (Access on September 2016)) があるが、結果の詳細が不明のため、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性 (SIAP (2011)、NTP DB (Access on September 2016))、哺乳類培養細胞の染色体異常試験では陽性(pH低値による)、陰性(培地を中和した場合)の報告がある (SIAP (2011))。
発がん性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、乳酸カルシウムをラットに2年間飲水投与した試験では発がん性の証拠は示されなかったとの報告がある (SIAP (2011))。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、妊娠マウスの器官形成期 (妊娠6~15日) に 570 mg/kg/day を強制経口投与した発生毒性試験で、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある (SIAP (2011))。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、本物質のラットへの単回経口投与により、嗜眠、運動失調、虚脱、不規則呼吸などの症状が認められ、LD50値は3,543~4,936 mg/kgであったとの報告がある (SIAP (2011))。また、ラットで本物質の4時間の単回吸入ばく露により、呼吸促迫、流涙、円背位、更に雌では嗜眠が認められ、LC50値は7.9 mg/L以上であったとの報告がある (SIAP (2011))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分外 実験動物では、ラットを用いた混餌あるいは飲水による13週間反復投与毒性試験において軽度の体重増加抑制、いくつかの血液及び生化学の検査値の変動がみられたがNOAELは最高用量である500 mg/kg/dayとしている (SIAP (2011))、また、ラットを用いた飲水投与による2年間反復投与毒性試験において最高用量の5%濃度で体重増加抑制のみがみられたとしている (SIAP (2011)、HSDB (Access on September 2016)、JECFA FAS 48 (2002))。ハムスターを用いた混餌あるいは飲水による14週間反復投与毒性試験において、一般症状、体重などに影響がみられなかった (HSDB (Access on September 2016)) が、正確な用量など詳細が不明であり、さらに、イヌに600~1,600 mg/kgを2.5ヵ月間経口投与した試験では悪影響はなかった (JECFA 344 (1974)) との報告、及びラットに886 mg/kgを13週間経皮投与して結果、脳と腎臓の重量が増加したが、肉眼及び顕微鏡検査では病変が観察されなかったとの報告がある (HSDB (Access on September 2016))。 以上より、区分外とした。 なお、ヒトは何世紀もの間本物質を含む果物、酸敗したミルク、発酵製品を摂取してきたが有害影響はみられていない。一方、生後間もない乳児では乳酸に不耐性の場合があることが知られており、それらの例では急激な体重減少、下痢、血漿重炭酸塩の減少、尿中への有機酸の排泄の増加が報告されている (JECFA 344 (1974))。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on September 2016) に収載された数値データ (粘性率: 6.59~28.50 (64.85%~85.32%、25℃)、密度 (比重): 1.2) より、動粘性率は5.58~23.8 mm2/sec (25℃) と算出される。