急性毒性
経口
ラットのLD50値 >5000mg/kg (原体: 農業安全情報18号(1995))、>10000mg/kg(HSDB(2006))に基づき、区分外とした。
経皮
ラットのLD50値 >2000mg/kg (原体: 農業安全情報18号(1995))、ウサギのLD50値 >2000mg/kg (HSDB 2006))に基づき、区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。
吸入
吸入(粉じん): ラットのLC50値>1.99mg/L/1時間(4時間換算>0.5mg/L) (HSDB(2006)), >2.93mg/L(ばく露時間不明)(農業安全情報18号(1995))は、飽和蒸気圧濃度(換算値7.5x10^-8mg/L: HSDB(2006))以上であるため、粉じん、ミストの基準によるが、区分1から区分5のいずれに当たるか判断できず分類できないとした。
吸入(蒸気): データなし
吸入(ガス): GHSの定義における固体である。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギ塗布試験(50%製剤、4時間)において、全動物に紅斑、4匹に痂皮形成、1匹に軽度浮腫が認められた(農業安全情報18号(1995))ことから区分2とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギ試験(50%製剤)において、全動物に角膜及び結膜の刺激性変化、6例中5例で虹彩の刺激性変化がみられ、全症状は処理後5日目までに回復した(農業安全情報18号(1995))。以上、刺激性が7日間以内で回復されたことから区分2Bとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:モルモット(Buehler法;50%製剤、週3日、2週間)において、感作性は認めらず(農業安全情報18号(1995))、動物種は不明だがBuehler法による試験結果においても感作性なし(HSDB2006))であるがList2のデータしかなく分類できないとした。
呼吸器感作性:データなし
生殖細胞変異原性
マウス雄を用いた小核試験(0-5000mg/kg)の800及び2000mg/kg群にて、多染色性赤血球のスコアが2000であり統計的に有意な増加を示し(HSDB (2006))、また、マウス雄を用いた小核試験(0 or 5000 mg/kg)において陽性結果(HSDB(2006))を示したことやマウス雄を用いた小核試験にて不明瞭な結果(IRIS (1993)を示したことなどから、体細胞を用いるin vivo変異原性試験の結果には相反するものがあるものの複数の陽性結果があり区分2とした。なお、in vivo遺伝毒性試験(エームス試験、CHO細胞を用いた染色体異常試験)で陰性の結果が得られている(IRIS (1993), HSDB(2006))。
発がん性
EPAにおいてCに分類されている(IRIS(1993))ことから区分外とした。なお、マウス(B6C3F1; 0-12500ppm, 2年間ばく露)の雌雄高濃度群にて、肝細胞腺腫が統計的に有意な増加を示し、ラット(Fischer344; 0-12500ppm)の雄高濃度群にのみ、副腎髄質に良性の褐色細胞腫が認められている(IRIS (1993))。
生殖毒性
ラットによる3世代試験(25, 125, 625mg/kg/day)にて、親動物の体重増加抑制が見られた用量で黄体数の減少、仔に小眼球症、無眼球症、脳ヘルニアおよび頭蓋顔面奇形(craniofacila malformations)が認められた(IRIS (1993))。ラット試験(300, 1000mg/kg/day)にて、親動物に体重増加抑制が見られた用量で着床前胚損失および再吸収の増加が認めれた(IRIS (1993))。ウサギの催奇形性試験(0-1000mg/kg/日)においては、1000mg/kg群にて流産1例、死亡5例が認められている(農業安全情報18号(1995))。ラット混餌試験(0, 40, 200, 1000mg/kg/day)においても仔に脳ヘルニアおよび小眼球症が認められている(HSDB(2006))。以上の結果、親動物での一般毒性が発現する用量で生殖毒性が認められたことから区分2とした。なお、ラットの催奇形性試験(0-1000mg/kg/日)にて一般および生殖毒性は見られず区分外に相当する結果が得られている(農業安全情報18号(1995))。