急性毒性
経口
ラットLD50値: 2830 mg/kg bw(ATSDR (1992))。(GHS分類:区分外(JIS分類基準))
経皮
ラットLD50値: >5000 mg/kg bw(CICAD 20 (2000))。(GHS分類:区分外)
吸入
吸入(粉じん): データなし。(GHS分類:分類できない)
吸入(蒸気): データなし。(GHS分類:分類できない)
吸入(ガス): GHSの定義における固体である。(GHS分類:分類対象外)
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた試験(OECD TG 404)で軽度の刺激性(slightly irritating)(CICAD 20 (2000))、50 mgを24時間適用した別の試験で刺激性スコアが1.4/8.0で軽度の刺激性(slightly irritating)(IUCLID (2000))。(GHS分類:区分外(JIS分類基準))
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた試験(OECD TG 405)で刺激性なし(not irritating)(CICAD 20 (2000))。なお、ウサギに30 mgを適用した別の試験では軽度の刺激性(slightly irritating)との評価であったが、刺激性スコアは10.8/110で15以下であった(IUCLID (2000))。(GHS分類:区分外)
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚感作性試験(ビューラー試験 OECD TG 406)において、感作性なし(no skin-sensitizing effects)CICAD 20 (2000))。(GHS分類:区分外)
呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖細胞変異原性
エームステストで陰性(NTP DB(Access on Aug. 2010))が報告されている。(GHS分類:in vivo試験のデータがなく分類できない。)
発がん性
データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖毒性
妊娠ラットの器官形成期に経口投与した試験において、母動物が一般毒性として一過性かつ用量依存的な体重増加抑制を示した用量で、軽度ではあるが統計学的に有意な着床後胚損失率および早期吸収率の増加が認められている(CICAD 20 (2000))。(GHS分類:区分2)
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
芳香族アミン化合物は一般にヒトおよび実験動物でメトヘモグロビン生成を起こすことが知られている(ATSDR (2000))。ネコに50~250 mg/kgを経口投与により用量依存的なメトヘモグロビンの生成が認められた(CICAD 20 (2000))。なお、ラットおよびマウスを用いた急性経口毒性試験(LD50値:ラット 2830-5376 mg/kg bw、マウス 1300-2080 mg/kg bw)において、症状所見として呼吸困難、歩行失調、震え、傾眠、無気力、痙攣、剖検では高用量で肝臓と腎臓のうっ血、および胃の潰瘍が報告されている(CICAD(J) 20(2004))。症状はマウスの場合にはガイダンス値の区分2に相当以上の用量で見られているが、いずれも不明確である(CICAD(J) 20(2004))。なお、メトヘモグロビンの生成は大きく2群に分けられ、ラット/マウス/モルモット/サルは、メトヘモグロビン生成の影響を受けづらく、一般的には誘導されたメトヘモグロビンをヒト/イヌ/ネコよりも効果的に低減させることができる。ネコはメトヘモグロビン生成の影響を最も受けやすく、これはヘモグロビンの種類が異なることが最大の原因とされている(http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/eu/euj/V65-j.pdf)。(GHS分類:区分1(血液))
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた28日間反復経口投与試験(OECD TG 407)において、副腎重量の変化が示されているのみで、主要臓器の病理組織学的検査では投与に関連する変化はなく、高用量群の200 mg/kg/day(90日換算:62.2 mg/kg/day)まで重大な毒性所見は認められていない(CICAD 20 (2000))。また、ラットを用いた4週間蒸気吸入試験では、高用量群の60 mg/m3(90日換算:0.018 mg/L)における顎甲介と鼻甲介に沿う上皮の扁平化生の所見を除き、病理組織学的検査によりばく露に関連する影響は見られず、ばく露11週後に測定されたメトヘモグロビン濃度にも明らかな影響は認められていない(CICAD 20 (2000))。(GHS分類:データ不足で分類できない。)
吸引性呼吸器有害性
データなし。(GHS分類:分類できない)